国立国会図書館NDL-OPACの書誌検索 では、山室静訳の『即興詩人』は該当なし。
『現代世界文学講座 第8巻』(大日本雄弁会講談社)96-97ページに山室氏執筆の「北欧作品解説 即興詩人」あり。東金市立図書館より借用し確認したところ、作品の邦訳そのものではなく、あらすじと解説が掲載。文末に「西欧でも広く愛読されて、アンデルセンの名を世界的にしたが、わが国ではことに森鴎外の名訳(1902年初版)によって異常なまでの反響をよび、明治新文学の形成の上にも大きな影響を及ぼしたことで、記念すべき作品となっている」とあり。
『アンデルセンの生涯』(新潮社)137-143ページに、『即興詩人』のあらすじと解説が掲載。同書140ページにアンデルセンがこの作を書くことを思いついた頃、旅の道中でできた詩「イタリアへの訣別」は山室氏の訳で掲載されているも、『即興詩人』の邦訳に関しては、141ページに「~鴎外の浪漫的な香気が高いとともに格調正しい高雅流麗な訳が非常にすぐれたせいもあって、原作以上の訳とされ、明治文学の最高の古典の一つとなり~」と、鴎外訳を高く評価した発言があるに止まり、山室静翻訳の『即興詩人』は出版物としては、「該当なし」と回答。