『ブラックホールを見る!』のp.10-11に「ブラックホール」いう言葉の誕生について説明されている。また,「「ブラックホール」という語が使われる前まで,ブラックホールは「凍りついた星」(frozen star),「崩壊するもの」(collapsar),「黒い星」(black star)などとよばれていた。しかし,いずれの表現も,ふつうの星の特殊な形というニュアンスを与え,事象の地平面があるというブラックホールのユニークさを表現するのに適切ではない。何か,統一した言葉が必要であった。「ブラックホール」という一般にもよく知られたこの用語は,いつ,どこで,だれによって使われたのが最初であろうか。この点についても,『ブラックホールと時空の歪み』にくわしい。最初に使ったのは,先にあげたホィーラー。彼は,1967年の晩秋にニューヨークで開かれたパルサーの会議で初めてその語を用い,ついで同年12月のアメリカ科学振興協会で行った講演の中で,再び用いた。アメリカ科学振興協会での講演は講演録として活字になり,その翌年(1968年)に多くの人の目に触れることとなった。こうして数カ月のうちに「ブラックホール」という用語が急速に全世界に広まっていったのである。」と書かれている。また,『図解雑学ブラックホール』p.72-73では,「1967年のある日,過去に,「凍結した星」の存在をめぐってオッペンハイマーと議論を交わしたホイーラー(前書と表記が異なる)は,すでにこれ以前に「凍結した星」存在論者に変わっていたのだが,「凍結した星」という名前に変わるネーミングを考えついた。当時,この理論上の存在は,「凍結した星」や「崩壊した(つぶれた)星」という名称で呼ばれていた。しかし,このどちらも気に入らなかったホイーラーは(中略)その年の終わり,アメリカ科学振興協会で行った「われわれの宇宙:既知と未知」という講演の中で,このブラックホールという名前を使う。そして,この名前は,科学者の間だけではなく,一般の人々の間にも知れ渡ることになる。」と書かれている。また,『ブラックホールと時空の歪み』p.233-234に,ホイーラーが名称を考え出した経緯について記されている。