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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
同志社大学 今出川図書館 (3310014)管理番号
(Control number)
2017-065
事例作成日
(Creation date)
2017-12-22登録日時
(Registration date)
2018年02月20日 14時47分更新日時
(Last update)
2020年02月25日 11時22分
質問
(Question)
森鴎外『青年』の二十一章に出てくる『青い鳥』を探している。この『青い鳥』は「Charpentier et Fasquelle版」で「仮綴」、「青表紙」と書かれている。
回答
(Answer)
「Charpentier et Fasquelle版」「仮綴」「青表紙」のL'Oiseau Bleu(邦題:『青い鳥』)の3つの条件をすべて満たす本の所在は確認できませんでした。

しかし、『青年』本文で引用されている「青い鳥」と内容・ページ数が一致する、1909年出版(初版)のCharpentier et Fasquelle版L'Oiseau bleuが見つかりました。Internet Archiveにて公開されていますのでご確認ください。
https://archive.org/details/loiseaubleufer00maetuoft (参照:2018-02-20)

また、森鴎外の旧蔵書の文庫である鴎外文庫(東京大学)の中に、1909年発行のL'Oiseau Bleuがありましたので、先方に確認したところ、Charpentier et Fasquelle版で、表紙は紺に近い青色とのことですが、製本済みのものでした。

なお、『西洋の書物工房 ロゼッタ・ストーンからモロッコ革の本まで』(朝日新聞出版, 2014)によると、フランスでは近年まで、仮綴本を自分好みに製本するために購入する文化があったようです。

調査内容について、詳しくは回答プロセスをご参照ください。
回答プロセス
(Answering process)
1.森鴎外『青年』の確認
(1)森鴎外『青年』(岩波書店, 2017)
→p.199-200に「Charpentier et Fasquelle版」「仮綴」「青表紙」の『青い鳥』の記述あり。「Charpentier et Fasquelle」と「仮綴」については注釈あり。
→p.314の注釈に「Charpentier et Fasquelle」について「パリの書店。森鴎外は同書店刊『L'Oiseau Bleu(青い鳥)』(1909)」を所有していた。」とあり。
→p.315の注釈に「仮綴」について「仮製本。ここではその一つであるフランス装のこと。糸綴じしたままの中身に、四方を折り返した表紙を付けたもの。裁断されていない小口(書物と背の反対の側)、天地(書物の上下)をペーパーナイフで切って読む。」とあり。
→編集付記に『鴎外近代小説集 第四巻』(岩波書店, 2012)が底本であると記述あり。

(2)『鴎外近代小説集 第四巻』(岩波書店, 2012)
→p.224に「Charpentier et Fasquelle版」「仮綴」「青表紙」の『青い鳥』の記述あり。
→p.225に「Charpentier et Fasquelle」と「仮綴」について注釈あり。内容は(1)の資料と同じ。
→p.304に注釈の参考文献として、以下の3つが挙げられている。
・『森鴎外全集 第二巻』(筑摩書房, 1971)
・『青年』(新潮社, 2010)
・庄司達哉ほか「森鴎外『青年』注釈」(『近代文学 注釈と批評』第一号~第四号, 1994年1月~2000年1月)

(3)『森鴎外全集 第二巻』(筑摩書房, 1971)
→p.316に「Charpentier et Fasquelle」について「パリの書店」とのみ注釈あり。その他、仮綴についてなどは注釈なし。

(4)『青年』(新潮社, 2010)
→本学所蔵なし。所蔵している佛教大学図書館へ参考調査依頼したが、該当箇所の注釈には「(仏)パリの書店」とのみ記述あり、と回答あり。

(5)庄司達哉ほか「森鴎外『青年』注釈」(『近代文学 注釈と批評』第一号~第四号, 1994年1月~2000年1月)
→本学文学部研究室に第二~六号の所蔵あり。(※1)(※2)
 内容を確認したところ、第二~四号では第2~6章までの注釈しか載っていない。
 付記によると、注釈の内容は、東海大学大学院の講義にて討議された結果のものであるらしい。
 また、凡例に注釈の参考文献としては『森鴎外全集2』(筑摩書房, 1971)のみ挙げられている。(プロセス1(3)参照)
(※1)CiNii Booksを検索・確認したところ、第七号(2009年)で廃刊となっている。
(※2)国文学論文検索データベースを検索・確認したところ、「森鴎外『青年』注釈」は第一号~第四号にのみ掲載されており、調査対象の二十一章の注釈の掲載号の刊行は確認できなかった。

2.事典類の確認
(1)本学契約データベースJapanKnowledge Libにて検索
・『デジタル大辞泉』「青い鳥」
→「《原題、(フランス)L'Oiseau Bleu》メーテルリンク作の戯曲。1908年初演。翌年刊。」とあり。

・『日本大百科全書』「青年」
→「森鴎外(おうがい)の長編小説。1910年(明治43)3月から翌年8月まで『昴(スバル)』に連載。」とあり。

(2)その他、専門事典の確認
・『世界児童・青少年文学情報大事典 12巻』(勉強出版, 2004)
→p.218-224に「メーテルリンク, モーリス」の項目あり。p.223-224の著作目録には"L'Oiseau bleu, Fasquelle, 1909."とある。

・その他、『世界演劇事典』(開文社出版, 1999)、『演劇百科大事典』(平凡社, 1960)、『フランス文学辞典』(東京堂, 1972)、『フランス文学辞典』(白水社, 1974)、『児童文学事典』(東京書籍, 1988)、『オックスフォード世界児童文学百科』(原書房, 1999)に「青い鳥」の項目があったが、調査の参考となる情報は掲載されていなかった。

3.CiNii BooksにてL'Oiseau bleuの所蔵確認
(1)立教大学図書館所蔵のL'Oiseau bleu(NCID:BA68929224)のみCharpentier et Fasquelle出版のものであったため、「仮綴」「青表紙」でないか参考調査を依頼。
→回答あり。「仮綴」「青表紙」ではなかった。
(2)東京大学総合図書館所蔵のL'Oiseau bleu(NCID:BA09341729)の書誌を東京大学OPACにて確認したところ、鴎外文庫に1909年発行のL'Oiseau bleuがあるとわかった。
森鴎外の旧蔵書である鴎外文庫の一部が「鴎外文庫 書入本画像データベース」にて閲覧可能だが、L'Oiseau bleuは公開されていなかったため、東京大学総合図書館に参考調査を依頼。
→回答あり。Charpentier et Fasquelle版で、表紙は紺に近い青だったが、「仮綴」ではなかった。

4.海外のL'Oiseau bleuの所蔵確認
Charpentier et Fasquelle版のL'Oiseau bleuがフランスで出版されたことと、メーテルリンクがベルギー人であることから、(1)フランス国立図書館と(2)ベルギー王立図書館に絞って所蔵確認。
(1)フランス国立図書館(BnF)のOPACを検索
→1909年出版のCharpentier et Fasquelle版のL'Oiseau bleuの所蔵あり。「仮綴」「青表紙」でないか、参考調査を依頼。
http://catalogue.bnf.fr/ark:/12148/cb30856608n (参照:2018-02-20)
→「仮綴」「青表紙」ではないと回答あり。
※フランス国立図書館の電子図書館GallicaではCharpentier et Fasquelle版のL'Oiseau bleuはヒットせず。
http://gallica.bnf.fr/accueil/?mode=desktop (参照:2018-02-20)

(2)ベルギー王立図書館や大学図書館等の総合目録UniCatを検索
→マリーモント王立美術館に、1909年出版のCharpentier et Fasquelle版のL'Oiseau bleuの所蔵あり。備考欄(Remarques)に製本済みである旨が書かれていた。
http://www.webopac.cfwb.be/mariemont/Details/ChoiceFullCatalogue/7558 (参照:2018-02-20)

5.「仮綴本」について当館所蔵資料を調査
→NDC9:022(写本. 刊本. 造本)を参考に書架をブラウジング。

・『西洋の書物工房 ロゼッタ・ストーンからモロッコ革の本まで』(朝日新聞出版, 2014)
→p.122からの「仮綴本の誕生」の節に以下のように記述あり。仮綴のまま保管されている資料は少ないのではないかと考えられる。
「フランスでは少し前まで、文学書を中心として、多くの本が仮綴じで売られていた。」「仮綴本とは折帖が糸でごく簡単にかがられ、その折帖の背に薄手の表紙がニカワで軽くとめられた、原則としてアンカットの状態の本をいう。」「仮綴本とはまた、出版元が本格的な製本をせず、その本を購入した人が自分の好む書物に仕上げることのできる本といえる。」「(ルイ14世の勅命のもと)フランスでは長いあいだ、製本業者は本を製本する権利のみを有することとなり、書店では印刷された折帖が本格的に製本されないまま、仮綴じの状態で売られることになったのである。」

6.『青年』本文で引用されているL'oiseau bleuの一文と内容・ページ数が一致するL'oiseau bleuを確認。
質問者に参考に紹介した。

↓『青年』(岩波書店, 2017)のp.189に以下のように記述あり。

---

そこで純一は機先を制するように、本を手に取って、「L'oiseau bleu です」と云いながら、自分で中を開けて、初の方をばらばらと引っ繰り返して、十八ペエジの処を出した。
「ここですね。A peine Tyltyl a-t-il tourn le diamant, qu'un changement soudain et prodigieux s'op en toutes choses. ここの処が只のと書きだとは思われない程、美しく書いてありますね。(以下略)」

---

InternetArchiveで公開されている1909年出版のCharpentier et Fasquelle版のL'Oiseau bleuのp.18にて、上記「十八ペエジ」の"A peine Tyltyl a-t-il tourn le diamant, qu'un changement soudain et prodigieux s'op en toutes choses."の一文を確認。

https://archive.org/details/loiseaubleufer00maetuoft (参照:2018-02-20)
事前調査事項
(Preliminary research)
質問者は、森鴎外『青年』(岩波書店, 2017)を質問の際にご持参された。
NDC
戯曲  (952 9版)
参考資料
(Reference materials)
『デジタル大辞泉』, JapanKnowledge Lib
『日本大百科全書』, JapanKnowledge Lib
藤野 幸雄 , 世界児童・青少年文学情報大事典 第12巻 マツ-ヨ. 勉誠出版, 2000.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I045401320-00 , ISBN 4585060324 (NCID:BA47388068)
ロビン・メイ 著 , 佐久間康夫 編訳 , 世界演劇事典. 開文社出版, 1999.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002771931-00 , ISBN 4875718055 (NCID:BA41088254)
早稲田大学演劇博物館 編 , 演劇百科大事典. 平凡社, 1986.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I078160758-00  (NCID:BN06022533)
新庄嘉章, 根津憲三 編 , フランス文学辞典. 東京堂出版, 1972.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001273399-00  (NCID:BN01699709)
日本フランス語フランス文学会 編 , フランス文学辞典. 白水社, 1974.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001273382-00  (NCID:BN01665718)
日本児童文学学会 編 , 児童文学事典. 東京書籍, 1988.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001918838-00  (NCID:BN02230470)
ハンフリー・カーペンター, マリ・プリチャード 著 , 神宮輝夫 監訳 , オックスフォード世界児童文学百科. 原書房, 1999.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002758630-00 , ISBN 4562031042 (NCID:BA39515341)
貴田庄 著 , 貴田, 庄, 1947-. 西洋の書物工房 : ロゼッタ・ストーンからモロッコ革の本まで. 朝日新聞出版, 2014. (朝日選書 ; 914)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025170736-00 , ISBN 9784022630148 (NCID:BB14758114)
森鷗外 , 青年 改版. 岩波書店, 2017. (岩波文庫 ; 31-005-4)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028073362-00 , ISBN 9784003600269 (NCID:BB23438930)
森鷗外 著 , 鷗外近代小説集 第4巻 (青年). 岩波書店, 2012.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024023751-00 , ISBN 9784000927345 (NCID:BB2172222X)
森, 鴎外, 森鴎外全集 2. 筑摩書房, 1971. (筑摩全集類聚)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001257176-00  (NCID:BN0025570X)
森 鴎外 著 , 青年 改版. 新潮社, 2010. (新潮文庫 ; も−1−2)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I020678763-00  (NCID:BB06210925)
注釈と批評の会 編 , 東海大学近代文学注釈と批評の会. 近代文学注釈と批評. 注釈と批評の会, 1994.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000092339-00  (NCID:AN10494108)
キーワード
(Keywords)
青年
森鴎外
青い鳥
L'Oiseau bleu
モーリス・メーテルリンク
Maurice Maeterlinck
仮綴
Charpentier et Fasquelle
照会先
(Institution or person inquired for advice)
立教大学図書館
東京大学総合図書館
フランス国立図書館
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
所蔵調査
内容種別
(Type of subject)
フランス文学 戯曲
質問者区分
(Category of questioner)
学生
登録番号
(Registration number)
1000230968解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
未解決
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