レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/06/29
- 登録日時
- 2021/07/02 00:30
- 更新日時
- 2021/07/29 12:43
- 管理番号
- 9878532
- 質問
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解決
明治から昭和にかけてあった仁礼農場(途中から東北拓殖合資会社音幌農場)が、小作争議の後にしばらくしてなくなっているが、いつ、どのようになくなったのか知りたい。(会社のみ閉鎖で農場が新地主で継続の場合は、会社の閉鎖時期と新農場の閉鎖時期)。小作争議の段階の管理人は茂原鋭一氏、経営は仁礼農場元経営者の娘婿の斎藤實氏(朝鮮総督府、昭和7年総理大臣、昭和11年2・26事件で死去)です。
- 回答
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ご質問の仁禮農場(東北拓殖合資会社音幌農場)の閉鎖時期について、貴館調査で判明している以下のことを前提として調査を行いました。なお、貴館調査済み資料のうち、『仁禮農場物語』と『北海道農民組合運動五十年史』は国立国会図書館では所蔵していないため、原文の確認はできておりません。
1.小作争議は昭和5年2月に妥結し、補償金は昭和5年2月25日に支払うことと取り決められた。東北拓殖合資会社解散決議書には「昭和5年6月10日限り解散す」とある。
2.貴館所蔵マイクロフィルム「斎藤實文書」には交渉終結についての直接的記載はない。
3.小作争議妥結後、音幌農場は新たな地主の元で戦後農地改革まで存在した。
以下の資料及びデータベースを確認しましたが、小作争議後の東北拓殖合資会社の正確な閉鎖時期および戦後農地改革時の正確な農場解散時期は判明しませんでした。
参考として、小作争議後の音幌農場に関する情報を掲載する資料1と、戦後農地改革時の情報を掲載する資料2を紹介します。
【 】内は当館請求記号です。
末尾に「*」が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、インターネットで本文画像の閲覧が可能です。
末尾に「**」が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、国立国会図書館及び図書館送信参加館内で公開しています。
インターネット・データベースの最終アクセス日は2021年6月26日です。
資料1
音更郷土史研究会 編. 音更の歴史に光を : 集録集. 音更町教育委員会, 2015 【GC7-L86】
pp.4-25に「十勝の開拓の特徴とその発展―主として音更を中心に―」が掲載されており、pp.18-19「3.音幌小作争議」で、小作争議の概要が紹介されています。また、pp.26-75に「旧仁礼農場と音更市街の形成」が掲載されており、pp.64-66「昭和10年代の音幌」で音幌農場の争議後に移住してきた当時の住人の記憶が紹介されています。ここに「昭和4年からの「音更町史」に残る「音幌農場の小作争議」が昭和6年に農場の全面開放という形で決着し、土地ブローカーなどの手を経て売りに出された土地を、私の父も買い取って畑作に転換したのでした。」という記述があります。
資料2
音更町編さん委員会編. 音更百年史 : 明治34年-平成12年(1901-2000) 音更町,2002.9 【GC7-J11】
貴館調査済みの資料ですが、戦後の農地改革に関して「第五編 農業・畜産・林業 第二章 戦後の音更農業 第一節 農家にも食糧がない」のpp270-273.農地改革の項目にp.270「音更の農地改革は同(昭和)二十一年十月から実施、二十八年に終了した」との記述があります。個別の農地については言及されていません。
(調査済み資料およびデータベース)
・音幌農場概況. 殖民公報(71)1913年3月. pp.57-59【雑22-12】**
・小作爭議及調停事例 : 秘 昭和4年. [農林省農務局] [1930]【DM161-H】*
・プランゲ文庫 佐々木隆介. 北海道の農地改革と農業協同組合の概況 : 昭和二十四年七月. 北海道農地部, 1949 **
・北海道農地改革史 上巻. 北海道, 1954 【611.23-H616h】**
・奥山亮 著. 北海道農民組合運動史. 奥山亮, 1954 【611.96-O641h】**
・農政調査会農地改革記録委員会 編. 農地改革顛末概要. 農政タイムズ社出版部, 1957 3版 【611.23-N963n2】**
・北海道農地改革史 下巻. 北海道, 1957 【611.23-H616h】**
・北海道 編. 北海道農地改革史. 御茶の水書房, 1983.1 【DM125-63】
※【611.23-H616h】の複製
・石関良司 編. 北海道農業関係文献・資料目録 (文献叢書 ; 第4号) 農林省農業総合研究所, 1955 【610.31-I682h】**
・農地改革事件記録. 農政調査会, 1956 【611.23-N963n】**
・農民運動史研究会 編. 日本農民運動史. 東洋経済新報社, 1961 【611.96-N9223n】**
・旗手勲 著. 日本における大農場の生成と展開 : 華族・政商の土地所有 (近代土地制度史研究叢書 ; 第5巻). 御茶の水書房, 1963 【611.25-H329n】**
・戦後北海道農民運動史編纂委員会 編. 戦後北海道農民運動史. 全北海道農民連盟, 1968 【DM353-26】**
・音更町史. 音更町, 1980.12 【GC7-186】**
・北海道 編. 新北海道史 第9巻 史料3. 北海道, 1980.11【GC5-6】**
※1.pp.157-687.の年表 明治以降(1868~1970)とpp.697-718の出典を確認。
・渋谷隆一 編. 都道府県別資産家地主総覧 北海道編 1. 日本図書センター, 1995.6 【D4-E51】
※農場又ハ大地積田畑ノ所有等ニ関スル調 札幌税務監督局編(昭和5年刊)、 五十町歩以上ノ大地主調査 北海道農政課編(昭和15年刊)、 北海道内五十町歩以上農地所有者名簿 北海道農政課編(昭和20年刊)、 五十町歩以上の大地主の解体状況調査 北海道農政課編(昭和27年刊)を確認。
・浜野 潔. 勲功華族の農場経営とその継承 : 海軍中将・仁禮景範の家族史 (シンポジウム 慶應義塾の古文書 : 文学部古文書室所蔵史料を中心に). 史學 = The historical science. 81(1・2):2012.3. pp. 315-330【Z8-319】
・国立国会図書館オンライン( https://ndlonline.ndl.go.jp/ )
・国立国会図書館デジタルコレクション( https://dl.ndl.go.jp/ )
・リサーチ・ナビ( https://rnavi.ndl.go.jp )
・ヨミダス歴史館[当館契約データベース]
・聞蔵IIビジュアル[当館契約データベース]
・毎索[当館契約データベース]
・ジャパンナレッジLib[当館契約データベース]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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①『音更町百年史』、『音更町史』終結については記載なし。
②「史学 第81巻第1・2号」p.327に「音幌農場は新たな地主の元で戦後農地改革まで存在した」と記述されているが明確な年月日の記載がない。
③『仁禮農場物語』
p.49 東北拓殖合資会社解散決議書の写真「昭和5年6月10日限り解散す」
p.11 昭和5年2月 「一応争議が妥結」
④当館所蔵マイクロフィルム「斎藤實文書」(東北拓殖合資会社音幌農場)
大正11年~昭和6年一括 所有地関係書類、覚書→直接終結について記載は確認できず。
⑤『小作争議及調停事例 昭和4年』p.6「結末」の項目で昭和5年2月25日に支払うこととあり。
⑥『北海道農地改革史 上巻』『北海道農民組合運動五十年史』は、小作争議についてのみ。
- NDC
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- 畜産経済.行政.経営 (641 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 仁禮農場
- 東北拓殖合資会社音幌農場
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 経済社会(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 公立図書館 図書館
- 登録番号
- 1000301151