レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年10月19日
- 登録日時
- 2019/12/04 17:28
- 更新日時
- 2020/02/06 12:05
- 管理番号
- 県立長野-19-074
- 質問
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解決
ウィキペディアに土佐光起・土佐光成筆《秋効鳴鶉図》「ウズラ」を解説した頁があるが、この記述の出典及び彼らに関する文献等あれば教えて欲しい。
- 回答
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当館所蔵の『近世日本絵画の研究』田中敏雄著 作品社 2013【721.02/タト】p.308-310で土佐光成について「土佐派を再興した土佐光起の子である」「光成の絵については『古画備考』に「光成画人丸像ヲミル。極テ佳也、光起ト甲乙ナキ程也評され、光起・光成父子の合作の「秋郊鳴鶉図」(東京国立博物館蔵)でも鶉と菊が一体化し、光成が父光起の様式(土佐派の様式)をよく学んでいることが解る。」と書かれている文章が確認できた。
『美術家人名事典』大橋利夫 日本アソシエーツ 2009 【721.03 ニチ】p.404-405
『日本画用語事典』谷昌之 東京美術 2007 【721.03 トウ】p.22-23
『やまと絵-日本絵画の原点-』石田順一 平凡社 2012 【721.2 ヤマ】p.173
上記当館所蔵3冊の資料で「土佐光起が承応3年に宮廷絵所預となり土佐家を復興、土佐派の中興の祖とされる」という文章が確認できた。
国立国会図書館デジタルコレクションの『観賞用美育要義』でご質問の「ウズラ」についての記載とほぼ同じ内容が確認できたが、「光起が描いた鶉の絵に、猫が飛びかかったという伝承が残る」という部分については、「光起は「鶉」の書法を支那の李安忠に得たといはれる。李安忠は南宋の頃に書院侍詔といふ、わが帝室技芸員に相当する地位にあった大家で、特に鶉の図では古今に無化して、その描いた鶉はいきなり猫が飛びついてこれを捉へようとする程であったと傳へられる。光起もかれの作を見て大いに啓発されたに違ひなからう。」と書かれている。
尚、この資料は国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されており、全文を見ることができる。『観賞用美育要義』美育振興会著 1929年(17-19コマ)【最終確認2019.10.17】
質問のウィキペディアの出典から当館所蔵の『日本随筆全集 17』【914/39/17】で「梅窓筆記」の目次を調べたが、関連する文言は確認できなかった。
- 回答プロセス
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1.質問のウィキペディアの「ウズラ」を解説した頁を確認し、鶉図と土佐光起についての情報をインターネットで調べた。
2.「近世日本絵画」「土佐派」「やまと絵」というキーワードを基に当館資料を調べた。
3.当館所蔵の資料より土佐派を再興した光起、その子光成と合作の「秋郊鳴鶉図」について確認できた。
4.質問のウィキペディアの内容と近い内容が国立国会図書館デジタルコレクションの『観賞用美育要義』で確認できたが、「光起の描いた鶉の絵に猫が飛びかかったという伝承が残る」という部分については、「李安忠が描いた鶉に猫がいきなりとびついて捉えようする程だった」と書かれていることが確認できた。
5.陶磁器の文様については「九谷焼様式や柿右衛門様式に鶉を題材にしたものが多く残る」という事が書かれた当館所蔵の資料はなかった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本画 (721 8版)
- 参考資料
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日外アソシエーツ , 日外アソシエーツ. 古今・日本の物故画家3500人. 日外アソシエーツ/紀伊國屋書店(発売), 2009. (美術家人名事典)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I065116925-00 , ISBN 9784816921599 (【721.03/ニチ】) -
平山郁夫, 渡邊明義, 高田倭男, 田渕俊夫, 宮廻正明 監修 , 東京藝術大学大学院文化財保存学日本画研究室 編 , 平山, 郁夫, 1930-2009 , 渡邊, 明義, 1935-2015 , 高田, 倭男 , 東京芸術大学大学院美術研究科. 図解日本画用語事典. 東京美術, 2007.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008574803-00 , ISBN 9784808708191 (【721.03/トウ】) -
村重 寧/監修 , 村重‖寧. やまと絵 : 日本絵画の原点. 平凡社, 2012. (別冊太陽. 日本のこころ ; 201)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I044229087-00 (【721.2/ヤマ】) - 文化庁監修. 国宝3:絵画3,改訂増補, 毎日新聞社, 1984 (【709.1/コク/3】)
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田中敏雄 著 , 田中, 敏雄, 1942-. 近世日本絵画の研究. 作品社, 2013.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024347326-00 , ISBN 9784861824128 (【721.02/タト】)
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日外アソシエーツ , 日外アソシエーツ. 古今・日本の物故画家3500人. 日外アソシエーツ/紀伊國屋書店(発売), 2009. (美術家人名事典)
- キーワード
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- 近世日本絵画
- 土佐派
- やまと絵
- うずら絵
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査 所蔵調査 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000269859