レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年02月15日
- 登録日時
- 2013/03/13 09:42
- 更新日時
- 2013/06/13 15:07
- 管理番号
- 埼熊-2012-279
- 質問
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解決
横須賀製鉄所の総建設費は240万ドルとのことであるが、幕府側の担保は何であったか。
- 回答
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横須賀製鉄所建設の担保として、「生糸」とする記述があった。他に「製鉄所」とする資料も確認できた。
関係の記述のあった、以下の資料を紹介した。幕末のフランス外交に関する資料を調査
『幕末洋学史の研究』(原平三著 新人物往来社 1992)
p181-186〈横須賀及び横浜製鉄所〉の項あり。
「(元治元年(1864))12月9日老中水野和泉守、勘定奉行小栗上野介以下関係諸員は、仏国公使レオン・ロッシュを招致して造船所設立の綱領を議し、その経費百万ドルは輸出生糸を担保として同国から借入する事とした。」とあり。『横須賀市史 上』(横須賀市 1988)
p269-270〈製鉄所創設とフランス側との約定〉の項あり。
「ロッシュは造船所建設資金を各藩に負担させようとしたが、幕府は我が国の制度上その不可なることを理由として、100万ドルの経費を輸出生糸を担保としてフランスから借り入れることとした。」とあり。老中及び関係者とロッシュが交わした約定書の記載あり。ただし約定書には担保について記載なし。
p274-275〈製鉄所設立を推進した人々〉の項あり。
「製鉄所会計課長メルシーの報告によれば、慶応4年3月現在で234万ドルを使い果たし、さらに完成までに60万ドルが必要だとされている。(略)フランスから購入した軍需品の代金支払に窮し、横須賀と横浜の両製鉄所を未払金50万ドルの担保に入れたことさえあった。」とあり。『幕末日本とフランス外交 レオン・ロッシュの選択』(鳴岩宗三著 創元社 1997)
p55-59〈横須賀製鉄所建設〉の項あり。
「幕府に推薦されて、下検分に来日したヴェルニーは、ツーロン軍港に地形の似た横須賀を製鉄所建設の最適地として選定し、見積もり総額240万ドル(幕府予算の半分以下)、四カ年で完成、という契約を取りかわして、準備のためいったん帰国した。」とあり。担保については記述なし。
p76-78〈日本生糸の独占〉の項あり。
「ロッシュの領事報告は、部分的に読めば、ごく正常な形の日仏貿易の発展を望んでいたように映る。しかし、じっさいに彼がその手でおこなったことといえば(略)製鉄所建設等の軍事援助、それに艦船・武器・軍需品の輸出であり、その見返りとしての日本生糸の独占貿易であった。」とあり。『新名将言行録 幕末維新』(榊山潤著 講談社 1975)
p217-219に、大製鉄所(横須賀製鉄所)の総工費が240万ドルであったことや、生糸専売をもって充てた様子が書かれている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 建築学 (520 9版)
- 関東地方 (213 9版)
- 参考資料
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- 『幕末洋学史の研究』(原平三著 新人物往来社 1992)
- 『横須賀市史 上』(横須賀市 1988)
- 『幕末日本とフランス外交 レオン・ロッシュの選択』(鳴岩宗三著 創元社 1997)
- 『新名将言行録 幕末維新』(榊山潤著 講談社 1975)
- キーワード
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- 横須賀製鉄所
- 横須賀造船所
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000128804