レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/01/20
- 登録日時
- 2021/02/02 00:30
- 更新日時
- 2021/07/29 12:30
- 管理番号
- 8890336
- 質問
-
未解決
『新青年』(国立国会図書館請求記号 YA5-102、Z051.6-Si5)に以下が掲載されている。
・1931年(昭和6)3月号(第12巻第4号):ムサシ・ジロウ【未来望遠鏡】「印字電信機」
・1933年(昭和8)4月特大号(第14巻第5号):ムサシ・ジラウ「オヤヂ改造「餓死同盟」
この著者についての情報(生没年、職業(作家、評論家、その他)、代表作など)が記載されている文献があれば、ページ数も合わせて知りたい。
- 回答
-
ムサシ・ジロウ(ジラウ)の生没年、職業、代表作等に関する情報が記載されている文献は見当たりませんでした。
「オヤヂ改造「餓死同盟」」は「現代名家五十撰」の一篇で、当時の名家のひとりという位置付けであったようです。
「武藏二郎」(資料1)、「武藏次郞」(資料2)、「むさし・じろう」(資料3)の記事についてもそれぞれ確認しましたが、経歴やご照会の人物との関連がわかる情報は見当たりませんでした。
『実業之日本』には、1938(昭和13)年12月にも「武藏次郞」の記事が掲載されているようですが、当館欠号のため未確認です。
『新青年』において、同一著者が複数の署名を使用する例があるようですが(資料4、5)、ムサシ・ジロウの変名に関する情報は確認できませんでした。
【 】内は国立国会図書館請求記号です。
資料1
『新青年 復刻版』【Z24-1128】
* 1927(昭和2)~1937(昭和12)年の総目次にある「執筆者別作品リスト」を確認したところ、武蔵二郎が著者の記事1件と、翻訳3件の掲載を確認できました。
・武藏二郎「統一に惱む支那」(13(2) 1932.2 pp.317-323)
・F・P・ウヱンズレー「後頸部の刺傷 英國探偵實話その一」武藏二郎訳(12(7) 1931.6 pp.196-203)
・F・P・ウヱンズレー「Bloody Belgium 英國探偵祕錄その二」武藏二郎訳(12(9) 1931.7 pp.230-237)
・F・P・ウヱンズレー「小さい證據 英國名探偵實話の三」武藏二郎訳(12(10) 1931.8 pp.197-205)
* 「執筆者別作品リスト」には、「丸木砂土→秦豊吉」、「南沢十七→川端勇男」等、変名に関して記載があるものもありますが、ムサシ・ジロウ(ジラウ、武藏二郎)には特段の記載はありません。
* 執筆者名の類似した記事(武藤二郎「新聞外電一夕話」(11(13) 1930.10 pp.224-231)も確認しましたが、ムサシ・ジロウとの関係を確認できる情報は見当たりませんでした。
資料2
『事業之日本』【雑37-29】
国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館送信)
* 1939年4月の18(4) pp.108-118に武藏次郎「石原廣一郎の再檢討」が掲載され、「編輯後記」(p.176)に「業界のスフィンクスたる石原を拉し來たつて、縱横の解剖を試ろみたもの」等と言及されていますが、武藏の経歴に関する情報は見当たりません。
* 1939年6月の18(6) pp.42-52に武藏次郎「ジャーナリズムの裏を衝く(2) 沒落途上の報知新聞をスパイす」が掲載され、「編輯後記」(p.174)に「報知新聞の赤裸々な解剖、武藏次郎氏の快筆に醉はれよ」とあります。
* 1939年7月の18(7) pp.28-36に武藏次郞「東大・大正九年組官僚群」が掲載され、「編輯後記」(p.174)に「武藏次郞氏近來の快筆調を見られよ」とあります。
* 1939年8月の18(8) pp.42-52に武藏次郞「ジャーナリズムの裏を覗く(三) ダイヤモンド社を裸にする」が掲載され、「編輯後記」(p.168)に「呼び物のヂャーナリズムの裏面解剖に、三度び武藏次郞氏がダイヤモンド社を携げて登場した」とあります。
資料3
むさし・じろう「子供と言葉」(『文化と家庭』2巻2号(1948年2月) pp.12-13【VH1-B366】)
資料4
『新青年』研究会 編『『新青年』読本 : 昭和グラフティ』作品社, 1988.2【UM84-E3】
* 「久生十蘭」の項(p.127)に「本名阿部正雄(中略)十蘭名、本名の他、狐野今吉、麹町子、安倍正雄、またあるときは謎の覆面作家として、翻訳、インタヴュー、コント、身の上相談回答に八面六臂の活躍」とあります。
資料5
中島河太郎 編『新青年傑作選 第5巻 (読物・復刻・資料編)』立風書房, 1991.10【KE211-E29】
* 「サム・カゴシマ」、「テキサス無宿」の解題(pp.425-426)に、「谷譲次の筆名が本誌にはじめてみえるのは、大正十四年一月の『ところどころ』と題する海外印象詩からである。牧逸馬名義で小説『上海された男』(第二巻所収)を書いたり」等の記載があります。
〔主な調査済み資料・ウェブサイト〕
『新青年』研究会 編『『新青年』名作コレクション』筑摩書房, 2021.4【KH6-M443】
* pp.253-256に「印字電信機」が収録されています。「解説」(p.257)に、「ムサシ・ジロウは、ムサシ・ジラウ、武藏二郎の別名で『新青年』に雑文、探偵実話の翻訳があるが正体不明。」との記載があります。
ざっさくプラス ※当館契約データベース
* 資料2に挙げた記事のほか、1938(昭和13)年12月の『事業之日本』に武蔵次郎「柳川平助中将と鈴木貞一大佐」があることがわかります。当館では当該号は欠号であるため、現物は未確認です。
山田健太 編『ジャーナリスト人名事典 明治~戦前編』日外アソシエーツ, 2014.9【UC2-L2】
土屋礼子, 井川充雄 編著『近代日本メディア人物誌 ジャーナリスト編』ミネルヴァ書房, 2018.1【UC23-L22】
『出版文化人名辞典』日本図書センター, 1988.2【UE4-E2】
『出版・書籍商人物情報大観 : 昭和初期』金沢文圃閣, 2008.2【UE57-J7】
稲岡勝 監修, 日外アソシエーツ株式会社 編集『出版文化人物事典 : 江戸から近現代・出版人1600人』日外アソシエーツ, 2013.6【UE2-L1】
日外アソシエーツ株式会社 編『号・別名辞典 : 近代・現代』日外アソシエーツ, 2003.5【GB12-H14】
『昭和人名辞典』1~3 日本図書センター【GB12-E3】
日外アソシエーツ株式会社 編集『昭和人物事典戦前期』日外アソシエーツ, 2017.3【GB12-L40】
『帝国大学出身人名辞典』日本図書センター, 2003.3【GB12-H9~GB12-H12】
柴田巌, 後藤斉 編, 峰芳隆 監修『日本エスペラント運動人名事典』ひつじ書房, 2013.10【KT23-L7】
近代日本社会運動史人物大事典編集委員会 編『近代日本社会運動史人物大事典』日外アソシエーツ, 1997.1【E2-G73】
日本アナキズム運動人名事典編集委員会 編『日本アナキズム運動人名事典』ぱる出版, 2019.4【E2-M16】
『人事興信録』データベース http://jahis.law.nagoya-u.ac.jp/who/search
ヨミダス歴史館(読売新聞) ※当館契約データベース
聞蔵IIビジュアル(朝日新聞) ※当館契約データベース
ウェブサイトの最終アクセスは2021年7月9日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
『日本近代文学大事典』(1977、講談社)
『作家・小説家人名事典』(1990、日外アソシエーツ)
『文藝年鑑』1930年(昭和5)~1934年(昭和9)
『「新青年」をめぐる作家たち』(1996、筑摩書房)人名索引
『「新青年」の頃』(1991、早川書房)目次、あとがき、解説
『「新青年」の共和国』(1992、水声社)目次、あとがき
- NDC
-
- 文学史.文学思想史 (902 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000293259