レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2014/12/14 17:39
- 更新日時
- 2015/11/05 14:13
- 管理番号
- 折尾分館2
- 質問
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解決
「酒」の部首はつくりの「酉」(ひよみのとり)だそうですが、どうしてですか。
- 回答
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部首とは本来、漢字をその字形から部分けして、その意味をより強く表すものをいいます。
従って、「酉」が「酒」の部首であるということは「酉」がその意味を強く表していることになります。
『大漢和辞典 11巻』には「酉」は「酒を盛った器」とあります。
『新字源』には「たる、さけつぼ、酒だる」とあります。
また『図説部首がわかる字源辞典』には「酉」は「酒を醸造するときの容器の形を象ったもの」と記載され、「酒だる」の象形文字であることが示されています。『新訂字統』でも同様にその象形文字としての変遷が示されています。
「酒」については、『大漢和辞典 11巻』に「水と混じて醸成する故に水と酉を合わせて」、『角川 新字源』に「酉と彡(したたる、のち水=氵)酒をそそぐ意からさけの意に用いる」とそれぞれ記載されています。
では水と関わるのでさんずい偏でもよいのではないかと思われるかもしれませんが、さんずい偏は「波」「池」「河」「流」など、より水に関わるものに使われています。
やはり「酒」は「酉」に意味が強く、「酒」の部首になったといえます。
- 回答プロセス
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まず、自館所蔵の漢和辞典数冊で「酒」がどの部首に入っているかを調べました。どの漢和辞典でも「酒」は「酉」の中に入っていました。
これで「酒」の部首が「酉」だということが分かりましたので、なぜ「酒」の部首が「酉」なのかを調べることにしました。
「酉」の漢字の意味を調べるためには、諸橋轍次著の『大漢和辞典』がよいと思いましたが自館にないので他館に出向きました。
そして、酉が酒を盛った器であることがわかり、酒は水と合わせて醸成したものであることが分かりました。同時に見ることができた『新字源』でも同様のことが記載されていました。
次に、「酉」がなぜ酒の器を意味するのかを調べました。
他館から『図説部首がわかる字源辞典』を取り寄せ、酉が酒を醸造する時の容器を象った象形文字であることが分かりました。
また、他館から取り寄せた『部首のはなし』『漢字の字源』などで、そもそも部首とはなにかを調べることで、「酒」の部首が「酉」であることを確信しました。
さらに、インターネットで「部首」をキーワードに検索すると、大修館書店の「漢字Q&Aリスト」の中で同様の質問をみつけましたので参考にしました。
- 事前調査事項
- NDC
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- 辞典 (813 9版)
- 音声.音韻.文字 (821 9版)
- 語源.意味[語義] (822 9版)
- 参考資料
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- 『大漢和辞典 11巻』縮写版 諸橋轍次著 大修館書店 1976年 <R813.2/モ/11> (347頁 353頁)
- 『角川 新字源』小川環樹等編 角川書店 1976年 <R813/オ> (1024頁 1025頁)
- 『図説 部首がわかる字源事典』 新井重良著 木耳社 2007年 <821.2/ア> (150頁) , ISBN 978-4-8393-1910-6
- 『面白いほどよくわかる漢字』 山口謠司編著 日本文芸社 2010年 <821.2/ヤ> (78頁~87頁)(174頁~177頁) , ISBN 978-4-537-25738-0
- 『新訂 字統』 白川静著 平凡社 2007年 <R821.2/シ> (416頁 866頁) , ISBN 978-4-582-12813-0
- 『部首のはなし』 阿辻哲次著 中央公論新社 2004年 <G821.2/ア> , ISBN 4-12-101755-2
- 『漢字の字源』 阿辻哲次著 講談社 1994年 <G821.2/ア> , ISBN 4-06-149193-8
- 漢字Q&Aリスト(www.taishukan.co.jp/kanji/qa_list.html)2014年12月12日
- キーワード
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- 部首
- 酉
- 酒
- 漢字
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000164567