レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/7/21
- 登録日時
- 2022/02/28 14:38
- 更新日時
- 2022/03/10 11:01
- 管理番号
- 福参-1187
- 質問
-
解決
種なしぶどうの栽培に成長ホルモンが使われていると聞いたが、人体に害はないのか知りたい。
- 回答
-
◆参考資料2『ブドウ品種総図鑑』
p.206「ジベレリン処理」
「ジベレリンは人体に害がないといわれる植物ホルモンの一種。デラウェアなど種なし果実(無核果)の生産、および果粒肥大などを促進するために使用される。」の記述あり。
◆参考資料7『農薬毒性の事典』
p.82-83「ジベレリン」
「用途 植物成長調整剤。(中略)種無しブドウを作るには、開花の前後に蕾および果房を浸漬処理する(ジベレリン溶液に浸す。)」
「毒性 劇毒区分=指定なし。魚毒性=A類。残留農薬研究所は変異原性なしとしているが、エジプトの研究ではアルビノ・マウスにジベレリンを投与すると、乳腺がん、肺腺がんなどがみられた。」の記述あり。
◆参考資料8『農薬便覧』
p.調17-「ジベレリン剤」
p.調17「▽主成分はジベレリンである。」
p.調18「ジベレリン水溶剤」の作物名に「ブドウ」あり。商品名が7つあげられているが、いずれも「普通物・A類」の表記あり。
「農薬使用上の注意」のページにそれぞれ説明あり。
p.注意1-2「2)人畜に対する毒性」
「普通物 毒物劇物取締法によって規定された特定毒物、毒物、劇物以外のもの」
p.注意2「3)水産動物(魚介類)に対する毒性(有効成分-原体-)
「1.A類相当の薬剤 コイに対する48時間後の半数致死濃度値が10ppm以上(原体換算)で、甲殻類に対しても毒性が低く、またミジンコ類に対する3時間後の半数致死濃度値が0.5ppm以上であるもの。実際問題として事故の発生のおそれがほとんどないもの。(注意事項の例)‐とくにない。」
◇参考URL1「農林水産省」
aff(あふ) 2019年5・6月号 特集1「ぶどう」
ホーム>会見・報道・広報>aff(あふ)最新号>aff(あふ)バックナンバー2019年>19年5・6月号>aff(あふ)19年5・6月号PDF(https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1905_06/download.html 2021.11.12最終確認)
p.18「種なしぶどうはどのようにして作るの?」
「開花期のぶどうの房をジベレリンというホルモンの溶液につけることで種なしになります。ジベレリンはもともと植物が持っているホルモンで、安全性が確認されています。(以下略)」の記述あり。
- 回答プロセス
-
①参考図書を調べる。
参考資料1-2を確認する。
◆参考資料1『ブドウ大事典』
p.629「現在のブドウ生産ではジベレリン(以下、GAとする)は欠かせない植物成長調製剤である。昭和30年代後半に、‘デラウェア’の種なし化に成功して以来、多くの品種で種なし化が急速に進んだ。」
「GAはイネの病原菌であるGibberellafujikuroi(Sawada)から発見された植物ホルモンである。(中略)その生理作用は多様であるが、ブドウの種なし生産においては、無種子化、単為結果の誘導、果粒肥大がおもな作用である。」の記述あり。
◆参考資料2『ブドウ品種総図鑑』
p.199「最近のブドウは、種なし品種が多くなっている。これはジベレリンという植物ホルモンが多くのブドウの種なし化を実現させたからである。(後略)」の記述あり。
→成長ホルモンの名前が「ジベレリン」とわかる。
「◆ブドウ・ワイン関連の用語解説」 p.206「ジベレリン処理」あり。
②「ジベレリン」について調べる。
キーワード「植物学」「植物ホルモン」にて自館検索。
参考資料3-6が見つかる。
◆参考資料3『植物学の百科事典』
p.352-353「植物ホルモン」
「(前略)植物ホルモンとは「植物自身がつくり出し、低濃度(約10-6モル濃度以下)で作用する生理活性物質・情報伝達物質で、植物に普遍的に存在し、その物質の化学構造と生理作用が明らかにされたもの」として定義するのがよい。」の記述あり。
p.356-357「ジベレリン-植物ホルモン」
「ジベレリンやジベレリン生合成阻害剤は、それぞれ植物の生育を促進・抑制する植物成長調整剤(植調剤)として広く利用されている。ジベレリンの植調剤としての利用で特に有名なのは、ブドウの種無し化ならびに果粒肥大である。(後略)」の記述あり。
◆参考資料4-6
「ジベレリン」について、参考資料3と同様の記述あり。
③農薬について調べる。
「農薬」について関連書架をブラウジング。
参考資料7-8が見つかる。
④インターネットで調べる。
キーワード「種無しぶどう」でインターネット検索。
参考URL1が見つかる。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 一般植物学 (471 10版)
- 参考資料
-
- 1.ブドウ大事典 農文協/編 東京 農山漁村文化協会 2017.12 625/61R/20 , ISBN 978-4-540-17181-9 (p.629)
- 2.ブドウ品種総図鑑 GRAPE VARIETY BOOK 植原 宣紘/編著 東京 創森社 2018.6 625/61R/21 , ISBN 978-4-88340-325-7 (p.199,p.206)
- 3.植物学の百科事典 日本植物学会/編 東京 丸善出版 2016.6 470/3R/42 , ISBN 978-4-621-30038-1 (p.352-353,p.356-357)
- 4.奇蹟の植物ホルモン ジベレリンの科学と応用 加藤 弁三郎/編 東京 研成社 1981.5 615/87/9
- 5.植物のホルモン 勝見 允行/著 東京 裳華房 1991.6 生命科学シリーズ 471/3/S51 , ISBN 4-7853-5081-4 (p.45-82 ジベレリン)
- 6.植物 奇跡の化学工場 光合成、菌との共生から有毒物質まで 黒柳 正典/著 東京 築地書館 2018.3 471/4/31 , ISBN 978-4-8067-1554-2 (p.74-78)
- 7.農薬毒性の事典 植村 振作/[ほか]著 改訂版 東京 三省堂 2002.7 615/87R/48 , ISBN 4-385-35604-1 (p.82-83)
- 8.農薬便覧 複合媒体資料 米山 伸吾/編,安東 和彦/編,都築 司幸/編 第10版 東京 農山漁村文化協会 2004.8 , ISBN 4-540-03258-5 (p.調17,p.調18-p.注意1,2)
-
1.農林水産省 「aff(あふ) 2019年5・6月号」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1905_06/download.html (p.18 2021.11.12最終確認)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000312718