レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年07月23日
- 登録日時
- 2010/07/02 16:10
- 更新日時
- 2010/07/23 13:05
- 管理番号
- 京大文-20100723
- 質問
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解決
京都大学文学研究科図書館所蔵の貴重書『金剛頂瑜伽(ゆが)経』について、当時の購入状況と購入を希望した教員が知りたい。
- 回答
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・購入状況について
図書原簿には、大正5年1月20日に佐々木惣四郎(竹苞楼)より5円で購入したと記載されていました。
・購入を希望した教員について
「藝文」第7年第8号(大正5年8月発行)に、吉澤義則による「真言宗の乎古止点(承前)」と題された文章があり、この中に「金剛頂瑜伽中略出念誦経第四」(730頁)等への言及が見られます。吉澤助教授が当時京都大学文学部で国語学の教鞭を執っていたことは、『京都大学文学部五十年史』201-203頁から確認できます。
在職期間と研究分野から考え、吉澤義則助教授が購入を希望された可能性が高いと考えられます。
- 回答プロセス
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1.現物から登録番号・購入年月日・請求記号を得る。
2.図書原簿から、代価5円で佐々木惣四郎から購入されたことがわかる。佐々木惣四郎が竹苞楼という古書店の主であることは例えば次のウェブページで確認できる(http://www.city.kyoto.jp/somu/rekishi/fm/nenpyou/htmlsheet/bunka23.html 最終確認2010.7.2)。
以上を依頼者に回答したところ、当時購入を希望した教員について尋ねられる。後日依頼者自身が竹苞楼を訪問したが、購入記録は残っていなかったとのこと。
3.図書原簿には、購入を希望した教員名までは残っていない。手がかりを求め、当時の京都大学文学部の学会誌である「藝文」(当館請求記号:東館雑誌/け/84)を参照することにする。購入年月付近の号を確認したところ、第7年第8号(大正5年8月発行)収載の吉澤義則による文章中に「金剛頂瑜伽中略出念誦経第四」への言及を発見する。
4.京都大学文学部の元教授について調べるには『京都大学文学部五十年史』(当館請求記号:閲覧室R29)が有効である。同書から、吉澤義則が当時文学部で国語学の教鞭を執っていたことがわかる。
5.3・4から、断定はできないが、吉澤義則助教授が購入を希望された可能性が高いと判断できる。
※吉澤義則の在職期間(参照:『京都大学文学部五十年史』)
明治41年5月 助教授に任ぜられる(国語学担当)
大正8年7月 教授に昇任
昭和11年8月 停年退官し名誉教授に
- 事前調査事項
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講義の教材である『金剛頂瑜伽経』(国文 To∥2)の来歴に興味が湧き現物を確認したが、いつ購入されたか等の情報は得られなかったとのこと。
- NDC
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- 経典 (183 9版)
- 文法.語法 (815 9版)
- 参考資料
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- 「藝文」 京都文學會/開政館出版部/1910 (京都大学文学部の学会誌)
- 『京都大學文學部五十年史』京都大學文學部[編]/ 京都大學文學部/1956
- キーワード
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- 密教-金剛頂経
- 古書店-竹苞楼-佐々木惣四郎
- 吉澤義則
- 貴重書
- 照会先
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- フィールド・ミュージアム京都(※京都市歴史資料館による情報提供システム) http://www.city.kyoto.jp/somu/rekishi/fm/_index.html
- 寄与者
- 備考
- 回答の公開については、依頼者本人の了承を得ています。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 国文学
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000068694