レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/12/22
- 登録日時
- 2018/03/12 00:30
- 更新日時
- 2018/03/13 09:19
- 管理番号
- 千県中参考-2017-32
- 質問
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解決
(1)干しブドウと(2)生果ブドウがいつ頃、どのような法令により輸入自由化されたのか知りたい。
- 回答
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「コトバンク」(https://kotobank.jp/)内「自動承認制度」(『ブリタニカ国際大百科事典』)の見出しによると、輸入自由化とは次のような意味です。
「輸入品目に対する輸入承認の方式によって、輸入割当て制度(IQ制)、自動輸入割当て制度(AIQ制)および自動承認制度(AA制)の3つに分けられる。(中略)一般に自由化品目とはAA制とAIQ制下の品目をいい、IQ品目は非自由化品目である。」
そして、輸入自由化(数量制限撤廃)については次の法令が関係しています。
・外国為替及び外国貿易法(第52条)
・輸入貿易管理令(第3条第1項、第4条など)
・経済産業省告示
(以下、関連のウェブサイト)
「輸入が制限されている食品:日本 貿易・投資相談Q&A」(JETRO日本貿易振興機構)
(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010176.html)
「一般セーフガードについて セーフガード関係情報」(農林水産省)
(http://www.maff.go.jp/j/kokusai/boueki/sg_kanren/)
特に、問合せの(1)干しブドウと(2)生果ブドウは、通商産業省(経済産業省の前身)の告示によって輸入自由化されています。以下、関連箇所を引用します。
(1)干しブドウは、昭和36年(1961年)自動承認制の対象品目になりました。
【資料1】『官報』昭和35年(1960年)10月22日 号外 第108号 告示
「通商産業省 告示 第五百四十九号」
「第3回輸入公表(自動承認制)
商品番号 品目
051-0720 ココやしの実(デシケイテツドココナツトを除く。)」
【資料2】『官報』昭和36年(1961年)1月25日 本紙 第10227号 告示
「通商産業省 告示 第十六号」
「輸入貿易管理令(昭和二十四年政令第四百十四号)第三条の規定に基づき、昭和三十五年十月通商産業省告示第五百四十九号(輸入に関する事項の公表(第三回)を行なう件)の一部を次のように改正する。
051-0720 ココやしの実(テシケイテツトココナツトを除く。)
を
051-0720 ココやしの実(テシケイテツトココナツトを除く。)
052-0120 干しぶどう
に改める。」
(2)生果ブドウは、昭和46年(1971年)非自由化品目の一覧から削除されました。
【資料3】『官報』昭和41年(1966年)4月30日 号外 第52号 告示
「通商産業省告示 第百七十号」
「第一回輸入公表
輸入割当てを受けるべき貨物の品目は、次の表に掲げる自由化されていない品目(南西諸島物資および小笠原群島原産の物資を除く。以下「非自由化品目」という。)および同表の第二に掲げる輸入割当てが自動的になされるべき品目(南西諸島物資および小笠原群島原産の物資を除く。以下「自動輸入割当品目」という。)とする。
第1 自由化されていない品目(非自由化品目)
関税率表の番号等 品目
08・04-1 生鮮のぶどう(欧州系品種のものに限る。)」
【資料4】『官報』昭和45年(1970年)12月28日 本紙 第13208号 告示
「通商産業省告示 第八百九号」
「昭和四十一年四月通商産業省告示第百七十号(輸入割当てを受けるべき貨物の品目、輸入についての許可を受けるべき貨物の原産地または船積地域その他貨物の輸入について必要な事項の公表(第一回)を行なう件)の一部を次のように改正し、昭和四十六年一月一日から適用する。
第一号の表第一中第08・04-1の項、(中略)を削る。」
なお、過去の告示については、県立図書館で導入している「官報情報検索サービス」(https://search.npb.go.jp/kanpou/)で確認できます。
(インターネット最終アクセス:2018年1月31日)
- 回答プロセス
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まず、「生果ブドウ」「生鮮ブドウ」「干しブドウ」「乾ブドウ」「輸入」「自由化」「非自由化」「数量制限」等のキーワードでインターネット検索をして、以下の論文を参照、問合せの各品目の輸入自由化の時期を特定しました。
内藤欽一「ブドウ酒醸造にける原料問題」(『日本釀造協會雜誌』67巻9号 1972)p.757-761
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/67/9/67_9_757/_article/-char/ja/)
p.760「干ブドウの輸入は昭和36年から自由化され」
小曽戸和夫「かんきつの需給と流通利用の諸問題」(『日本食品工業学会誌』22巻2号 1975)p.94-103
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/22/2/22_2_94/_article/-char/ja/)
p.97「現在、自由化されている生鮮果実は(中略)ブドウ、パイナップル、イチヂク、クリ、ナッツであるが、最近の輸入情況は表6のとおりで、イチヂクの輸入はほとんどなく、リンゴは少量あるがブドウは47年以来急増している。」
清水徹朗[ほか]「貿易自由化と日本農業の重要品目」(『農林金融』65巻12号 2012)p.20-43
(https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/4564.html)
p.24「第2表 農産物貿易自由化の過程」
(1971年)主な輸入数量制限撤廃品目:ブドウ、リンゴ、グレープフルーツ、豚肉、紅茶、ナタネ
続いて、関係する法令について調べました。「コトバンク」内「自動承認制度」の項目や次のウェブサイトを参照して、日本の輸入制度の概要を確認しました。
「輸入が制限されている食品:日本 貿易・投資相談Q&A」(JETRO日本貿易振興機構)
(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010176.html)
「食品を含む貨物の輸入に国が必要な制限や管理を行う場合があります。この制限や管理のもとに、特定の食品を輸入しようとする者は、経済産業大臣から輸入の承認を受けなければなりません。この輸入貿易管理制度は、外国為替及び外国貿易法(第52条)および輸入貿易管理令(第3条第1項、第4条など)により規定されています。」
「一般セーフガードについて セーフガード関係情報」(農林水産省)
(http://www.maff.go.jp/j/kokusai/boueki/sg_kanren/)
「我が国においては、関税の引上げについては関税定率法第9条及び緊急関税等に関する政令、輸入数量制限については外為法及び輸入貿易管理令に基づく経済産業省告示をもって規定されている。」
経済産業省の前身である通商産業省の告示を調べるため、「官報情報検索サービス」(https://search.npb.go.jp/kanpou/)で先に特定した時期(1961年及び1971年)の前後を指定して、「通商産業省」「告示」「輸入」「ぶどう」「干しぶどう」「08・04」等のキーワードにより検索しました。その結果、関連の告示【資料1】から【資料4】が見つかりました。
- 事前調査事項
- NDC
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- 果樹園芸 (625 9版)
- 園芸利用 (628 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『官報』昭和35年(1960年)10月22日 号外 第108号 告示「通商産業省 告示 第五百四十九号」
- 【資料2】『官報』昭和36年(1961年)1月25日 本紙 第10227号 告示「通商産業省 告示 第十六号」
- 【資料3】『官報』昭和41年(1966年)4月30日 号外 第52号 告示「通商産業省告示 第百七十号」
- 【資料4】『官報』昭和45年(1970年)12月28日 本紙 第13208号 告示「通商産業省告示 第八百九号」
- キーワード
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- 貿易(ボウエキ)
- 貿易統制(ボウエキトウセイ)
- ぶどう(葡萄)(ブドウ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 法情報
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000232423