レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 所沢市立所沢図書館 (2310110) | 管理番号 (Control number) | 所沢椿峰-2019-012 | ||||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2016/08/17 | 登録日時 (Registration date) | 2020年03月25日 00時30分 | 更新日時 (Last update) | 2020年03月25日 09時06分 | ||||||||||||
質問 (Question) | 昔話の変遷や変容について書かれた本を見たい | ||||||||||||||||
回答 (Answer) | 下記資料に記載があります。 〇『昔話は残酷か』 野村泫/著 東京子ども図書館 1997年 〇『こんにちは、昔話です』 小澤俊夫/著 小澤昔ばなし研究所 2009年 〇『昔話と文学』 野村泫/著 白水社 1988年 〇『日本昔話ハンドブック』 稲田浩二/編 三省堂 2010年 〇『昔話絵本を考える』 松岡享子/著 日本エディタースクール出版部 2002年 〇『昔話の本質と解釈』 マックス・リューティ/著 福音館書店 1996年 〇『河合隼雄著作集 [第1期]5』 河合隼雄/著 岩波書店 1994年 〇『昔話とは何か』 小澤俊夫/著 小澤昔ばなし研究所 2009年 〇『昔話入門』 小沢俊夫/編著 ぎょうせい 1997年 〇『もっと知りたいグリム童話』 野村泫/著 筑摩書房 2004年 〇『グリム童話』 野村泫/著 筑摩書房 1993年 〇『日本における外国昔話の受容と変容』 久保華誉/著 三弥井書店 2009年 | ||||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | 1.所蔵資料の内容確認 〇『昔話は残酷か』 野村泫/著 東京子ども図書館 1997年 P9-14「一 昔話の残酷な場面」に、「赤ずきん」や「白雪姫」、「ガチョウ番の娘」を例に、元の話と再話された話の違いについて比較し解説が記載されている。昔話に登場する肉体的な苦痛を感じさせる「残酷な場面」は「子どもを残酷な行為に赴かせる」という考えのもと、再話されたと考察されている。 P55-57「五 心理学の立場から」に、「赤ずきん」の話を改作した改作者の理由について、子どもは悲劇的な話を喜ばないため赤ずきんも狼も殺されない話に書き換えたと記載されている。 〇『こんにちは、昔話です』 小澤俊夫/著 小澤昔ばなし研究所 2009年 P158「第四章 昔話は何を語っているのかー若者の成長物語/残酷か?」の「昔話の残酷を嫌う傾向は日本経済の高度成長と比例している」の項目に「生活がきれいになり、清潔になるのと比例して、昔話のいわゆる残酷な出来事が気になりだした」と記載されている。 〇『昔話と文学』 野村泫/著 白水社 1988年 P60-75「Ⅰ 昔話と子ども グリムの昔話の文体ー子どもが視野に入ってきた」の「一 子どもが視野に入ってきた」「二 創作童話化が進んだ」の項目に、『蛙の王様』や『ヘンゼルとグレーテル』の1810年の初稿と1857年の最終版を比較し、登場人物の人間味が増し情景の描写が念入りになる等の解説が記載されている。 〇『日本昔話ハンドブック』 稲田浩二/編 三省堂 2010年 P6「第一部 日本昔話への招待」の「1 日本昔話とは何か」の「(6)昔話の伝承」に、昔話の語りについて「古い話を新しい世代に合わせて語り変える」「わかりにくくなった用語は改められ、納得されない筋は変えられる。」と記載されている。 〇『昔話絵本を考える』 松岡享子/著 日本エディタースクール出版部 2002年 P90-114「四 昔話絵本が昔話から奪うもの」で、絵本を見て読む際は視覚が先行して知的なイメージを描くが、昔話を耳で聴く時は視覚以外の感覚に訴えたイメージを引き出して物語を楽しむことができると記載されている。 また、昔話の語りは時間が刻々と動いて行くが絵は一点で止まるため、絵本は語りほど間合いが取れないことや、語りは受け手が個々のイメージを描くことができるが絵本は画家のイメージを受け取ることになるなどの点について記載されている。 〇『昔話の本質と解釈』 マックス・リューティ/著 福音館書店 1996年 P279「第二部ー昔話の解釈ー」の「第二章 白雪姫」に初版と後の版について、初版は素朴だが後の版は文章を膨らませて「文体的に磨きをかけて、口伝えの昔話から洗練された読む昔話を作り出した。」と記載されている。 〇『河合隼雄著作集 [第1期]5』 河合隼雄/著 岩波書店 1994年 P208-213「昔話の残酷性について」の章で、昔話の残酷性に疑問を感じる人は子ども向けに話を作り変えることについて記載されている。 グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」では子どもを棄てる親は当初実母だったが後に継母と書き直され、「かちかち山」や「猿蟹合戦」では原話では残酷な場面で話が終了し、後に書き直された話では仇討の場面が盛り込まれた例が紹介されている。 〇『昔話とは何か』 小澤俊夫/著 小澤昔ばなし研究所 2009年 P70-79「第一章 昔話の語り口」第4項「グリム童話の場合」の「グリム童話の変遷」に、グリム童話の「つぐみひげの王さま」を例に、1812年初版と初版の元になったエーレンベルク稿、1857年決定稿の比較について記載されている。エーレンベルク稿は会話体が確立されておらず、説明的で場面の印象が乏しいが初版では会話体が整えられ、決定稿では会話体がはっきり具体性を帯び、口伝えされてきた昔話の「純粋さ」「単純さ」「自然なもの」の性質を明らかにしたと記載されている。 〇『昔話入門』 小沢俊夫/編著 ぎょうせい 1997年 P115-129「第3章 グリム童話の成立と特徴」「三 『グリム童話集』の文体ー「赤ずきん」の検討」に、ペローとグリムによる「赤ずきん」の変容について記載されている。 ペローの「赤ずきん」では赤ずきんが狼に食べられて「不幸な結末」で話が終わり教訓が付されているが、グリムでは「狩人による赤ずきんの救出と狼の死」により幸福な結末を作り上げた旨が記載されている。 P129~139にグリムの「赤ずきん」について初版から1957年版までの移り変わりについて記載されている。1950年版(第6版)に登場人物である母親の台詞を膨らませ狼の悪さを強調する表現が見受けられ、教育的効果の狙いがあったと指摘している。 〇『もっと知りたいグリム童話』 野村泫/著 筑摩書房 2004年 P62-74「Ⅰ グリム童話の根底にあるもの」の「初版と第七版版との違い」に「蛙の王さま」や「ヘンゼルとグレーテル」、「ラプンツェル」を例に挙げ、1810年の初稿と1812年の初版から1857年の第七版がどのように変容されたか記載されている。初稿と初版では話の進行が整合され描写が詳しくなり、登場人物の人間的なふくらみが増して行き、読み手の子どもを視野に入れた描写がされている点について記載されている。 〇『グリム童話』 野村泫/著 筑摩書房 1993年 P102-108「ⅱグリム童話は封建的である」の「大人のためのメルヘンから子どものためのメルヘンへ」に、グリムが民衆のためのメルヘンから子どもに合わせて手を加え物語を創作したことについて「蛙の王様」や「マリアの子」を例に記載されている。 〇『日本における外国昔話の受容と変容』 久保華誉/著 三弥井書店 2009年 P66-80「第二編 受容されたグリムの変遷」「第一章 グリム・落語・昔話」の「ニ.グリム・落語・昔話の梗概」に、グリム童話の「死神の名付け親」を例に初版と第七版の違いについて、容赦ない恐ろしさを増した描写がされていることについて記載されている。 2.下記資料には記載がありませんでした。 ×『昔話と日本人の心』 河合隼雄/著 岩波書店 2002年 ×『昔話と文学』 柳田国男/著 角川学芸出版 2013年 ×『昔話の時空』 日本昔話学会/編 三弥井書店 1990年 ×『昔話の深層』 河合隼雄/著 福音館書店 1983年 ×『昔話の森』 野村純一/著 大修館書店 1998年 ×『昔話と絵本』 石井正己/編 三弥井書店 2009年 | ||||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||||||||||
備考 (Notes) | |||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 | 内容種別 (Type of subject) | その他 | 質問者区分 (Category of questioner) | 高校生 | ||||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000276502 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |