レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年04月22日
- 登録日時
- 2015/03/28 13:45
- 更新日時
- 2015/05/01 15:06
- 管理番号
- 埼熊-2014-104
- 質問
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解決
『近江国古高村 御条目(現在の滋賀県守山市古高村)』の古文書条目内の「夫割(ぶわり)」の意味が知りたい。人足仕事(インフラ整備等)に関する村の条目について書かれた文中に出てきた。
- 回答
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以下の資料に関連する記述があった。
『近世村落社会の身分構造』(畑中敏之著 部落問題研究所 1990)
p90「表②「夫割番給年貢取帳」の概要(文政13年)」あり。
「これは、(河内国若江郡荒本村の)毎年の歳出・歳入の細目及びその徴収方法までのほぼ全ての内容が記載されている村落財政の基本帳簿である」とあり。
p95「「夫割番給年貢取帳」は、毎年度の決算を示すものなのであるが、(中略)「夫」というのは、年末(十二月段階)徴収の高掛分であり、(後略)」とあり。
※高掛(たかがかり)別名成箇(なりか)
「江戸時代、年貢用語の一つ。郷帳に記載される本途物成(ほんとものなり)・夏成(なつなり)・小物成(こものなり)・高掛りなど定納貢租をいう。」(『日本史用語大辞典 用語編』p518「成箇」)
『体系日本史叢書 16 生活史』(山川出版社 1973)
p105「「夫割帳」という名の村入用帳が残っている。これは、その名のように、もとは実際の労働力を出していたのを貨幣で出すようになってからの帳面である。」とあり。
『高陽町史』(広島市編 広島市 1979)
p171「この免状をもとにして、村方では定物成以下の諸負担を村民に割付ける台帳として、免割帳や夫割帳を作成した。」とあり。
『国史大辞典 13』(吉川弘文館 1992)
「15 下 事項索引」より、「夫割」はp676「村財政」の項に記述あり。
「(近世の)村の財政(またはその支出)は、一般には「村入用」という言葉で総称されることが多く、夫(歩)割・万雑(公事)・入箇などともいわれる。」とあり。
『日本中世の法と経済』(下村効著 続群書類聚完成会 1998)
p357「(土佐一宮の土佐神社の)再建工事には多大の資材と労務を要したが、その人夫徴達を記録永禄十一年六月十二日付の「一宮再興人夫割帳」(中略)が土佐神社に現存している。(中略)割当人夫は給人一人に対し最低一人から最高は百三十人であり、(後略)」との記述あり。
《Googlebooks》(http://books.google.co.jp/books?id=0GEDMHm1DhMC&pg=PA28-IA39&dq=%E5%A4%AB%E5%89%B2&hl=ja&sa=X&ei=2ZhMU8bCMsvNlAXu1ID4Aw&ved=0CDQQ6AEwAQ#v=onepage&q=%E5%A4%AB%E5%89%B2&f=false Google 2014/04/15最終確認)
- 回答プロセス
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参考図書やNDC分類〈210.4〉〈210.5〉の資料を確認したほか、《Googlebooks》《国会図サーチ》(http://iss.ndl.go.jp/ 国会図 2014/04/15最終確認)を〈夫割〉で検索し、該当した資料を確認した。
- 事前調査事項
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調査依頼館で以下の事典を調査するが、該当なし。
『古文書用字用語大事典』(池田正一郎著 新人物往来社 1995)
『大漢和辞典』(諸橋轍次著 大修館書店 1980-1986)
『日本国語大辞典』(小学館 2001-2002)
『国史大辞典』(吉川弘文館 1979-1997)
『日本語大辞典』(講談社 1989)
「学研国語大辞典」(学習研究社 1989)
『江戸語辞典』(東京堂出版 1991)
- NDC
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- 日本史 (210 9版)
- 租税 (345 9版)
- 農業経済・行政・経営 (611 9版)
- 参考資料
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- 『近世村落社会の身分構造』(畑中敏之著 部落問題研究所 1990) , ISBN 4-8298-2036-5
- 『体系日本史叢書 16 生活史』(山川出版社 1973)
- 『高陽町史』(広島市編 広島市 1979)
- 『国史大辞典 13』(吉川弘文館 1992) , ISBN 4-642-00513-7
- 『日本中世の法と経済』(下村効著 続群書類聚完成会 1998) , ISBN 4-7971-0659-X
- キーワード
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- 夫割
- 年貢
- 租税
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000170002