レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年08月31日
- 登録日時
- 2019/12/21 10:18
- 更新日時
- 2019/12/24 14:50
- 管理番号
- 0000110809
- 質問
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解決
公立図書館が所蔵している戦前の雑誌をデジタル化し、一般に広く利用してほしいと考えている。著作権法上の問題があるか。
- 回答
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著作権法の解説書である資料1によると、図書館の蔵書のうち、いわゆる稀覯本については、保存のために許諾なく複製することができる。(第31条第1項第2号)また、絶版等により入手が困難な資料については、他の図書館の求めに応じて複製を提供することができる。(第31条第1項第3号)
いずれも、「複製」にはデジタル化を含むものと思われる。なお、複製の主体は図書館である。
ただし、対象資料に、著作権の存続している著作物が収録されている場合、ウェブ上での公開(公衆送信権を侵害)や、プリントアウト(複製権の侵害)等には留意する必要がある。
参考(2019年12月21日最終確認)
著作権なるほど質問箱(文化庁)
「図書館が所有している貴重図書の傷みが激しいので、当該図書を電子化して保存したいと考えていますが、著作権の問題はありますか。」
https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000517
「図書館資料を電子化して、館内パソコンでのみ閲覧することができるようにすることは、著作権法上認められるでしょうか。」
https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000526
著作権審議会第4小委員会報告書第2章2(公社著作権情報センター)
https://www.cric.or.jp/db/report/s51_9/s51_9_main.html#2_4
「ウ 図書館資料の保存のための複製について」によると、図書館がその所蔵している稀覯本の保存のため、複製することは可能、としている。
南 亮一「インフォプロのための著作権入門 第6回 著作権が働かない場合(3) 権利制限規定(その3)」(「情報の科学と技術」66(6), 293-295, 2016)
https://doi.org/10.18919/jkg.66.6_293
2014年度の文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会での検討結果を引用して「美術の著作物の原本のような代替性のない貴重な所蔵資料や絶版等の理由により一般に入手することが困難な貴重な所蔵資料について,損傷等が始まる前の良好な状態で後世に当該資料の記録を継承するために複製することは,〔著作権〕法第31条第1項第2号により認められると解することが妥当である」とある。引用部分の出典は以下のとおり。
「平成26年度法制・基本問題小委員会の審議の経過等について」(文化審議会著作権分科会(第41回)配布資料3,2015.3.p.10) PDF直リンク
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/bunkakai/41/pdf/shiryo_3.pdf
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 著作.編集 (021 9版)
- 図書館サービス.図書館活動 (015 9版)
- 参考資料
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半田, 正夫, 1933- , 松田, 政行, 1948-. 著作権法コンメンタール 2 第2版. 勁草書房, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026976407-00 , ISBN 9784326403066 (p213-215)
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半田, 正夫, 1933- , 松田, 政行, 1948-. 著作権法コンメンタール 2 第2版. 勁草書房, 2015.
- キーワード
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- 著作権
- 電子化
- デジタル化
- デジタルアーカイブ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000271067