レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/7/14
- 登録日時
- 2016/08/18 00:30
- 更新日時
- 2016/08/18 00:30
- 管理番号
- C160704093248
- 質問
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解決
1933(昭和8)年前後の自転車について、国内での販売価格と輸出用の価格が知りたい。
- 回答
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以下の資料1から資料8において、1933年頃の日本製の自転車の価格等の記述がありましたので、ご紹介します。
また、当時の自転車会社の新聞広告の一部に販売価格が記載されているものがあるようです。読売新聞社が提供するデータベース「ヨミダス歴史館」の場合、「広告 自転車」等で検索すると調べることができます。参考までにお知らせします。
【】 内は当館請求記号です。また、インターネットの最終アクセス日は2016年7月7日です。末尾に*が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、インターネット上で公開しています。末尾に**が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、国立国会図書館及び図書館送信参加館内で公開しています。
資料1 日米商店総務部 編『明日の自転車店経営』日米商店富士聯盟本部, 昭和9 【特222-339】*
p.55に仕入、販売単価、売上等の価格例の表があり、等級A「六五.〇〇円」、等級B「四〇.五〇円」、等級C「三一.五〇円」、等級D「一八.〇〇円」という価格例が挙げられています。
資料2 輪界商工新聞社 編『日本自転車輸出要覧』輪界商工新聞社, 昭14 【776-114】**
p.230に「海外ヨリ注文シ來ル標準価格(日本自転車輸出組合ノ平均カラ見タモノ)」という表があり、蘭領東印度、馬來半島、英印、欧洲、阿弗利加の項目があります。なお、欧洲の完成車の価格は「一七.〇〇円」と記述されています。
資料3 日本学術振興会第23小委員会 編『時局と中小工業. 第1』有斐閣, 1941 【509.15-N684z】**
p.87に「事變前後における輸出原價比較表」という表があり、事變前(昭和12年5月)の完成車の価格が「20.00円」、事變後(昭和13年8月)の完成車の価格が「31.50円」、と記述されています。
資料4 自転車産業振興協会 編『自転車の一世紀 : 日本自転車産業史』自転車産業振興協会, 1973 【DL437-8】
p.332 に 「輸出価格が非常に安かった」ことが特徴として挙げられており、「イギリス車一台の輸出価格平均二・二ポンドにたいし、日本車は一・二ポンド、ほとんど半値で取引された。」という記述があります。また、p.333には価格表が記載されており、A価格(輸出検査実績より算出したもの)、B価格(自転車協議会 資料による)は昭和八年から昭和二十年までの価格が、国内生産者価格は昭和五年から昭和二十年までの価格が記載されています。なお昭和八(1933)年 は、A価格が「一八.七円」、B価格が「二二.八円」、国内生産者価格が「三〇.〇円」と記述されています。
資料5 『日米富士自転車八十年史稿』日米富士自転車, 1982 【DH22-1553】
p.136 で昭和5年前後の市般価格について言及しており、「一三五円の富士覇王号が八五~九〇円、八八円の富士宣伝号が六〇~六四円、ケント号、ホドソン号が六〇~六五円、リーフ号、スポーツ号が五〇~五五円位となり、三〇~四〇パーセント近くの急落」という記述があります。また、pp.143-146で、富士自転車の輸出業務が活発化した昭和7年前後の状況とそれ以前の他社の輸出状況について言及しており、「当社が輸出活動に乗り出すまでは、主として中小業者 の製品が東南アジア方面に進出し、平均生産者価格で三五円の完成車を、二五~四〇円で輸出していたという。」という記述があります。
なお、ご照会の範囲から少し外れますが、pp.179-182では戦時統制下における自転車の価格統制の流れについて言及しており、1939年9月の物価停止令に基づき制定されて1939年12月に告示を得た卸売協定価格及び1940年の7月に商工省告示第345号によって決定した公定価格について記述があります。参考までにお伝えします。
資料6 東京市 編『値段史年表 : 明治・大正・昭和』朝日新聞社, 1988 【DF58-E5】
P.87に自転車の価格の年表があり、昭和4年は「四十五~七十円」、昭和14年は「八十~百円」とされています。また、「実用車1台当たりの小売平均価格」、「資料提供=自転車産業振興協会」という注記があります。
資料7 森永卓郎 監修 ; 甲賀忠一, 制作部委員会 編『物価の文化史事典 : 明治・大正・昭和・平成』展望社, 2008 【D2-J74】
pp.236-237 に「自転車の値段100年」という項目があり、「自転車の価格変遷」という表に1927年の自転車価格が掲載されており、「A級車120円~130円、B 級車115円~120円、C級車90円~100円」との記述があります。また宮田工業の自転車製品「スペッシャルギャエム」の価格にも言及があり、昭和5 年に値下げを行った結果、「東京市内渡しの定価で、スペッシャルギャエム(金エム号)56円。同(銀エム号)46円。」になった、としています。なお、本文中に記述のある宮田工業の「70周年記念史」は、当館及びその他の図書館の所蔵は確認できませんでした。
資料8 川地博行『英米日の小銃・自転車・自動車産業』中央公論事業出版 (製作), 2008 【DL411-J2】
p.124に「自転車価格は、1932年には15~150円の範囲に広がっていた。」という記述があります。
(その他調査済み資料及びデータベース)
・週刊朝日 編『重要工業調査』東京市, 昭和7 【14.2ロ-260】*
・「英領馬來に於ける自轉車」『東洋貿易研究』11(4) pp.115-129 大阪市産業部,1932 【雑45-117】**
・『大阪市産業叢書. 第15輯 大阪の自轉車工業』 大阪市産業部調査課,1933 【588-78】*
・「貿易品紹介 自転車」『内外商工時報』21(8) pp.33-34 内外商工時報発行所,1934 【雑37-22イ】**
・「昭和十四年四月及五月中自轉車商況」『内外商工時報』26(7) pp.42-45 内外商工時報発行所,1934 【雑37-22イ】**
・『價格形成中央委員會ノ答申. 其ノ1』物價局, 1940 【Y994-J2465】**
・「商工省告示第三百四十五號」『官報』昭和15年7月6日第4049号 大蔵省印刷局 【YC-1】*
・岡戸武平 著『自転車万歳 : ノーリツ88年の歩み』中部経済新聞社, 1974 【DH22-1380】
・佐野裕二『自転車の文化史 : 市民権のない5,500万台』文一総合出版, 1985 【DK32-144】
・[新家工業]総務部社史編纂室 編『新家工業百年史 : 1903-2003』新家工業, 2003 【DH22-J314】
・NDL-OPAC(https://ndlopac.ndl.go.jp/)
・国立国会図書館サーチ(http://iss.ndl.go.jp/)
・CiNii Books(http://ci.nii.ac.jp/books/)
・CiNii Articles(http://ci.nii.ac.jp/)
・国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)
・J-stage(https://www.jstage.jst.go.jp/)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 運輸工学.車両.運搬機械 (536 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 自転車
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000196039