レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007/11/09
- 登録日時
- 2008/07/04 02:11
- 更新日時
- 2008/07/23 14:52
- 管理番号
- 埼久-2007-062
- 質問
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解決
「たなばた」という織機について調べたい。
- 回答
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所蔵する織物関係資料にあたったところ、以下2点の資料に織機としての「棚機(たなばた)」について記述があり、いずれも5~6世紀に中国から導入された絹織物用の織機である「高機(たかばた)」の日本での別名ではないかとされている。ただし古代のことであり、明確な根拠は示されていない。
『織物の日本史』
p43[二(二)織機の導入と帰化人技術者 より]
「呉織・漢織はともに呉からきた綾織の技術者…当然のこととして、織機も導入されたものと考えなければならない。…やがて日本でも制作されるようになったと思われる。棚機(たなばた)というのはこのものをさしたのではなかったろうか」
p45「『万葉集』にこういう歌がある。棚機の五百機立てて織る布の、秋さり衣、誰が取り見む(巻10、2034) 五世紀後半に導入された棚機は八世紀では「五百機立て」とあるように、日本でも制作されて普及し、…」
『図説手織機の研究 続(日本編)』p123「第四章 傾斜高機」より
「高機は絹布、綾帛を織る機の名也。神代には棚機という是なり、…」(出典:「奈良曝布古今俚諺集」 1748年刊)
「高機(たかばた)」については、『世界大百科事典』『日本大百科全書』〈高機〉〈織機〉、『日本史大事典』(平凡社)『国史大辞典』(吉川弘文館)〈高機〉の項目に、歴史や種類などが簡単にまとめられている。
また以下の織物関係の資料には、各時代・地域で使用された高機について解説・写真などが掲載されている。
『弥生の布を織る』p48-52 高機・空引機(高機の一種)の説明(図を含む)あり。
『講座・日本技術の社会史 3 紡織』p284-「日本の織機」の項に高機の説明・図あり。
『日本機業史』p20-48 「第一編 織機の歴史 第三章 高機における技術的発展とその普及」
『久米島紬』p85-87に沖縄で使用されている高機のカラー写真あり。
- 回答プロセス
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辞典類およびNDC分類〈586〉(織物関係)の所蔵資料を中心に調査した。
質問内容が具体的でなかったため、民俗関係や歴史関係資料までは調査範囲を広げなかった。
ほかに《NDL-OPAC(雑索》《MAGAZINEPLUS》を〈棚機〉で検索し、次の資料がヒットしたが、内容は未確認。
嶋崎昭典「シルク豆辞典 (8)七夕 (3)日本の棚機」(「シルク情報」 農畜産業振興機構89[2007.8])p29-31[国立国会図書館所蔵]
- 事前調査事項
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「世界大百科事典」〈織機〉「日本大百科全書」〈漢機・呉機あやはとり くれはとり〉「日本民俗大辞典」(吉川弘文館 2000)「日本民俗資料事典」「総合服飾史事典」(雄山閣 1980)など
- NDC
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- 繊維工学 (586 9版)
- 参考資料
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- 『織物の日本史』(遠藤元男 日本放送出版協会 1971)
- 『図説手織機の研究 続(日本編)』(前田亮 京都書院 1996)
- 『弥生の布を織る』(竹内晶子 東京大学出版会 1989)
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『講座・日本技術の社会史 3 紡織』(日本評論社 1983)
- 『日本機業史』(三瓶孝子 雄山閣 1961)
- 『久米島紬』(源流社 2006)
- キーワード
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- 織機
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000045530