レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年05月04日
- 登録日時
- 2021/08/08 14:14
- 更新日時
- 2021/12/26 15:48
- 管理番号
- 千県中千葉-2021-02
- 質問
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解決
かつて利根川沿いでは、瓦の製造が盛んだったと言われており、成田市の龍正院の瓦窯跡(がようせき)があったり、下総歴史民俗資料館の入り口に鬼瓦が展示されていたりする。
下総での瓦の製造について書かれている資料はないか。
- 回答
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下総における瓦の製造についての資料を調査しました。以下、関連資料です。
【資料1】~【資料7】は古代の瓦に関する資料、【資料8】は近世の瓦に関する資料、【資料9】~【資料11】は近現代の瓦に関する資料です。
【資料1】『成田市史 原始古代編』(成田市史編さん委員会編集 成田市 1980)
p572-580「寺院址」に、房総における古瓦についてまとめられています。
【資料2】『房総の古瓦 企画展 展示図録 No.4』(千葉県立房総風土記の丘編集 千葉県立房総風土記の丘 1978)
房総古代寺院の古瓦出土地分布図、房総の古瓦文様についての解説などが掲載されています。
p43-44には、房総古代寺院・古瓦関係文献目録があります。
p47-48の房総古瓦編年表には、600年代から1000年代の瓦の写真が並べられています。
【資料3】『房総に於ける古瓦の様相 山田寺系古瓦を中心として』(本吉正宏[著] [国学院大学考古学資料館] [1988])
山田寺系古瓦の分布図、房総山田寺系古瓦の年代試表などが掲載されています。
【資料4】『下総町史 通史 原始・古代編』(下総町史編さん委員会編集 下総町 1993)
p436-440「下総の寺院址」に、下総で出土した古瓦について書かれています。
【資料5】岡本東三「下総龍角寺の山田寺式軒瓦について -その分布の意味するもの-」(『千葉史学』通巻22号 p15-42 1993.5)
【資料6】『利根川事典』(森田保編 新人物往来社 1994)
p170-171「木下廃寺の瓦を焼いた窯はどこにある」、p175「山田寺系瓦の出土寺院跡が利根川の下流右岸に多いのはなぜ」に瓦の製造について書かれています。
【資料7】『ふさの国の文化財総覧 第2巻 海匝・香取・印旛』(千葉県教育庁教育振興部文化財課編集 千葉県教育庁教育振興部文化財課 2004)
p233 龍角寺出土遺物「…栄町麻生や成田市羽鳥という地名が現在も残っていることから、これらの文字は、瓦作りに携わった人々が住んでいた地域の地名か、名前ではないかと考えられています。」と記述があります。
【資料8】『広報なりた』 No.217(2012年4月15日)
p12 龍正院の鬼瓦「旧下総町の利根川沿いの地域は、利根川が運んできた土や内水の中で静かに沈んだ土を利用して瓦作りが盛んに行われていました。この鬼瓦は宝永6(1709)年、江戸浅草今戸町の瓦師・伊左衛門と、細工師・鬼板屋七兵衛により製作されたものです。装飾瓦に属し、龍正院境内にあった常念仏堂のものといわれています。」と記述があります。
【資料9】『下総町史 通史 近現代編』(下総町史編さん委員会編集 下総町 1994)
p156-157「滑河町の商工業」に、大正時代の滑河町の瓦生産について書かれています。工場が三社あったこと、大正十年に生産のピークに達したが以降はしだいに縮小していったことなどがわかります。
【資料10】「下総鬼瓦が大集合」(『千葉日報』1997年2月26日 p14)
「昭和四十年代の耕地整理などにより、滑川地区に最盛期には九軒あった窯も今では一軒だけとなってしまった」と記述があります。
【資料11】「受け継がれる伝統技術 下総鬼瓦 渡邊 博さん (下総町)」(『ニューライフちば』通巻426号 p22~23 1998.11)
「かつて下総町は、良い粘土質の土がとれたことから瓦職人がたくさんいましたが、今では鬼瓦をつくるのは渡辺さんただ一人。」と記述があります。
以下は利根川流域の瓦に関する発掘調査の報告書です。
(1)『曾谷ノ窪瓦窯跡発掘調査概報』([曾谷ノ窪瓦窯跡発掘調査団編] 千葉県教育委員会 1980)
(2)『千葉県下総町文化財調査報告 1 町道1-3号線改良事業に伴なう埋蔵文化財調査報告』(下総町教育委員会 1984)
(3)『千葉県印旛郡栄町竜角寺五斗蒔瓦窯跡 栄町病院建設に伴う埋蔵文化財調査報告書』(印旛郡市文化財センター編集 印旛郡市文化財センター 1997)
(4)『龍正院瓦窯跡』(千葉県香取土木事務所 1997)
(5)『千葉県の歴史 資料編考古3 奈良・平安時代』(千葉県史料研究財団編集 千葉県 1998)
p434-437 五斗蒔瓦窯跡、p438-443 龍角寺瓦窯跡、p526-531 龍正院跡・龍正院瓦窯跡
(6)『千葉県印西市曾谷ノ窪瓦窯跡(第2地点) 印西市曽谷窪地区埋立事業に伴う埋蔵文化財調査』(印旛郡市文化財センター 2002)
(7)『清水入瓦窯跡』(香取市教育委員会編集 香取市教育委員会 2013)
- 回答プロセス
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千葉県立図書館ホームページ「図書・雑誌・視聴覚資料検索」にて検索。
全項目「かわら」、資料種別「千葉県資料」→【資料2】、【資料3】及び発掘調査の報告書(5)、(7)がヒット。
全項目「瓦窯」、資料種別「千葉県資料」→発掘調査の報告書(1)~(4)、(6)がヒット。
書名「利根川」、資料種別「千葉県資料」→【資料6】がヒット。
当館ホームページで公開している千葉県関係データベース「菜の花ライブラリー」をキーワード検索。
「瓦 利根川」→ヒットなし。
「瓦 下総」→【資料5】、【資料10】、【資料11】がヒット。
千葉県資料室開架「C7」の棚をブラウジング。【資料7】を発見。
Googleを「下総歴史民俗資料館 瓦」で検索。
「近世の資料 民家部屋復元 近代の資料 玉作工房跡復元 - 成田市」のPDFがヒット(https://www.city.narita.chiba.jp/content/000023669.pdf)。下部に「広報なりた 2012.4.15 p12」とあり、『広報なりた』の一部であることがわかる(【資料8】)。龍正院の鬼瓦についての記述あり。
質問及びこれまでの調査より、成田市と下総町に関係がありそうだったので、それぞれの市史・町史を確認(【資料1】、【資料4】、【資料9】)。
以下、確認したが記述のなかった資料
『資料館だより』No.1~12(成田市下総歴史民俗資料館 2009.3~2020.3)
『千葉県印旛郡誌 前篇・後篇』(崙書房 1971)
『千葉県香取郡誌』(千葉県香取郡役所編纂 臨川書店 1985)
『成田市史 中世・近世編』(成田市史編さん委員会編集 成田市 1986)
『成田市史 近現代編』(成田市史編さん委員会編集 成田市 1986)
『成田市史 民俗編』(成田市史編さん委員会編集 成田市 1982)
『下総町史 通史中世編』(下総町史編さん委員会編集 下総町 1993)
『下総町史 通史 近世編』(下総町史編さん委員会編集 下総町 1994)
『古代東国の国分寺瓦窯 古代東国の考古学 5』(須田 勉編 高志書院 2019)p143-156「下総国分寺瓦窯 市川市 北下瓦窯」市川のみ。
関口広次「上総・下総国分寺址出土古瓦の系譜と伝播」(『史館』 創刊号 p37~49 1973.4)市川と市原のみ。
『河川をめぐる歴史像』(地方史研究協議会編 雄山閣出版 1993)p57-76「土器と瓦の生産と交易」下総における瓦の生産については記述なし。
『利根川』(飯島博著 社会思想研究会出版部 1962)
『利根川百年史 治水と利水』(利根川百年史編集委員会編集 建設省関東地方建設局 1987)
『利根川・荒川流域の生活と文化』(利根川文化研究会編 国書刊行会 1995)
『利根川の歴史 源流から河口まで』(金井忠夫著 日本図書刊行会 1997)
『利根川』(北野進編 雄山閣出版 1999)
『千葉県の歴史 通史編近世1』(千葉県史料研究財団編集 千葉県 2007)p132-145「下総の産業基盤の形成と利根川」、p146-156「下総の産業発展と人と物の流れ」
(インターネット最終アクセス:2021年5月26日)
- 事前調査事項
- NDC
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- 関東地方 (213 9版)
- 芸術政策.文化財 (709 9版)
- セラミックス.窯業.珪酸塩化学工業 (573 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『成田市史 原始古代編』(成田市史編さん委員会編集 成田市 1980)(9200284095)
- 【資料2】『房総の古瓦 企画展 展示図録 No.4』(千葉県立房総風土記の丘編集 千葉県立房総風土記の丘 1978)(9200021488)
- 【資料3】『房総に於ける古瓦の様相 山田寺系古瓦を中心として』(本吉正宏[著] [国学院大学考古学資料館] [1988])(9200022387)
- 【資料4】『下総町史 通史 原始・古代編』(下総町史編さん委員会編集 下総町 1993)(9200287990)
- 【資料5】岡本 東三「下総龍角寺の山田寺式軒瓦について -その分布の意味するもの-」(『千葉史学』通巻22号 p15-42 1993.5)(0501072527)
- 【資料6】『利根川事典』(森田保編 新人物往来社 1994)(9200307411)
- 【資料7】『ふさの国の文化財総覧 第2巻 海匝・香取・印旛』(千葉県教育庁教育振興部文化財課編集 千葉県教育庁教育振興部文化財課 2004)(0200828216)
- 【資料8】『広報なりた』 No.217(2012年4月15日)(0503222810)
- 【資料9】『下総町史 通史 近現代編』(下総町史編さん委員会編集 下総町 1994)(0200707220)
- 【資料10】「下総鬼瓦が大集合」(『千葉日報』1997年2月26日 p14)
- 【資料11】「受け継がれる伝統技術 下総鬼瓦 渡邊 博さん (下総町)」(『ニューライフちば』通巻426号 p22~23 1998.11)(0503984571)
- キーワード
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- 瓦(カワラ)
- 窯業(ヨウギョウ)
- 千葉県(チバケン)
- 利根川(トネガワ)
- 千葉県―成田市(チバケン ナリタシ)
- 千葉県―下総町(チバケン シモフサマチ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000302950