レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/05/21
- 登録日時
- 2021/06/02 00:30
- 更新日時
- 2021/08/19 11:55
- 管理番号
- 9549492
- 質問
-
解決
門松の飾り方で、「迎え飾り・出飾り」というものがある。その由来・いわれ等について解説している文献を探している。
別の呼称に「内飾り・外飾り」「内こぼれ・外こぼれ」がある。
・迎え飾り:2番目に長い竹が門や玄関に対して内側に置かれた飾り方。
・出飾り:2番目に長い竹が門や玄関に対して外側に置かれた飾り方。
- 回答
-
ご照会について次のような資料を通覧しましたが、門松の「迎え飾り」「出飾り」の由来、いわれ等を解説する記述は見当たりませんでした。
(1)には、「迎え飾り」、「出飾り」と、2番目に長い竹に関する言及があります。
(2)には、「迎え飾り」、「出飾り」の記載はありませんが、2番目に長い竹に関する言及があります。
(1)、(2)とも記載の典拠は不明です。
【 】内は国立国会図書館請求記号、書誌事項末尾の◎は国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館送信参加館内公開)であることを示します。
(1)聞蔵Ⅱビジュアル (朝日新聞)(当館契約データベース)
2020年1月1日 朝刊 岡山全県・1地方 29頁
「迎春の装い、万端に 岡山後楽園 /岡山県」
* 「今回は3本の竹のうち、2番目に長いものを内側に配置した「迎え飾り」にした。招福や商売繁盛の意味があるという。」という記述がありますが、出典に関する情報はありません。
2021年1月12日 朝刊 島根・1地方 21頁
「11メートル大門松「元気を」 しまね花の郷 /島根県」
* 「独り立ちや門出、病気が治り退院することなどを願う「出飾り」の配置になっている。」という記述がありますが、出典に関する情報はありません。
(2)宍戸純 著『知らないと話せない花業界用語500 : 花店、市場、量販店、生産の現場ですぐに役立つ!』誠文堂新光社, 2014.10【DH468-L174】
* p.152「元旦」 門松の挿絵があり、2番目に長い竹を外側にした一対に「門松、関東風」、2番目に長い竹を内側にした一対に「門松、関西風」と記載して、「大きく分けて関東と関西、地域により様式が異なる」とありますが、出典の記載はありません。また迎え飾り、出飾りについては触れていません。
この他、次のような民俗学関係資料および門松に関する文献類を通覧しましたが、「迎え飾り・出飾り」、「内飾り・外飾り」、「内こぼれ・外こぼれ」に関する記述は見当たりませんでした。
『日本民俗学大系. 第13巻 (日本民俗学の調査方法,文献目録・総索引)』平凡社, 1960【380.8-H418n】◎
『日本民俗学大系. 第7巻 (生活と民俗 第2)』平凡社, 1959【380.8-H418n】◎
『日本民俗学大系. 第8巻 (信仰と民俗)』平凡社, 1959【380.8-H418n】◎
文化庁文化財保護部 編『民俗資料選集 11(火鑽習俗 : 長野県・愛知県・島根県)』国土地理協会, 1981.5【GD1-49】
* pp.66-74「松迎え」「松飾り」
文化庁文化財保護部 編『正月の行事. 第1 (鹿児島・大分) 民俗資料叢書 ; 4』平凡社, 1966【385.8-B97s】◎
文化庁文化財保護部 編『正月の行事. 第3 (徳島県・三重県) 民俗資料叢書 ; 12』平凡社, 1971【385.8-B97s】◎
文化庁文化財保護部 編『正月の行事. 第4 (岩手県・秋田県・埼玉県・新潟県). 民俗資料叢書 ; 13』平凡社, 1971【385.8-B97s】◎
※各地の「正月前」、「正月準備」、「正月」等の項目を通覧しましたが「迎え飾り」「出飾り」に関する記述は見当たりません。
喜田川守貞 著, 室松岩雄 編『類聚近世風俗志 : 原名守貞漫稿』榎本書房, 1927.6【GB341-H49】
民俗学研究所 編『日本民俗図録』朝日新聞社, 1955【382.1-M516n】◎
井筒雅風 [ほか]編『江馬務著作集 第9巻 (風流と習俗)』中央公論社, 1988.10【GB82-E2】* pp.280-290「門松の研究」
山下重民. 門松考『風俗画報』(2)1889-03 pp.15-17【雑23-8】
山下重民. 門松考『風俗画報』(12)1890-01 pp.21-21【雑23-8】
胡桃沢友男「松飾りと注連飾り」(『川柳しなの』(634). しなの川柳社, 1996.1 pp.28-29【Z13-540】)◎
浜田 本悠 他「門松」(『神道宗教 = Journal of Shintō studies』(通号 15) 1957.12 pp.52-59【Z9-174】)
大島 卓司「林語録-1-門松」(『林業技術』(通号 358) 1972.1 pp.35-36【Z18-446】)
岩島 登美子「これぞ門松」(『富士竹類植物園報告 = The reports of the Fuji Bamboo Garden』(通号 43) 1999.8 pp.131-135【Z18-21】)
有田 良幸「群馬県の門松考」(『富士竹類植物園報告 = The reports of the Fuji Bamboo Garden』(通号 43) 1999.8 pp.149-151【Z18-21】)
吉川 正倫「門松考 (故中村直勝学長追悼<特集>)」(『大手前女子大学論集』(通号 10) 1976.11 pp.245-252【Z22-496】)
毎索(毎日新聞)(当館契約データベース)
ヨミダス歴史館(読売新聞)(当館契約データベース)
日経テレコン21(日本経済新聞)(当館契約データベース)
産経新聞データベース(産経新聞)(当館契約データベース)
中日新聞・東京新聞記事データベース(当館契約データベース)
J-Stage https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja
皓星社 雑誌記事索引集成データベース(ざっさくプラス)(当館契約データベース)
青空文庫 https://www.aozora.gr.jp/
この他、『雑誌新聞総カタログ』等も参考に、次のような花店、造園、園芸等に関係すると思われる雑誌について、当館所蔵の最も新しい号から遡って3年程度の12月号等を通覧しましたが、ご照会のような門松(迎え飾り、出飾り)について触れている文献は確認できませんでした。
『ランドスケープ研究』日本造園学会会誌. 日本造園学会【Z11-315】
『造園界』環境緑化新聞社【Z16-B362】
『フローリスト』誠文堂新光社【Z11-1377】
『Home garden & exterior = ホームガーデン&エクステリア』日本インテグレート【Z72-M97】
なお、以下の文献では、「迎え飾り」、「出飾り」については触れていませんが、近年における全国の門松の形について言及していますので参考として紹介します。
・櫻井 弘人「年中行事にみる民俗連鎖 : 正月の門松を中心にして」(『伊那民俗研究』(26):2019.4 pp. 87-126【Z8-3390】)
※p.87より引用「先端を斜めに切り落とした三本の竹を割木で囲んで菰で巻き、松や竹、代々、紙垂、ヤスなどを添えたものである。(中略)では本式な門松は、となると先にみた三本の竹を立てる形が全国共通なものと思い込んでいる風である(1)(後略)」
同書では上記の注(1)として次のように記述し、文献を挙げています。
「柳田国男は、東都の門松は国々から出た武家が故郷の色を発揮して共進会場のようだったものが、「役所とか会社とかの家風も何もない者が、意味もなく軒並みの行事に加わったために、門松はただ大きいばかりのほんの飾りとなり、おいおいに仕事師まかせの妙な型に統一してしまった」と述べている」 ※p.124 注1より引用
当該の記述を以下のp.176に確認しました。
・柳田国男 著『柳田國男全集 第20巻』筑摩書房, 1999.5【GD1-G83】
「新たなる太陽」(pp.137-247)のうち「新年懐古」(pp.174-179)所収、「門松の話」(pp.176-177)
ウェブサイトの最終アクセスは2021年5月21日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・「門松」や「竹」をキーワードに所蔵資料の確認をしたが掲載が見つからなかった。
[確認済み資料(書名五十音順)]
・『江戸時代生活文化事典 上』長友 千代治/編著 (勉誠出版) p.286
・『江戸年中行事図聚』三谷 一馬/著 (立風書房) 4-651-81015-2 pp.258~260
・『江戸の庶民生活・行事事典』渡辺 信一郎/著 (東京堂出版) 4-490-10546-0 pp.6~10
・『江戸のセンス 職人の遊びと洒落心』荒井 修/著 (集英社) 978-4-08-720500-8 pp.105~106
・『江戸の歳事風俗誌 江戸風俗資料 第4巻』小野 武雄/編著 (展望社) pp.70~72、p.406
・『絵本江戸風俗往来』菊池 貴一郎/著 (平凡社) 4-582-80050-5 pp.17~20
・『神と祭りと日本人』牧田 茂/著 (講談社) pp.24~36
・『聞いて極楽 史談百話』綱淵 謙錠/著 (文藝春秋) 4-16-342450-4 pp.14~15
・『クリスマス・正月の工作図鑑 どんぐりまつぼっくり落花生身近な素材ですぐつくれる』岩藤 しおい/著(いかだ社) 978-4-87051-216-0 pp.49~50、pp.60~61、p.72
・『現代農業 2012年1月号』農山漁村文化協会 pp.246~249
・『暦と行事の民俗誌』佐藤 健一郎/著 (八坂書房) 4-89694-485-2 pp.126~129
・『歳時習俗語彙』柳田 国男/編 (国書刊行会) pp.30~37
・『三省堂年中行事事典』田中 宣一/編 (三省堂) 978-4-385-15073-4 pp.42~45
・『知っておきたい日本の年中行事事典』福田 アジオ/著 (吉川弘文館) 978-4-642-08068-2 p.26・p.29
・『知って合点江戸ことば』大野 敏明/著 (文藝春秋) 4-16-660145-8 pp.174~177
・『しめかざり』森 須磨子/文・絵 (福音館書店) 978-4-8340-2594-1 門松について記述なし
・『新歳時の博物誌 1 新年-初夏』五十嵐 謙吉/著 (平凡社) 4-582-76243-3 pp.10~24、pp.231~246
・『神秘の道具 日本編』戸部 民夫/著 (新紀元社) 4-88317-356-9 pp.62~63
・『世界大百科事典 5 カウ-カヘチ』(平凡社) p.473
・『定本佐藤春夫全集 第26巻』佐藤 春夫/著 (臨川書店) 4-653-03336-6 pp.66~68
・『東京年中行事 1』若月 紫蘭/著 (平凡社) 4-582-80106-4 pp.37~38
・『東京年中行事 上の巻』若月 紫蘭/著 (大空社) 4-87236-219-5 pp.39~42
・『日本人祝いと祀りのしきたり』岩井 宏實/著 (青春出版社) 978-4-413-04351-9 p.44
・『日本大百科全書 5 かく‐かる』(小学館) 4-09-526005-X pp.480~481
・『日本の祝祭日 日の丸・門松・鯉のぼり……そのルーツと歴史を探る』所 功/著(PHP研究所) 4-569-21724-9 pp.56~58
・『日本の年中行事を英語で紹介する事典』石井 智子/著 (ナツメ社) 978-4-8163-4830-3 pp.28~29
・『日本風俗史事典』日本風俗史学会/編 (弘文堂) pp.116~117
・『日本まつりと年中行事事典』倉林 正次/編 (桜楓社) 4-273-00980-3 pp.117
・『日本民具辞典』日本民具学会/編集 (ぎょうせい) 4-324-03912-7 p.120
・『日本民俗事典』大塚民俗学会/編集 (弘文堂) 4-335-57050-3 pp.158~159
・『日本民俗大辞典 上 あ~そ』福田 アジオ/[ほか]編 (吉川弘文館) 4-642-01332-6 p.376
・『日本を知る事典』大島 建彦/[ほか]編 (社会思想社) 4-390-60098-2 p.503
・『年中行事コツのコツ 1 大図解 大きな図で解りやすい本 新年のしきたり』(リブリオ出版) 978-4-86057-297-6 pp.4~5
・『年中行事図説』民俗学研究所/編 (岩崎美術社) pp.10~13、pp.16~17
・『年中行事大辞典』加藤 友康/編 (吉川弘文館) 978-4-642-01443-4 pp.187~188
・『年中行事と民俗芸能 但馬民俗誌』大森 惠子/著 (岩田書院) 4-87294-128-4 pp.30~33
・『花の名随筆 1 一月の花』大岡 信/監修 (作品社) 4-87893-725-4 pp.23~31「門松のはなし」折口信夫
・『ヴィジュアル百科江戸事情 第1巻 生活編』NHKデータ情報部/編 (雄山閣出版) 4-639-01066-4 pp.60~61、pp.90~91
・『民間風俗年中行事』(国書刊行会) pp.295~353「正月揃」
・『民俗学辞典』民俗学研究所/編 (東京堂出版) pp.114~115
・『民具の歳時記』岩井 宏實/著 (河出書房新社) 4-309-24227-8 pp.10~11
・『昔の金沢』氏家 栄太郎/著 (金沢文化協会) p.81
・『やまなしの民俗 上巻 祭りと芸能』上野 晴朗/著 (光風社書店) pp.27~32
[webでの検索(ヒットがあるが、出典等の記載はない。)]
・「門松の出飾りと迎え飾り:元・ママ社長の繁盛レシピ/人生哲学やらグルメやら」( https://mamasansyatyou.at.webry.info/200712/article_26.html )
・「門松 福井伝統 正月には本格門松販売 注文分を縁起良く制作販売 配達から撤去までしてます。 | 福井でガーデニング・お庭づくりなら、ときわガーデン【彩園】」( https://tokiwa-garden.com/info/news/%E9%96%80%E6%9D%BE-%E9%96%80%E6%9D%BE-%E9%96%80%E6%9D%BE )
・「正月飾り 門松の種類(斜め・水平)の違い・門松 置き方のご利益の違い ~ 門松は形や置き方で得られるご利益が変わる ! ~【この差って何】」( https://az-news.yojipapa.com/kadomatsu-9181 )
- NDC
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- 年中行事.祭礼 (386 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000299631