レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/9/29
- 登録日時
- 2018/10/31 00:30
- 更新日時
- 2018/10/31 00:30
- 管理番号
- 参調 18-0014
- 質問
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解決
結核の再発要因について、調べたいと思っています。
加齢、糖尿病、癌、免疫抑制剤やステロイド等の使用が、差初要因であるということは、良く知られていますが、「本人の治療意欲」について記載された文献は、あまりないようです。
今回、当保健所で、どうも治療意欲の不足した方々に再発が多いと思われ、それについて発表したいと思っています。
そのため、それに関連した文献や書籍を確認したいと思っています。
追加:結核の再発率についても知りたい
- 回答
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当館には医学関係のデータベースがないため、まず所蔵資料を調査した。
以下のように調査を行ったが、参考になると思われる資料は見つからなかった。
◆件名「結核」の資料(分類番号493.8、498.6)にどのようなものがあるか確認。出版年が古いもの(1950年代)が多い。
『結核の統計 1995』(最新のものは2016年版だが、当館には1995年以降のものはない)をみたが、再発率、再発患者の数は見つからなかった。
2007年に出版された『結核Up to Date 改訂第2版』を確認。111ページ以降に「再治療」についての記述があり、「わが国でのINH、RFPを主軸とした初回強力短期治療6~9ヶ月の治療終了後の再発については亀田によりまとめられており」とあり、文献として亀田和彦「我が国における肺結核短期治療と再発」(結核67:555-563 1992)があげられている。なお、発生要因については記述が確認できなかった。
◆当館所蔵雑誌の目次検索(特集記事名のみ入力。また、未入力の雑誌も多数あり、全てが検索できるわけではない)で「結核」という単語が含まれているものを抽出。269件見つかったが、1990年以前のものが234件。比較的新しいものでは
『保健婦雑誌』 Vol.56 No.6、No.7(2000年6月、7月)「今求められる結核対策(1)、(2)」
『公衆衛生』Vol.68 No.3(2004年3月)「結核対策のリフォーム」、Vol.69 No.3(2005年3月)「結核対策新時代―結核予防法のリビジョン」、Vol.77 No.4(2013年4月)「転換期の結核対策」
『Shelter-less』 No.24(2005年Spring)「路上生活者の結核問題と対策」
特集号の目次を見たが、「再発」「治療意欲」などの言葉は含まれていない。
『Shelter-less』 No.24に「路上生活者はなぜ治療を中断したのか」という文章があり、あげられている4つの理由のうち「医療従事者に対する不信感」「病識の欠如及び生きる意欲の喪失」が治療意欲に関係していると思われるが、再発との関係は特に分析されていない。
次に、ネット上に無料で公開されているデータベースを用いて調査。
◆CiNiiで雑誌論文を検索。
「結核」「再発」の言葉を含む論文は多数見つかるが、「意欲」という言葉を加えると「呼吸器疾患ネットワークの果たすべき役割:―現状報告と将来展望―」という論文1件のみ。抄録を確認したところ、「意欲的な内容の発言」という文脈で使われているだけで、求めている内容ではない。
「結核」「再発」「要因」で検索すると、「最近の結核再発の現状と対策」という論文がヒットした。『結核』84巻12号に掲載されたもので、発表は2009年。『結核』発行元である日本結核病学会のHPで論文の全文をPDFを見ることができる。(https://www.kekkaku.gr.jp/pub/kekkaku84.html#Vol84-No12 最終確認2017年9月26日)
◆結核に関する統計数字について
結核に関する統計は、結核登録者情報調査として毎年まとめられ、厚生労働省のHPに掲載されている。(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html 最終確認2017年9月28日。この日現在で最新のものは平成28年の結果)
再発率は掲載されていないが、新登録結核患者のうちの再治療患者は毎年計上されている。
◆結核の研究機関としては、「公益財団法人結核予防会」(http://www.jatahq.org/ 結核を中心に、肺がん、その他の呼吸器疾患の予防事業、調査研究及び国際協力等を行っている)ならびに「公益財団法人結核予防会結核研究所」(http://www.jata.or.jp/index.php)がある。
結核研究所のHPに「日本の統計」あり。厚生労働省の統計データを更に分析しているようだが、やはり再発率は掲載なし。ただし、結核の統計>年報のページ
(http://www.jata.or.jp/rit/ekigaku/toukei/nenpou/)に、「結核の統計プチノート」(2016年版、2015年版)があり、2016年のものに「再治療/肺結核 5.4%」とある。(2015年のものは6.0%)他年度のものは確認できず。
結核についての研究結果、分析は、日本結核病学会の学会誌『結核』に発表されている。Vol.1からVol.84、Vol.88からVol.90までに掲載されたものはJ-STAGEで、Vol.84からVol.90まで掲載されたものは日本結核病学会のHPで全文閲覧(PDF)することができる。(Vol.91(2016年)以降は学会員専用サイトのみの公開)
また、J-STAGEでは、雑誌「結核」に収録された論文から、特定の言葉が含まれているものを抽出することができる。例えば「再発」という言葉が含まれている論文は602件、「再発」「要因」が含まれているものは222件抽出される。『結核Up to Date 改訂第2版』で引用されていた論文「我が国における肺結核短期治療と再発」もJ-STAGEで見ることができる。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 医学 (490 7版)
- 参考資料
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- 1 結核Up to Date 四元/秀毅?編集 倉島/篤行?編集 南江堂 2005.12 493.89/KE
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2 結核の統計 1995 厚生省保健医療局エイズ結核感染症課?監修 結核予防会 1995.11 498.6/KO/H7
- キーワード
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- 結核
- 再発
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000244654