大河内存真の『蟲類冩集』のヨミを確認したい。

『Catalogue of pre-Meiji Japanese books and maps in public collections in the Netherlands : オランダ国内所蔵明治以前日本関係コレクション目録』のp.62に“154.　［CHURUI SHASHU　虫類写集］”、“Illustrator:Okochi Sonshin 大河内存真（1796-1883）”とあります。したがって、ヨミは「チュウルイシャシュウ」でよいと思われます。

（1）大河内存真は江戸時代末期の尾張の本草学者・博物学者で、大河内存真がシーボルトに贈った『蟲類冩集』の説明書*1（石井宗謙が蘭訳したもの）に日本産トンボの最小種であるハッチョウトンボについて“八七、ハツチウトンボ。（中略）これは日本に於もヤダノテツポウバハツチウメ（矢田鉄砲場八丁目）にのみ発見せられ、その為にハツチウトンボの名を有する（雄）。”（江崎悌三による和訳）と書かれていることから、ハッチョウトンボの和名の命名者として知られています。

*1=「Aanteekeningen tot de Afbeelding van eenige Japansche Insekten door O.Sonzin vertaald door Sjoo-gen.」、一部ですが『日本動物学史』に蘭訳とその和訳があります。

（2）「ハッチョウトンボ」についての質問はよくあるため、過去のレファレンス記録の参考資料を調べてみると、大河内存真の著作については『蟲類冩集』・『虫類写真』・『蟲類写真集』など、資料によりその書名について微妙に異なっていましたが、いずれもヨミは書かれていませんでした。

　・『愛知百科辞典』　→　『蟲類冩集』
　・『シーボルト「日本」の研究と解説』　→　「270　蟲類冩集　一册」
　・『新・シーボルト研究　1　自然科学・医学編』　→　「270　虫類写真（大河内存真）　一冊」
　・『原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑』、『日本産トンボ幼虫・成虫検索図説』　→　『蟲類写真集』

（3）大河内存真がシーボルトに贈った『蟲類冩集』（稿本）は「シーボルト蒐集日本図書目録」にあることから、現在もオランダにある可能性が高いと考え、オランダ国内所蔵の和書の目録がないか調べてみると、『Catalogue of pre-Meiji Japanese books and maps in public collections in the Netherlands : オランダ国内所蔵明治以前日本関係コレクション目録』があり、同書には“154.　［CHURUI SHASHU　虫類写集］”、“Illustrator:Okochi Sonshin 大河内存真（1796-1883）”と書かれていました。