レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年5月31日
- 登録日時
- 2019/01/08 13:57
- 更新日時
- 2019/03/20 16:27
- 管理番号
- 埼久-2018-070
- 質問
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解決
美術品の題名で、「無題」、「作品1」や「心象A」などのようなタイトルが出現する理由や根拠を示した資料を探している。
- 回答
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下記の資料と情報を提供した。
1 図書
『タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学』(佐々木健一著 中央公論新社 2001)
p196「「無題」にも、現実には二種類のものがあり、作者がタイトルづけを拒んで「無題」とした場合と、タイトルが知られていないために「無題」として展示されている場合がある。」とあり。
p261「(前略)タイトルの美学そのものを否定する立場がある。その典型が「無題」というタイトルに示されている。」とあり。
p262作家がタイトルをつけることを拒絶して「無題」としたケースとタイトルが知られていないために人びとが「無題」と呼んでいる2つのケースについて考察が述べられている。
p265-270「3 タイトル喪失の時代」に、ID番号化したタイトルに関しての記述あり。
2 雑誌
(1)佐々木健一[ほか]著「タイトルとはなにか 詩・美術・芸術」(『現代詩手帖 2006年3月号』p10-26 思潮社 2006)
p20「「無題」というタイトルがいつごろから出てくるのかというと、たぶんそれはタイトルが制度化した時期と符合すると思う。」とあり。
(2)橋本治著「ひらがな日本美術史【その五十八】 色っぽいもの」(『藝術新潮 1999年1月号』p143-149 新潮社 1999)
p147「近代になって、日本の画家や彫刻家達は自分の作品にタイトルをつけるようになる「展覧会に出す」という必要があってのことだろう。(中略)「無題という思わせぶりなタイトルがやたら多いのは、日本人が長い間絵にタイトルをつけなかったことと関係あるだろう。」とあり。
(3)石井辰彦著「無題(アンタイトルド)という題(タイトル)」(『ユリイカ 1996年11月号』p38-43 青土社 1996)
p39-40 「そもそも美術作品のタイトルは、その作品を言語の方向に、つまり幾分かは〈文学〉の方向に引き寄せる働きがある、と考えられる。(中略)〈題を付ける〉という行為はどうしても幾分か文学的な行為たらざるを得ないのであって、これを美術作品に対して行う場合、ある程度はその作品を文学の下風に立たせることにもなるのである。シンディ・シャーマンは、全作品を〈無題〉とすることによって、自己の作品を余分な文学臭から極力守ろうとしている、とも言えるだろう。」とあり。
3 インターネット情報
《北海道教育大学学術レポジトリ》
村田千尋著「題名の社会史:芸術作品と題名の機能」(http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/814 北海道教育大学)
p110「題名が意味を持ち、絵を説明しているという前提は、「無題」という現象を生み出す。(中略)作者が題名をつけなかった「無題」と、作者が「無題」とつけた「無題」を区別すべきだろう。」とあり。
参考文献に上掲『タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学』あり。
- 回答プロセス
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1 雑誌論文を探す。
(1)オンラインデータベースで探す。
ア 《MAGAZINEPLUS》(日外アソシエーツ)を〈無題 & 芸術・文学分野〉で検索する。
石井辰彦「無題(アンタイトルド)という題(タイトル)」(回答資料)
田中信太郎「無題-作品制作の動機など」(『美術手帖 通号412』p166-169 美術出版社 1976.10)
〈無題〉と題した作品制作についての制作者による解説。題の理由はなし。
(2)インターネット情報を探す。
ア 《国会図書館オンライン(雑誌記事索引)》(https://ndlonline.ndl.go.jp/ 国会図書館)を〈美術 & 無題〉で検索する。
峯村敏明「無題」 (『美術手帖 通号362』p241-242 美術出版社 1973.1)
イ 《CiNii Articles》( http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所)を〈美術品 & タイトル & 無題(全文検索)〉で検索する。
村田千尋「題名の社会史:芸術作品と題名の機能」(回答資料)
《北海道教育大学学術レポジトリ》(http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/ 北海道教育大学)で閲覧可能。
参考文献として『タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学』(佐々木健一著 中央公論新社 2001)の記載あり。
2 美術関係の所蔵資料を確認する。
『タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学』(回答資料)
佐々木健一ほか1名「タイトルとはなにか 詩・美術・芸術」(回答資料)
橋本治「ひらがな日本美術史【その五十八】 色っぽいもの」(回答資料)
3 『タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学』の参考文献の所蔵を確認する。
『芸術と幻影 絵画的表現の心理学的研究 美術名著選書 22』(E.H.ゴンブリッチ著 瀬戸慶久訳 岩崎美術社 1979)
質問に該当する記述なし
4 7類の書架を確認する。
5 《Google》(http://www.google.co.jp/ Google)を〈絵画におけるタイトル〉で検索する。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2018年5月31日。
- 事前調査事項
- NDC
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- 絵画 (720 9版)
- 参考資料
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- 『タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学』(佐々木健一著 中央公論新社 2001) , ISBN 4-12-101613-0
- 『現代詩手帖 2006年3月号』(思潮社 2006)
- 『藝術新潮 1999年1月号』(新潮社 1999)
- 『ユリイカ 1996年11月号』(青土社 1996)
- キーワード
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- 絵画-歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000249904