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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
同志社大学 今出川図書館 (3310014)管理番号
(Control number)
2017-084
事例作成日
(Creation date)
2018年1月15日登録日時
(Registration date)
2018年02月14日 17時36分更新日時
(Last update)
2020年02月25日 12時33分
質問
(Question)
運慶と岡山(備中)の関係が記述された古文書(できるだけ年代の古いもの)を探したい。
回答
(Answer)
古文書としては、『東大寺別當次第』『本朝大仏師正統系図』『大仏師系図』『仏工系図』に、運慶が「備中法印」もしくは「備中法橋(ほっきょう)」であると書かれています。また、『日本歴史地名大系』によると、『賀陽郡・上房郡自社改帳』に、上願寺(岡山県)の本尊の薬師は運慶作であると書かれているようです。

古文書ではありませんが、根立研介『運慶―天下復タ彫刻ナシ―』(ミネルヴァ書房, 2009)の「運慶略年譜」によると、東寿院阿弥陀如来像(快慶作、岡山県)の納入品(阿弥陀経転読回数注文)の転読者名に快慶、定慶の名と共に「雲慶」の名が記されているようです。

詳しくは回答プロセスをご覧ください。
回答プロセス
(Answering process)
1.本学契約データベースJapanKnowledge Lib
『日本歴史地名大系』『群書類従』『国史大辞典』などを全文検索

(1)キーワード:運慶 備中
①『本朝大仏師正統系図』(『続群書類従』に収録)がヒット。
「六代 法印 運慶」に、「備中法印ト號」の記述あり。

※『本朝大仏師正統系図』は
日本古典籍総合目録データベースでも所蔵を確認できる。
http://dbrec.nijl.ac.jp/KTG_W_4028879  [参照 2018-01-15]

※『本朝大仏師正統系図』は他の翻刻がweb上で見られる。
田中[喜作]著「本朝大仏師正統系図并末流」美術研究 (11), 33-43, 1932-11-20
http://id.nii.ac.jp/1440/00000721/  [参照 2018-01-15]
(東京文化財研究所刊行物リポジトリ)

→『本朝大仏師正統系図』のような、仏師の系図に類するような資料を探す。
「仏師系図」(『国史大辞典』, JapanKnowledge Lib)より下記文献が見つかる。

黒川春村著『歴代大仏師譜』(墨水遺稿 ; 3巻)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/849921  [参照 2018-01-15]
(国立国会図書館デジタルコレクション)
p.2(コマ3)~の「目次」に「法印運慶」とあり。
p.86-89(コマ45-46)に「運慶」について書かれた資料が挙げられており、「東大寺別當次第」「大仏師系図」「仏工系図」に「備中法印」と書かれているとある。

※「法印」(『日本大百科全書』, JapanKnowledge Lib)
によると、「法印」「法橋(ほっきょう)」は僧侶の位であり、後に仏師や絵師の敬称にも用いられるようになったもの。

②『東大寺別當次第』(『群書類従』第四輯 補任部 巻56に収録)がヒット。
「法務大僧正延果…大佛四人之内。運慶。備中法橋。□安阿ミタ佛。越後法橋。」とあり。

※『東大寺別當次第』の写本のひとつは早稲田大学OPACにて画像が公開されている。
『東大寺別当次第』
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ha04/ha04_03117/ha04_03117_0024/  [参照 2018-01-15]

(2)キーワード:運慶 岡山
「上願寺」(『日本歴史地名大系』)がヒット。
「[現]岡山市下高田」
「本尊の薬師は運慶の作とする(「賀陽郡・上房郡自社改帳」総社市史編さん室蔵)」とあり。
→『総社市史』第4巻(近世史料編)p.941-950に、「賀陽郡・上房郡自社改帳」が一部所収されているが、「上願寺」は収録されていない。p.950の「解説」には、「本書には長良村以下市域関係部分のみを抜粋して収録した。本史料が萱原家(総社市惣社)に伝わった事情は不明であるが、昭和五十六年(一九八一)に萱原専一氏から総社市に寄贈され、現在、市史編さん室で所蔵している」とある。
→「各課一覧」総社市HP
http://www.city.soja.okayama.jp/soumu/shisei_soumu/sosiki/ichiran.html  [参照 2018-01-15]
「総社市史編さん室」は現在ない。
→「市史・村史を購入するには」総社市HP
http://www.city.soja.okayama.jp/bunka/bunka_sport/bunka/shisonshi_hanbai.html  [参照 2018-01-15]
総社市教育委員会文化課文化財係で、市史を販売しているが、「賀陽郡・上房郡自社改帳」を所蔵しているかは不明。
所蔵している可能性がある。(未問い合わせ)
→キーワード「賀陽郡・上房郡自社改帳」「萱原家」で岡山県立図書館OPAC、日本古典籍総合目録データベース、岡山県立記録資料館OPAC、総社市図書館OPAC、国立国会図書館サーチを検索。ヒットせず。

2.運慶の経歴の確認
『運慶大全』(小学館, 2017)
p.346~「運慶作品・参考作品目録」
p.351~「運慶年表」
を確認するが、岡山に関する記述は見つけられず。

3.岡山県に関する資料
『岡山県史』第4巻 中世Ⅰ(岡山県, 1989)
>第六章 古代・中世の建築と美術
>第二節 鎌倉・南北朝時代
>三 仏像・神像・面
運慶と岡山との直接の関係を示すような記述は見当たらないが、p.660~664に、東寿院阿弥陀如来像の胎内から発見された文書「紙本墨書阿弥陀経転読回数注文」に「雲慶(運慶)」の名が見えるとあり。その他にも岡山と慶派の仏師の関係について記述あり。
(参考)
第一章 鎌倉幕府の成立と備作地方
>第三節 備全国と東大寺大勧進俊乗房重源
備前が一時的に東大寺の知行国となったことが書かれている。

『岡山県史』第20巻~23巻は「家わけ史料」、第24巻~26巻は「藩文書」。
内容に「運慶」がある可能性がある。(未確認)

4.事前調査事項より、「肥中」と書かれた文書が見つかった「光明院大威徳明王像」に関して調査
文書が見つかったのは2007年なので、それ以降の論考を探す。

(1)CiNii Articles(全文検索)キーワード:運慶 大威徳明王像
内田啓一「一〇 美術史(中世, 日本, 二〇〇九年の歴史学界―回顧と展望―)」『史学雑誌』119(5), p.698-701, 2010
「根立研介『運慶』は新出の大日如来像と大威徳明王像をふまえて新たな運慶像を描き出した」とある。

→根立研介『運慶―天下復タ彫刻ナシ―』(ミネルヴァ書房, 2009)
p.175~「新出の光明院大威徳明王像の出現」にこの像についての解説あり。
p.221~「運慶略年譜」p.226「建暦 元(一二一一)この年完成した快慶作岡山・東寿院阿弥陀如来像の納入品(阿弥陀経転読回数注文)の転読者名に快慶、定慶の名と共に「雲慶」の名が記される」。

(2)Google検索 キーワード:運慶 光明院大威徳明王像
瀬谷貴之(神奈川県立金沢文庫)「運慶作大威徳明王像をめぐる二、三の問題」の発表要旨
www.bijutsushi.jp/pdf-files/reikai-youshi/08-7-27-higashi-seya.pdf [参照 2018-01-15]
大威徳明王像の内に文書があるという発見に関わる研究者名(瀬谷貴之)がわかる。

KAKEN(科学研究費助成事業データベース)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/  [参照 2018-01-15]
キーワード:瀬谷貴之 運慶
「南都文化圏における霊験仏信仰とその造像に関する調査研究」に研究成果として図書や論文が挙がっている。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20720030/  [参照 2018-01-15]

→研究成果のうちの次の論文を確認。
瀬谷貴之「総論 運慶―中世密教と鎌倉幕府」神奈川県立金沢文庫編集『運慶 中世密教と鎌倉幕府 特別展』(神奈川県立金沢文庫, 2008)p.61-76
岡山県との関係については記述なし。
p.46-49に大威徳明王像、p.50-51に胎内文書の写真あり。
事前調査事項
(Preliminary research)
山本勉監修『運慶大全』(小学館, 2017)p.378に、「光明院大威徳明王像 納入品(中略)奥書」として、「巧造肥中法印運慶也」とある。
これについて、「肥中」は「備中」の間違いではないかという説がある。
『運慶大全』の他の箇所も確認したが、特に「岡山県」に行ったとか縁があるという記述は見つからなかった。
運慶と備中の関係がわかる記述がある古文書を探したい。
NDC
仏像  (718 9版)
中国地方  (217 9版)
彫刻史.各国の彫刻  (712 9版)
参考資料
(Reference materials)
運慶 〔作〕 ; 山本勉 監修. 運慶大全. 小学館, 2017.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I081068369-00 , ISBN 4096998877 (NCID:BB24351408)
東大寺別當次第.群書類従, 第四輯, 補任部, 巻56.JapanKnowledge Lib. [参照 2018-01-15]
東大寺別当次第.
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ha04/ha04_03117/ha04_03117_0024/  [参照 2018-01-15] ((早稲田大学OPAC))
本朝大仏師正統系図. 続群書類従, 35捨遺部, 巻131. JapanKnowledge Lib. [参照 2018-01-15]
田中[喜作]著「本朝大仏師正統系図并末流」美術研究 (11), 33-43, 1932-11-20
http://id.nii.ac.jp/1440/00000721/  [参照 2018-01-15] ((東京文化財研究所刊行物リポジトリ))
“仏師系図”.国史大辞典. JapanKnowledge Lib.[参照 2018-01-15]
黒川春村 著 , 黒川, 春村, 1799-1866. 歴代大仏師譜. 吉川半七, 1899. (墨水遺稿 ; 3巻)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000487213-00  (NCID:BA33057426)
“法印”.日本大百科全書. JapanKnowledge Lib.[参照 2018-01-15]
“上願寺”.日本歴史地名大系.JapanKnowledge Lib.[参照 2018-01-15]
総社市.
http://www.city.soja.okayama.jp  [参照 2018-01-15]
内田啓一. 一〇 美術史(中世, 日本, 二〇〇九年の歴史学界―回顧と展望―). 2010. 史学雑誌 119(5) p. 698-701
根立研介 著 , 根立, 研介. 運慶 : 天下復タ彫刻ナシ. ミネルヴァ書房, 2009. (ミネルヴァ日本評伝選)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010509975-00 , ISBN 9784623055463 (NCID:BA90942396)
瀬谷貴之(神奈川県立金沢文庫)「運慶作大威徳明王像をめぐる二、三の問題」発表要旨
www.bijutsushi.jp/pdf-files/reikai-youshi/08-7-27-higashi-seya.pdf [参照 2018-01-15]
南都文化圏における霊験仏信仰とその造像に関する調査研究.KAKEN(科学研究費助成事業データベース)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20720030/  [参照 2018-01-15]
瀬谷貴之.総論 運慶―中世密教と鎌倉幕府.金沢文庫. 運慶 : 中世密教と鎌倉幕府 : 〈特別展〉神奈川県立金沢文庫80年. 神奈川県立金沢文庫, 2011.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I064991711-00  (NCID:BB05042428)
岡山県 , 岡山県史編纂委員会 編纂. 岡山県史 第4巻 (中世 1). 岡山県, 1989.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I002578822-00  (NCID:BN00148867)
キーワード
(Keywords)
運慶
雲慶
備中
岡山県
光明院大威徳明王像
仏師
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
彫刻史
質問者区分
(Category of questioner)
学生
登録番号
(Registration number)
1000230590解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
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