レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/04/20
- 登録日時
- 2010/10/28 02:03
- 更新日時
- 2010/11/16 14:27
- 管理番号
- 埼熊-2010-022
- 質問
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未解決
1945年前後(中華民国の頃)の戸籍が1949年の中華人民共和国設立時に継承されていたいかどうかを知りたい。
- 回答
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「1945年当時の戸籍」が1949年の中華人民共和国設立時に継承されていたかどうかはわからなかった。
関連する事項でわかったことは次のとおりである。
戸籍にあたる中国の「戸口」は前漢の時代から存在していた。(回答プロセス④)
1949年(中華人民共和国建国)、それまでの中華民国法を全廃しているため、それ以降の制度は独立したものと考えるべきものである。(回答プロセス②)
法制定の追いつかない場合の空白は裁判実務や社会に存在する慣行によって埋められていた。(回答プロセス②)
- 回答プロセス
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中国の歴史や法律、戸籍制度等に関連する資料を調査する。
【中国の戸籍制度について記述のあったもの】
①張 英莉著「新中国の戸籍管理制度(上)―戸籍管理制度の成立過程―」
(『埼玉学園大学紀要 経営学部篇 4』(下は5に収録))
p19「中国では陸益龍は、戸籍制度の構造と歴史的変化に着目し、(中略)国家秩序の維持、社会統制の徹底を図る点では古代も現代も共通しているものの、1949年以後の戸籍制度を独立したものとして考察すべきだと指摘した。」とあり。
※中国では戸籍のことを「戸口」ということがわかる。
※PDFで全文を見ることができる。
(http://ci.nii.ac.jp/search?q=%E6%96%B0%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%88%B8%E7%B1%8D%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%88%B6%E5%BA%A6&range=0&count=20&sortorder=1&type=0 2010/04/20最終確認)
②『現代中国法入門 (外国法入門双書)』(木間正道著 有斐閣 2009)
p2 「現代中国法は、1949年10月1日の中華人民共和国成立に先立つ同年2月22日の中国共産党の「国民党の六法全書を廃棄し、解放区の司法原則を確定することに関する指示」により、「国民党の六法」すなわち中華民国法を全廃して出発している。」が、法制定の追いつかない場合の空白は裁判実務や社会に存在する慣行によって埋められていた、との記述あり。
p221 戸口制度、档案制度について記述あり。それ以前の戸籍制度については記述なし。
(档案制度:p222「都市の[単位]は全構成員について、出身階級、出生以後のすべての個人情報、政治行為記録をファイルした[档案]を保管し、終身にわたり、人身的支配を行う。」の記述があり、建国以降の制度である。
(参考)
③『岩波 現代中国事典』(岩波書店 1999)
p926 〈[トウ]案〉(档案)の項あり。 「建国後は範囲が広がり、農民を除く一般人、軍人についても作成されるようになった。」という記述がある。建国前の作成はないようである。
④『アジア歴史事典』(平凡社編 平凡社 1960)
p364-365 「戸口(ここう)」の項あり。『現代中国法入門』p2とほとんど同じ記述あり。前漢から始まり唐代より前は統計は有産戸のみだった。明代までの統計あり。
⑤『中華人民共和国主要法令集 2』(中国研究所 1981)
p63-66に「中華人民共和国戸口登記条例」(1958年1月9日、全国人民代表大会常務委員会第91回会議で採択)が収録されているが、質問の年代の記述はなし。
⑥『アジアの法文化の諸相』(アジア法文化研究班著 関西大学法学研究所 2009)
p146 「1958年戸口登記条例」の項あり。1950年に人口管理の法的システムを整えるために、戸籍工作は都市から着手し、徐々に農村部に推進していくとの方針が示され、1951年7月、都市戸口管理暫定行条例が公安部より公布された。それ以前についての記述はなし。
【その他の調査済み資料】(記述のなかったもの)
前田比呂子著「中華人民共和国における『戸口』管理制度と人口移動」(『アジア経済 1993年2月』 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究支援部 1993)
建国以降の記述であり、それ以前の記述がない
『現代中国法講義』(西村幸次郎編 法律文化社 2001)
『制度通 2』(伊藤東涯著 平凡社 2006)
「古今戸口多寡の事」が収録されているが、質問の年代の記述はなし。
『図説中国近現代史 第3版』(池田誠著 法律文化社 2009)
『中国の現代史』(奥村哲著 青木書店 1999)
『戦後中国国民政府史の研究』(姫田光義編著 中央大学出版部 2001)
『中国現代史』(馮玉忠編 関西大学出版部 1987)
『中国現代史の断章』(小林文男著 谷沢書房 1986)
『中国の近代化と地方政治』(横山英編 勁草書房 1985)
『中国の近代化と政治的統合』(横山英編 渓水社 1992)
『中国情報源 2008-2009』(蒼蒼社 2008)
『中国情報ハンドブック 2009年版』(蒼蒼社 2009)
『氏と戸籍の女性史』(久武綾子 世界思想社 1988)
『中国民法の研究』(野村好弘編著 学陽書房 1987)
『中国家族法論』(大塚勝美著 御茶の水書房 1985)
『現代中国民法論』(王家福編著 法律文化社 1991)
『世界の家族法』(敬文堂 1991)
『現代中国の法と政治』(稲子恒夫著 日中出版 1975)
『現代中国法の理論』(浅井敦著 東京大学出版会 1973)
『中国家族法の原理』(滋賀秀三著 創文社 1981)
『現代中国の法制と法治』(熊達雲著 明石書店 2004)
『現代中国法入門』(王家福編 勁草書房 1997)
- 事前調査事項
- NDC
-
- 法制史 (322 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 戸籍-歴史
- 中国
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000072957