レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年01月01日
- 登録日時
- 2020/06/13 12:56
- 更新日時
- 2020/06/13 12:56
- 管理番号
- 市川20200101-04
- 質問
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解決
戦中に日本の核研究・開発に関わった中心人物(科学者)について書かれている本があれば紹介してほしい。また、どのような平和思想を持っていたのか、どんな人柄だったか、などについても知りたい。
- 回答
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日本の核開発の歴史がわかる資料として、『日本の核開発:1939~1955』(山崎正勝/著 績文堂出版 2011)があり、戦中のウラン研究に関わった科学者の様子や、原爆研究の過程、関連資料等が掲載されている。これによると、理化学研究所の仁科芳雄博士が日本の核開発において重要な役割を果たしていたことが分かる。仁科博士は、「当時の科学界の中にあって、真に国際的な感覚を持った科学者の一人だった」(p.13)とされ、「基礎研究を推進することが、日本の威信のために役立つ」(p.13)と考えていたものの、第二次世界大戦での日本軍の苦戦に伴い「われわれもお国のお役に立つような仕事をしなければならない」(p.28)と、核の研究開発に取り組むようになっていったことが書かれている。原爆投下直後に調査団として広島・長崎に赴いた仁科博士は、1949年の日本学術会議総会で「日本学術会議は平和を熱愛する。原子爆弾の被害を目撃した我々科学者は、国際情勢の現状にかんがみ、原子力に対する有効なる国際管理の確立を要請する」(p.113)と核の国際管理を目指す声明を出した。
人柄については、前出の資料の他に、『湯川秀樹著作集7 回想・和歌』(湯川秀樹/著 岩波書店 1989)に収録されている「仁科芳雄先生の思い出」(p.96-100)や「仁科先生と朝永さんと私」(p.101-114)、『科学に魅せられた日本人』(吉原賢二/著 岩波書店 2001)第1部の第2話「コペンハーゲンからの贈り物―仁科芳雄とその周辺」(p.47-87)などに記載されている。また、公益財団法人仁科記念財団のホームページで博士の略歴や写真、出版物及び史料研究調査などを見ることができる。(https://www.nishina-mf.or.jp/jp 2020.3.21確認)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 原子力工学 (539)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000283101