レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年11月25日
- 登録日時
- 2022/03/04 11:22
- 更新日時
- 2022/03/04 11:22
- 管理番号
- 横浜市中央2653
- 質問
-
解決
竹害について書かれている資料が見たい。
- 回答
-
「竹害」を「放置された竹林が拡大し生態系等に悪影響を及ぼすこと」
と定義して調査をいたしました。
以下の資料に記述があります。
1『現代雑木林事典』 全国雑木林会議/編 百水社 2001.09
p.180 竹林の拡大化
「北日本を除く全国各地で放置された竹林(特にモウソウチク)が野生化し
山地方向へ分布を拡大している」
「樹林にタケが侵入し増加すると、樹木が衰弱あるいは枯死して次第に樹林は竹林へ
と変化していく」
「竹林の林分構造は樹林より単純で構成種が少ないので、竹林の分布の拡大は里山の
生物多様性を低下させ、景観を変化させる」
2『京たけのこが教えてくれた 放置竹林の喜怒哀楽』 杉谷保憲/著
京都新聞出版センター 2010.4
p.9
「竹林に手が入らなくなると、悪影響が表れて環境問題となる。
①植物の生態系が乱れる。モウソウチクの地下茎が伸びて、周辺のスギやヒノキ林
に侵入する。
②雨水が地表を流れ去って保水できず、里山がもつ水資源涵養機能が低下する。
③タケの地下茎は浅いところにあり、高知県などでは傾斜竹林が豪雨の時、地すべり
を起こした。
④タケが道路上にしなだれて交通を阻害する。
⑤ヤブ化すると廃棄物の放置場になりやすい
⑥伝統的なタケノコ栽培法がすたれていく。」
3『森林・林業白書 令和3年版』 林野庁/編 全国林業改良普及協会 2021.7
p.146
「我が国における竹林面積は、長期的に微増傾向にあり、平成29(2017)年には
16.7万haとなっているが、これらの中には適切な管理が困難となっているものも
あり、放置竹林の増加、里山林への竹の侵入等の問題が生じている地域が見られる」
4 新聞記事
(1)「広がる竹害、荒れる里山 木枯れ、生態系に影響 人手入らず「暴れ放題」」
(朝日新聞 2005年5月7日 千葉地方版 p.31)
「日差しを遮られた他の植物は枯れ、えさがないので鳥、昆虫、小動物も寄り付か
なくなるなど、生態系を変化させるという。また、放置され、枯れた竹の多い
竹林は大雨で表土が流れやすくなり防災上も問題が多い」
(2)「竹害 管理届かず、日差さぬ密林」
(朝日新聞 2008年5月16日 千葉地方版 p.31)
「密林化した竹林は日が差さず、昼でも暗い。竹に侵入された山は日が当たらず
木々は立ち枯れし、野鳥も虫も姿を消す。
放置竹林の竹の子がイノシシ、鹿、猿のエサになり繁殖を助ける。その獣たちが、
管理の行き届いた竹山の竹の子も食い散らかす。
増える鹿の活動範囲に合わせて、人の血を吸うヤマビルが広がる。夷隅川の両岸は
竹が生い茂り、折れた大量の竹が流れをふさぐこともある。
悪循環が山を覆っている。」
(3)「荒れる竹林 迫る地滑り 過疎化で放置 急拡大」
(読売新聞 2019年1月10日 東京夕刊 p.11)
「竹林は大雨によって地滑りが起こりやすくなるほか、周りの植物の成長を脅かして
生態系に悪影響を及ぼすとされる。」
「群生して周りの森林を侵食。日光を遮って他の植物を枯らしたり、イノシシの
生息場所となって農作物に被害をもたらしたりするなど、生態系に悪影響を
及ぼす。」
5「竹林と環境」徳永陽子、荒木光
(「京都教育大学環境教育研究年報」15号 2007.03 p.99-123)
https://www.kyokyo-u.ac.jp/cee/15-8.pdf(最終確認日:2022/1/11)
p.101「1-2-2 荒廃の過程とその影響」
放置竹林の拡大が防災面と環境面に及ぼす悪影響について書かれています。
6「竹の利活用推進に向けて」報告書 林野庁ホームページ
https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/take-riyou/attach/pdf/index-3.pdf
(最終確認日:2022/1/11)
p.4(2)適切に管理されない竹林の増加
適切に管理されない竹林が増加し、里山林等への竹の侵入が生じていること、
それにより植物種の多様性が大きく損なわれるとともに、森林として有している
様々な公益的機能の発揮に支障を生じることも懸念されているという記述が
あります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 森林立地.造林 (653 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000313017