レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年08月09日
- 登録日時
- 2012/08/16 15:49
- 更新日時
- 2012/11/29 13:18
- 管理番号
- 埼久-2012-045
- 質問
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解決
演劇「人を食った話」(長野県伊那文化会館付属劇団「南信協同」平成23年度公演)の元となったチェーホフの作品の題名と所蔵館が知りたい。『宮本研戯曲集1』に「人を食った話」が掲載されている。
- 回答
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『麦・宮本研の 1954-1962 宮本研の肖像 1』(麦の会編 麦の会 1989)p21に、「人を食った話」はチェーホフ原作、下村正夫脚色の「結末のない話」の第3話「悪党」を参考にしたものだという記載あり。
『転形期のドラマトゥルギー 下村正夫演劇論集』に、「結末のない話」はチェーホフの初期作品を戯曲化して、第1話「花婿と将軍とドクトル」、第2話「誘惑」、第3話「悪党」としたとあり。
チェーホフの「悪党」は、「チェーホフ全集2 狩場の悲劇・悪党(ちくま文庫)」(松下裕 訳 筑摩書房 1994)、「幸福・谷間 」(松下裕 訳 麦秋社 1986)に収載あり。(県内公共図所蔵)
- 回答プロセス
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出典を調査するため、質問に記載されていた資料を確認する。
『宮本研戯曲集 1』(宮本研著 白水社 1989)
p37-55「人を食った話」登場人物は日本人3名。登場人物は検事・書記・老婆(被疑者)。内容は田舎の老婆の取調風景。
p322巻末の解説「「人を食った話」はチェーホフの原作を下村正夫が脚色した「結末のない話」の第3話である。」
p325巻末の初出一覧より「人を食った話」の初出誌は雑誌「テアトロ 1957年7月号」『テアトロ』は1965年2月以降の所蔵なので、該当資料は確認できず。県内未所蔵。
その他の宮本研関係の資料を調査する。
自館目録を〈宮本 研〉で検索する。
『麦・宮本研の 宮本研の肖像 1』(麦の会編 麦の会 1989)p21に公演当時のパンフの抜粋あり。
チェホフ原作、下村正夫脚色「結末のない話」の第3話「悪党」を参考にしたとの記載あり。
下村正夫の著書を調査する
「結末のない話」(下村正夫脚色 未来社 1957)は当館所蔵なし。
自館目録を著者〈下村正夫〉で検索する。4件所蔵あるが該当記述なし。
『転形期のドラマトゥルギー 下村正夫演劇論集』(下村正夫著 1977)
「結末のない話」(未来社 1952)のあとがきの転記あり。
p166「なお、このチェーホフの初期の短編から脚色したもののうち、(略)第3話「悪党」は、(後略)」とあり。
チェーホフの作品を調査する。
自館目録を著者名〈チェーホフ〉、書名〈結末のない話〉で検索する。
『チェーホフ全集 第5 小説』(チェーホフ著 神西清訳 中央公論社 1969)p58-59「結末のない話」自殺しようとした男との一夜の対話。
自館目録を著者名〈チェーホフ〉、書名〈悪党〉で検索する。
「悪党」の所蔵はなし。以下の資料に「悪党たち」はあり。
『チェーホフ全集 第7 小説』(チェーホフ 神西清訳 中央公論社 1969)
p122-128「悪党たち」宿屋のボーイが語った外国人と日食の話。演劇「人を食った話」とは内容が異なる。
チェーホフ全集16巻(中央公論社)の索引を見てみたが、小説・戯曲を含め該当しそうなものは見あたらない。
《NDL-OPAC》を著者名〈チェーホフ〉、書名〈悪党〉で検索する。
「チェーホフ全集2 狩場の悲劇・悪党(ちくま文庫)」(松下裕 訳 筑摩書房 1994)。(県内公共図所蔵)
「幸福・谷間 」(松下裕 訳 麦秋社 1986)以上は〈悪党〉で該当する。(県内公共図所蔵)
「悪党たち」「悪党」の異なる作品があるようだ。
- 事前調査事項
- NDC
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- 戯曲 (912 9版)
- 戯曲 (982 9版)
- 参考資料
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『宮本研戯曲集 1』(宮本研著 白水社 1989)
- 『麦・宮本研の 宮本研の肖像 1』(麦の会編 麦の会 1989)
- 『転形期のドラマトゥルギー 下村正夫演劇論集』(下村正夫著 1977)
- 「チェーホフ全集2 狩場の悲劇・悪党(ちくま文庫)」(松下裕 訳 筑摩書房 1994)
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「結末のない話(てすぴす双書)」(チェーホフ原作 下村正夫脚色 未来社 1952)
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『宮本研戯曲集 1』(宮本研著 白水社 1989)
- キーワード
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- 日本文学-戯曲
- チェーホフ,アントーン・パーヴロヴィチ(Chekhov, Anton Pavlovich)
- 下村 正夫(シモムラ マサオ)
- 宮本 研(ミヤモト ケン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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後日県内公共図所蔵資料を確認する。
「結末のない話(てすぴす双書)」(チェーホフ原作 下村正夫脚色 未来社 1952)
プロローグ・花婿と将軍とドクトル(旦那のエピソード)・誘惑(官吏のエピソード)・悪党(農民のエピソード)・エピローグで構成。はしがきに3話は「悪漢」(1885年)より脚色、訳者は中村白葉、各篇の筋立および人物は脚色構成者によりかなり自由な改変を加え、表題の「結末のない話」はチェーホフの同名短篇(1886)によったがその内容とは無縁とあり。(県内公共図所蔵)
悪党(農民のエピソード)は予審判事・農民・憲兵が登場人物。
「チェーホフ全集2 狩場の悲劇・悪党(ちくま文庫)」(松下裕 訳 筑摩書房 1994)p504-511「悪党」あり。巻末の解題に「ペテルブルグ新聞」1985年7月24日号に発表。署名A・チェホンテ。作品集「雑話集」(1986)に収める。マルクス版全集3巻に収録。原綴はЗлоумышленник
「チェーホフ全集4 幸福・くちづけ(ちくま文庫)」(松下裕 訳 筑摩書房 1994)p280-286「悪党たち」あり。解題に初出「破片」1988年8月8日号。署名A・チェホンテ。作品集「罪のない話」に収める。原綴はЗлоумышленники
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000110139