レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/06/20
- 登録日時
- 2015/01/28 16:38
- 更新日時
- 2015/03/17 15:40
- 管理番号
- 埼久-2014-154
- 質問
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未解決
塩分を含んだ水の意味を中国では「鹹水」から「汽水」をつかうようになった。その理由と時期を知りたい。現在中国でカン水とは、病気にならないことで知られている天然ソーダ水のことである。
- 回答
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現在中国で、一般に汽水を「塩を含んだ水」の意で使用しているとする資料は見当たらなかった。また、鹹水を「炭酸水」としている資料も見あたらない。鹹水(塩を含んだ水)と汽水(炭酸水)は別物と思われる。
- 回答プロセス
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NDC分類〈823〉〈813.1〉〈813.2〉の参考図書にあたる。
『大漢和辞典 12』(諸橋轍次著 大修館書店 1986)
p896 鹹水の項に天然ソーダ水についての記載なし。塩水を指す内容あり。
『大漢和辞典 6』(諸橋轍次著 大修館書店 1986)
p957「汽水」の意味として川の名、ラムネの類あり。
『日本国語大辞典 4』(小学館 2001)
p121「汽水」の意味として「海水と淡水が混じりあった低塩分の水。汽水湖、内湾、河口部などの水に見られる。」とあり。
食文化関係資料にあたる。
『新櫻井総合食品事典』(荒井綜一編 同文書院 2012)
p210「かんすい (木+見)水[Alkaline water] 中華そばの製造の際にもちいられるもので、乾水、鹹水、漢水とも書く。[成分]元来、天然産のものであり、その採取場所によって成分は異なるが、優良品はおもに炭酸カリウムからなり、ほとんど飽和溶液に近いものである。現在用いられているのは、食品衛生の面もあって、試薬用特級、または局方の純良品を溶かしたもので、「炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびリン酸類のカリウムまたはナトリウム塩のうち1種以上を含む。」とされている。(以下略)」とある。
『食品大百科事典』(食品総合研究所編 朝倉書店 2001)
p216「中華めん」についての説明の中に「かんすいのもとは、中国の鹹湖から得た鹹水や 鹹石、草木の灰汁を水に溶かしたものが小麦粉の捏ね水として使用されたことに由来する。かんすいは食品衛生法で成分規格が定められ、食品添加物となっており、「かんすいは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびリン酸類のカリウムまたはナトリウム塩のうち1種以上を含む。」と定義される。」と記載されている。
『ミネラルの事典』(糸川嘉則編 朝倉書店 2003)
p36「海水を濃縮していくと、約8倍濃縮の段階で硫酸カルシウム(CaSO4)が沈殿する。このとき残存した海水が「かん水」とよばれ」とある。
『調味料・香辛料の事典』(福場博保編集 朝倉書店 1991)
p81「中国では古くから呈味質を分類して鹹・甘・酸・辛・苦の5味とした」とあるが、「鹹」の具体的な説明なし。
p85「天日塩」から塩を製造する方法として、「地下かん水(濃い塩水のこと)を原料とすることもある」とある。
インターネット情報を調べる。
《Google》(http://www.google.co.jp/ Google 2014/6/10最終確認)を〈天然ソーダ水 & 中国〉で検索する。
個人サイトに、「鹹水は塩水の意味と鹹石を溶いた水の両方の意味で使っていたのではないかと思われる」との推測あり。
《ウィキペディア》「鹹水」の項目(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B9%B9%E6%B0%B4 ウィキメディア財団 2014/06/12最終確認)に、「鹹水(かんすい)は、塩化ナトリウムなどの塩分を含んだ水である。代表的な鹹水は海水であり、海水との境界に存在する汽水も鹹水に含まれる」とあり。
《CiNii Articles》(http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所 2014/06/14最終確認)を〈鹹水〉で検索する。
「地下鹹水の定義と事例」(「日本海水学会誌 60(2)」p86-90 日本海水学会 2006)(J-STAGEに全文あり。https://www.jstage.jst.go.jp/article/swsj1965/60/2/60_86/_pdf 2014/6/18最終確認)
この論文によると、「一般に塩分濃度だけから判断すると,鹹水(Brine water)、塩水(Salt/Seawater)、汽水(Brackish water)の順で薄くなっていくように感じるが,日本語に関する限り必ずしもそうとは言えないようである」とのこと。また鹹水の明確な定義はみつからないとし、「地下の鹹水(Brine water of under ground)をつぎのように定義する;「地下鹹水とは,一般に塩分濃度が35,000mg/L(海 水)より多く含まれている深層の陸水に対する総称である」」と定義づけている。
調査済み資料
『大漢和辞典 7』(諸橋轍次著 大修館書店 1986)
『広辞苑』(新村出編 岩波書店 2008)
『字統』(白川静著 平凡社 2004)
『中日・日中辞典 繁体字版』(王萍編 三修社 2001)
『中日大辞典』(愛知大学中日大辞典編纂処編 大修館書店 1987)
『漢字類編』(小林博編 木耳社 1982)
『世界たべもの起源事典』(岡田哲編 東京堂出版 2005)
『中国料理小辞典』(福冨奈津子著 柴田書店 2011)
『中国語同音字典』(中国大辞典編纂処編 白帝社 1985)
『古漢字典』(水野恵著 光村推古書院 1984)
『中日漢語対比辞典』(張淑栄編 ゆまに書房 1987)
『日中韓同字異義小事典』(佐藤貢悦著 勉誠出版 2010)
『漢字ときあかし辞典』(円満字二郎著 研究社 2012)
『中国の食文化』(周達生著 創元社 1989)
- 事前調査事項
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事前調査事項 鹹水の語源は湖辺、川岸で干上がった石鹸の意味と、飲むと病気にならない意味がある。したがって、人が口にすると危険なものと健康になる意味合いがある。そこで、中国は『鹹水』の天然ソーダ水に『汽水』をあてるようになったのではないか。
- NDC
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- 語源.意味[語義] (822 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 中国語-語源
- 漢字
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000166871