レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/02/20
- 登録日時
- 2018/04/01 00:30
- 更新日時
- 2018/04/01 00:30
- 管理番号
- 参調 17-0144
- 質問
-
解決
台湾の作家李潼(り とう)が書いた『大空を飛ぶタカ』『台湾の少年少女シリーズ(全16巻)』の第一巻、『紺碧の太平洋日記』の三冊を読みたい。
日本語で翻訳されているものはあるか。
<典拠>
以前『カバランの少年』(ていらんく/1998年)を読んだ。他の作品も読んでみたいと思った。
おそらく、Amazonの『カバランの少年』 書かれている著者についてをご覧になったのだと思います。
<調査済資料>
『人物研究・伝記評伝図書目録 続日本人・東洋人篇』(図書館流通センター/編著 2001)
インターネットでも調べてみましたが、見つけることができませんでした。
- 回答
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おそらく、翻訳されて書籍として出版されているものは『カバランの少年』のみと思われる。
国会図書館サーチで「李潼」をキーワードに検索したところ、日本で出版されている図書は『カバランの少年』だけだった。CiNiiも同様。
「中国文学研究文献要覧 近現代文学1978?2008」の著者名索引で「李潼」は2件あり。1件は『カバランの少年』。もう一件は雑誌掲載作品で「アカギの木の下で」(虹の図書室 12 2000.2 p14~41)
「虹の図書室」とは、日中児童文学美術交流センターが、中国の児童文学作品を翻訳紹介する目的で刊行している機関誌。(日中児童文学美術交流センターHPの情報による)道立図書館には所蔵がないが、札幌市中央図書館に所蔵あり。「アカギの木の下で」が掲載されている12号も所蔵している。また、他の号の特集内容を見たところ、23号が「台湾少年小説の騎手・李潼」となっている。
児童文学作家「ひこ・田中」氏が主宰している「児童文学書評」(http://www.hico.jp/index.htm 最終確認2017年7月2日)の「雑誌「日本児童文学」掲載論評人物関係別一覧の「リートン(李潼)」の項には、「絵本時評絵本は深い 長野ヒデ子 第37巻7号91・7」「アジア児童文学の画期的な出版二冊 きどのりこ 第44巻6号98・12」「台湾児童文学あれこれ中由美子第45巻3号99・6」「中国児童文学の百年──中国大陸・台湾河野孝之第46巻6号00・12」の4件があり。全て当館で所蔵していたため内容を確認したところ、第37巻7号については「李潼」についての記述が確認できなかったが、 第44巻6号は「カバランの少年」の紹介。第45巻3号は台湾児童文学についての文章で、「李潼」作品について記述あり。(李潼は1984年に「天鷹?翔」(大空を飛ぶタカ)で台湾の児童文学賞である「洪建全児童文学賞」を受賞した、とのこと)。第46巻6号は台湾における中国語児童文学について、作家のひとりとして「李潼」が紹介されており、著作として「祖父の帰郷」「博士とプトとぼく」「カバランの少年」が紹介されている。
第45巻3号の記事に「游珮芸さんの報告、「日本児童文学」93年2月号にも紹介」とあったので確認したところ、「台湾を描く作家・李潼」という記事があり、「少年<カ>瑪蘭」(「カバランの少年」の原題。<カ>は該当文字なし)と「博士、布都と私」(第46巻6号で「博士とプトとぼく」のタイトルで紹介されている作品と同一と思われる)が紹介されており、2冊の原著のカバー写真が掲載されている。
検索エンジンで「李潼」「翻訳」をキーワードに検索したところ、河野孝之氏のHPの「評論・書評」にある「模索する台湾の児童文学~海峡両岸交流の深まりの中で」に、「『日本児童文学』1993年12月号に掲載。(中略)同号には、拙訳で李潼の「祖父の帰郷」も掲載した。」とあり。『日本児童文学』1993年12月号は当館で所蔵していたため確認したところ、72~86頁に李潼の短篇小説「祖父の帰郷」が掲載されていた。
中国語のウィキペディア「李潼」の記述から、『台湾の少年少女シリーズ(全16巻)』の原題が「臺灣的兒女」であることがわかった。再度国会サーチで「李潼」を検索、『大空を飛ぶタカ』の原書「天鷹?翔」、『紺碧の太平洋日記』の原書と思われる「蔚藍的太平洋日記」はいずれも国会図書館国際子ども図書館で所蔵あり。「臺灣的兒女」も所蔵しているが、巻数がないためどれが1巻目か不明。
台湾の国家図書館や大学図書館、公共図書館約80館の総合目録データベースである「全國圖書書目資訊網」(http://nbinet3.ncl.edu.tw/screens/opacmenu_cht.html 最終確認2017年7月2日)で「臺灣的兒女」を検索したところ、巻数があり。([1]となっているので、図書には明確な巻数はついていない模様)1巻目は「我們的祕魔岩」となっている。こちらも国会図書館国際子ども図書館に所蔵あり。
まとめると、
邦訳された図書は『カバランの少年』のみ。雑誌に掲載された邦訳作品で確認できたのは、
「アカギの木の下で」(虹の図書室 12 2000.2 p14~41):札幌市中央図書館で所蔵 請求記号BR92/ニ/12 資料番号0118093905 貸出禁止資料)
「祖父の帰郷」(日本児童文学 39巻12号 p72~86):北海道立図書館で所蔵 資料番号1200617403 館内短縮資料)
『大空を飛ぶタカ』『台湾の少年少女シリーズ(全16巻)』の第一巻、『紺碧の太平洋日記』の原題は
『大空を飛ぶタカ』:「天鷹?翔」(請求記号:Y8-AZ3115)
『紺碧の太平洋日記』:おそらく「蔚藍的太平洋日記」(請求記号:Y8-AZ3131)
『台湾の少年少女シリーズ』:「臺灣的兒女」で、1巻目はおそらく「我們的祕魔岩」(請求記号:Y8-AZ3111)
いずれも国会図書館国際子ども図書館に所蔵あり。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 小説.物語 (923 7版)
- 参考資料
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- 1 中国文学研究文献要覧 近現代文学1978?2008 藤井/省三?監修 鄧/捷?編集協力 日外アソシエーツ 2010.5 920.3/C
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2 日本児童文学 / 児童文学者協会 第45巻第3号通巻521号 児童文学者協会 児童文学者協会 1955- Z301 -
3 日本児童文学 / 児童文学者協会 第44巻第6号通巻518号 児童文学者協会 児童文学者協会 1955- Z301 -
4 日本児童文学 / 児童文学者協会 第46巻第6号通巻530号 児童文学者協会 児童文学者協会 1955- Z301 -
5 日本児童文学 / 児童文学者協会 第39巻第2号通巻459号 児童文学者協会 児童文学者協会 1955- Z301 -
6 日本児童文学 / 児童文学者協会 第39巻第12号通巻470号 児童文学者協会 児童文学者協会 1955- Z301
- キーワード
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- 李潼
- 紺碧の太平洋日記
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000233971