レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/11/17
- 登録日時
- 2019/11/18 00:30
- 更新日時
- 2019/11/18 00:30
- 管理番号
- 6001039873
- 質問
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解決
万葉集の歌の中で、伊勢神宮や伊勢にまつわる歌を探している。
- 回答
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伊勢神宮や伊勢にまつわる歌には例えば、以下のようなものがありました。
▼第1巻第22首 明日香清御原宮天皇代 [天渟中原瀛真人天皇謚曰天武天皇]
十市皇女、伊勢神宮に参赴きし時、波多の横山の巌を見て、吹芡刀自の作れる歌
川上にのゆつ岩群に草むさず常にもがもな常處女にて
吹芡刀自は、いまだ詳らかならず。但、紀に曰く、天皇四年乙亥春二月乙亥朔丁亥、十市皇女、阿閉皇女、伊勢神宮に参赴きたまひきといへり。
▼第1巻第81首 山辺の御井を見がてり神風の伊勢娘子どもあひ見つるかも
▼第2巻第105首 大津皇子、竊かに伊勢神宮に下りて上り来ましし時、大伯皇女の作りませる御歌二首
わが背子を大和へ遣るとさ夜ふけて暁露にわが立ちぬれし
二人行けど行き過ぎがたき秋山をいかにか君がひとり越ゆらむ
▼第2巻第162首 明日香の 清御原の宮に 天の下 知らしめしし やすみしし 我が大君 高照らす 日の御子 いかさまに 思ほしめせか 神風の 伊勢の国は 沖つ藻も 靡みたる波に 潮気のみ 香れる国に 味凝り あやにともしき高照らす 日の御子
▼第2巻第166首 磯の上に生ふるあしびを手折らめど見すべき君がありといはなくに
右の一首は、今案ふるに葬を移す歌に似ず。けだし疑はくは、伊勢神宮より京に還りし時、路の上に花を見て、感傷み哀咽しみてこの歌を作りませるか。
▼第3巻第306首 伊勢の海の沖つ白波花にもが包みて妹が家づとにせむ
▼第4巻第500首 神風の伊勢の浜荻折り伏せて旅寝やすらむ荒き浜辺に
▼第4巻第600首 伊勢の海の礒もとどろに寄する波畏き人に恋ひわたるかも
▼第11巻第2798首 伊勢の海人の朝な夕なに潜くといふ鰒の貝の片思にして
▼第11巻2805首 伊勢の海ゆ鳴き来る鶴の音どろも君が聞こさば我れ恋ひめやも
▼第13巻第3234首 やすみしし 我ご大君 高照らす 日の御子の きこしをす 御食つ国 神風の 伊勢の国は 国見ればしも 山見れば 高く貴し 川見れば さやけく清し 水門なす 海もゆたけし 見わたす 島も名高し ここをしも まぐはしみかも かけまくも あやに畏き 山辺の 五十師の原に うちひさす 大宮仕へ 朝日なす まぐはしも 夕日なす うらぐはしも 春山の しなひ栄えて 秋山の 色なつかしき ももしきの 大宮人は 天地 日月とともに 万代にもが
▼第13巻第3301首 神風の 伊勢の海の 朝なぎに 来寄る深海松 夕なぎに 来寄る俣海松 深海松の 深めし我れを 俣海松のまた行き帰り 妻と言はじとかも 思ほせる君
以上に紹介した歌は次の資料で調査しました。
・『萬葉集索引(新日本古典文学大系別巻)』(佐竹昭広/[ほか]編 岩波書店 2004.3)
「全句索引」「人名索引」「地名索引」「枕詞索引」「萬葉集年表」に分かれています。
「全句索引」はp.55に「いせのあまの」「いせのうみのあさなぎに」など11項目あり、それぞれ何巻の何首の歌かわかります。
「地名索引」はp.477に「伊勢」があり、該当する21首が何巻の何首か記載しています。
・『萬葉集索引』(古典索引刊行会/編 塙書房 2003.2)
p.67に「いせ」「いせのうみ」など5項目あり、それぞれ何巻の何首の歌かわかります。
・『萬葉集地名歌総覧』(樋口和也/著 近代文芸社 1996.6)
巻末「地名索引」に「アカシオホト(播磨・明石)」「アシガラヤマ(相模・足上/足下)」など万葉集に出てくる地名が50音順に配列されています。p.677に「イセ」から始まるものが8項目あり、それぞれ何巻の何首の歌かわかります。
・『万葉集総索引』単語編(正宗敦夫/編 平凡社 1983.6)
p.77に「伊勢(イセ)」「伊勢斎宮(イセノイツキノミヤ)」「伊勢乃海(イセノウミ)」など10の項目が立てられており、それぞれ何巻の何首の歌かわかります。
この本には「伊勢神宮(イセノオホカミノミヤ)」の項目があり、第1巻第22首、第2巻第105首、第2巻第166首に「伊勢神宮」が使われています。
・吉村誠「万葉集検索データベース」(2019/8/27現在)
http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~y_makoto/
現在このデータベースは閉鎖されてますが、エクセルを含むテキストデータをダウンロードして確認することができます。エクセルデータには「題詞」「原文」「訓読」「仮名」「左注」「校異」「事項」などが項目となっています。「伊勢」で検索すると80の項目がヒットします。
検索は、あくまで表現された言葉の検索となりますので、「伊勢」や「伊勢神宮」を歌ったものかまでは読み込まないとわかりません。
[事例作成日:2019年8月27日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 10版)
- 参考資料
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- 新日本古典文学大系 別巻[5] 佐竹/昭広∥[ほか]編集委員 岩波書店 2004.3 (55、477)
- 萬葉集索引 古典索引刊行会∥編 塙書房 2003.2 (67)
- 万葉集地名歌総覧 樋口/和也∥著 近代文芸社 1996.6 (677)
- 万葉集総索引 単語篇 正宗/敦夫∥編 平凡社 1983 (77)
- http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~y_makoto/ (吉村誠「万葉集検索データベース」(2019/8/27現在))
- キーワード
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- 和歌(わか)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000265381