レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年3月1日
- 登録日時
- 2020/12/15 19:01
- 更新日時
- 2021/02/15 15:25
- 管理番号
- 中央-1-0021433
- 質問
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解決
松尾芭蕉の『奥の細道』に冥界(不幸)の使いとして出てくる鳥の種類が知りたい。
- 回答
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①『奥の細道』に出てくる鳥が含まれた句は7つ見つかったが、いずれも「冥界、死、不幸」を象徴するような場面や句ではなかった。
②鳥について調べたところ、ホトトギスが「冥界からの使者と信じられていた」という記述や、「古代中国では蜀の王 杜宇の魂が化したものと言われる」という記述があった。
③『奥の細道』の句ではないが、「郭公(ほととぎす)声横たふや水の上」という芭蕉の句は、ホトトギスを亡くなった桃印の魂に見立てた句のようだ。
- 回答プロセス
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①『おくのほそ道』松尾芭蕉/著 角川書店/編 角川書店 2001年
鳥らしいものが出てくるのは下記の句だが、質問にあるような「冥界(死)」や「不幸」を象徴するような場面や句は見当たらなかった。
p16 行く春や 鳥啼き 魚の眼は涙
p43 木啄(きつつき)も 庵はやぶらず 夏木立
p46 野を横に 馬牽むけよ ほととぎす
p104 松島や 鶴に身を借れ ほととぎす(曾良)
p158 汐越(しおこし)や 鶴はぎぬれて 海涼し
p159 波越えぬ 契りありてや 雎鳩(みさご)の巣(曾良)
p211 帰山では初雁の声を聞き~
② 『新日本大歳時記-カラー版-』飯田龍太/監修 稲畑汀子/監修 金子兜太/監修 沢木欣一/監修 講談社/編集 講談社 2008年
p441「ホトトギスの声と日本の民話」のコラムには、ホトトギスについて、
・冥途からの使者と信じられていた。
・死出の田長との異名がある。 という記述がある。
『日本大百科全書 21』 小学館 1988年
p596「ホトトギス」の項あり。ホトトギスは古代中国では蜀の王、杜宇の魂が化したものと言われていた、とある。
③「郭公(ほととぎす)声横たふや水の上」
芭蕉が杜宇の逸話を元にホトトギスを亡くなった門人、桃印の魂に見立てて読んだとされる。句の解釈は下記の資料に掲載されている。
『芭蕉全句 下巻』加藤楸邨/著 筑摩書房 1975年 p329~
『諸注評釈新芭蕉俳句大成』堀切実/編 田中善信/編 佐藤勝明/編 明治書院 2014年 p947~
- 事前調査事項
- NDC
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- 日記.書簡.紀行 (915 10版)
- 詩歌 (911 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 松尾芭蕉
- 奥の細道
- ホトトギス
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000290731