レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/12/28
- 登録日時
- 2021/01/29 00:30
- 更新日時
- 2021/01/29 00:30
- 管理番号
- 6001047691
- 質問
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解決
重要文化財「薙刀 無銘大和物」(誉田八幡宮(大阪府羽曳野市)蔵)について知りたい。
- 回答
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次の資料に誉田八幡宮の薙刀に関する記述がある。
■『羽曳野市史 第7巻 史料編5 [文化財編]』(羽曳野市史編纂委員会/編集 羽曳野市 1994.3)
「美術」の「工芸」の部に、「11 薙刀 無銘 大和物 一口 鉄蛭巻薙刀 拵付」(p.97)があり、次のような記述がある。
「長さ五二・四センチ 反り一・六センチ 柄長さ一四八・八センチ 鎌倉時代 誉田八幡宮 重要文化財 昭和三十七年二月二日指定
身幅広く、先さほど張らず上品な姿である。(中略)無銘であるが、鎌倉時代の大和物の特色を備え、当麻系の刀工の作と見られる。付属の拵は樫の柄に鍛えた鉄板を巻きつけ、漆をかけたものである。中世の絵巻や文献には戦場の主要武器として薙刀がしばしば登場するが、製作当初の健全な姿を伝えるのはごく少ない。その点これは貴重な遺品で、社伝の源頼朝寄進も充分にうなづけるものである。」
また、口絵36として、この薙刀の写真が掲載されている(p.87)。
■『誉田八幡宮:応神天皇宗廟』(誉田八幡宮 1972.8)
p.20に写真があり、『羽曳野市史』とほぼ同内容の解説がある。
■『誉田宗廟縁起』(誉田八幡宮 1966.1)
「社宝解説」(p.24-31)に「重文 長刀(なぎなた) 一振 鎌倉時代」(p.27)として、次の記述がある。
「源頼朝の寄進と伝えられる。(中略)その拵は、柄が鉄製蛭巻拵になっていて、みるからに堅牢で、鎌倉時代の形態を、そのままに伝えて、他に類例の尠い貴重な遺品である。昭和三十七年、重要文化財に指定された。刃長一尺八寸三分 柄長四尺八寸五分」
■『江馬務著作集 第10巻』(江馬務/著 中央公論社 1978.5)
「新修有職故実」の「第四編 甲冑・武器 第二章 武器」に「2 長刀(なぎなた)」の項(p.130)がある。「誉田八幡宮蔵」とある長刀の図が掲載されており、本文に「源頼朝寄進の誉田八幡宮の長刀の柄は四尺八寸ある。」と記述されている。
■『日本歴史大辞典 7 増補改訂版』(日本歴史大辞典編集委員会/編集 河出書房新社 1970)
「なぎなた 薙刀」の項(p.385)に、「高級なものは柄に銀銅・鉄板の幅一寸ぐらいの延金を斜めに巻いた蛭巻長刀が用いられた。河内誉田八幡に伝えるものは頼朝奉納といい、鉄蛭巻で最古の遺品である。」とある。
■近藤好和「長刀源流試考」(『古代文化』47(3)<434> 古代学協会 1995.3)p.27-36
p.28に、「長刀外装の遺品は,室町期まで遡るものはまずない。僅かに大阪誉田八幡宮に鎌倉前期頃まで遡り得る遺品(重文)がある。木に竹を張り合わせた打柄に鉄蛭巻(鉄の細長い板を螺旋状に巻いたもの)を施している」とある。
■『朝日百科日本の国宝 3 近畿1 兵庫・大阪・和歌山』(朝日新聞社 1999.11)
「誉田八幡宮:応神天皇陵前の廟に始まる」(p.130-136)の「相次ぐ寄進と社殿造営」(p.130)に、「建久七年は、源頼朝が東大寺の鎮守である手向山八幡宮を再建した年で、<中略>頼朝による塵地螺鈿金銅装神輿(国宝)、蔦松皮菱螺鈿鞍(重文)、薙刀(重文)などの当宮への寄進はこの頃のこと」とある。
■『時事年鑑 1963』(時事通信社 1962.10)
「重要文化財【[19]61年11月指定決定分】」(p.555-556)の「工芸品」に、「薙刀・無銘大和物、鉄蛭巻薙刀拵 一口(羽曳野市・誉田八幡宮)」とある。(p.556)
なお、「官報」で確認すると、重要文化財の指定年月日は、冒頭の『羽曳野市史』の記載どおり「昭和37年2月2日」である。
・『官報 10534号』(1962年2月2日)
「文化財保護委員会告示第五号」(p.43-45)
重要文化財に指定する物件の一覧の中に「鉄蛭巻薙刀」の記載がある。(p.44)
■『河内名所図会』(秋里籬嶋/[著] 柳原書店 1975.12)
享和元(1801)年刊の翻刻資料。
p.177-195「長野山誉田八幡宮」のp.190-193「誉田宮神宝」に、「長刀 頼朝卿寄進、三条小鍛冶宗近作、祭礼に用ゆ。」とある。(p.190)
■『諸国社寺縁起 三』(出版者 出版年不明)(和装書)
「河内国誉田八幡宮 略縁起幷御神宝旧跡目録」の「本尊霊宝目録」に「長刀(ナギナタ) 御寄進同断三条小鍛冶宗近作」と記載がある(3丁裏)。「御寄進同断」とは、その直前の「神輿」の項に「源頼朝卿御寄進」とあるのを受けたもの。
このほか、次の資料にも情報がある。
■『国宝・重要文化財総合目録 美術工芸品編』(文化庁/編 第一法規 1980)
■『国宝・重要文化財大全 6』(文化庁/監修 毎日新聞社 1999.9)
■『重要文化財 27 工芸品』(文部省文化庁/監修 毎日新聞社 1977.5)
[事例作成日」2020年12月28日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 金工芸 (756 10版)
- 芸術政策.文化財 (709 10版)
- 参考資料
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- 羽曳野市史 第7巻 羽曳野市史編纂委員会∥編集 羽曳野市 1994 (87、97)
- 誉田八幡宮 誉田八幡宮 1972 (20)
- 誉田宗廟縁起 誉田八幡宮 1966 (27)
- 江馬務著作集 第10巻 江馬/務∥著 中央公論社 1978 (130)
- 日本歴史大辞典 7 増補改訂版 日本歴史大辞典編集委員会∥編集 河出書房新社 1971 (385)
- 古代文化 古代學協會 古代学協会 1957- 47(1-6)<432-437>
- 朝日百科日本の国宝 3 朝日新聞社 1999.11 (130)
- 時事年鑑 1963 時事通信社 1962 (555-556)
- 河内名所図会 秋里/籬嶋∥[著] 柳原書店 1975 (190)
- 諸國社寺縁起 3 [朝日新聞社] [1---]
- 国宝・重要文化財総合目録 美術工芸品編 文化庁∥編 第一法規 1980 (808-809)
- 国宝・重要文化財大全 6 文化庁∥監修 毎日新聞社 1999.9 (378)
- 重要文化財 27 文部省文化庁∥監修 毎日新聞社 1977.5 (55)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000293117