レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20110718
- 登録日時
- 2012/09/21 02:00
- 更新日時
- 2021/02/25 13:52
- 管理番号
- 児童-2011-01
- 質問
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解決
昔話を探している。内容は、「いつも親の言うことと反対の事ばかりする親不孝の息子がいた。親は死ぬ間際に息子に言うことを聞いてほしくてわざと反対の事をいうのだが、その時ばかりは言われた通りにしてしまう。」というもの。グリムかイソップかもしれない。
- 回答
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日本の昔話で「雨蛙不孝」または「鳶不孝」と呼ばれている話だと思われる。
資料1 p.435に、
「1 子供が何事にも反対するので、親は死ぬとき、山に埋めてもらおうと、子供に、川ばたに埋めてくれ、と頼んで死ぬ。
2 子供は反省して遺言どおりに川ばたに埋め、雨蛙になって、雨天には墓の流れるのを気づかって鳴く」とある。
資料2の索引から「雨蛙不孝」を引くと、p.435-436に日本の類話(国書)、外国の類話(外書)の掲載があるが、イソップやグリムの記載がないのでこれらには類話がないことがわかる。
なお、蛙が雨天のときに鳴いたり、鳶が雨の前に悲しそうに鳴くのはそのためだという動物の由来譚にもなっており、鳶や蛙以外にも、あまのじゃく、フクロウ、山鳩などもある。日本全国に分布し、朝鮮(『酉陽雑爼』)等にも類話の昔話があることがわかる。
その他、日本の昔話から世界の似た昔話(類話)を探せる資料を調査した。
資料7 p.451-456には、昔話のタイプ「AT」とグリムの対応表がある。資料1に「AT1365A」と記載があったので、確認したところ該当するものはなかった。
資料8は、世界の民話を昔話のタイプ別で調べられるが、「AT1365A」を見ると、ハンジャブの昔話「つむじまがり」(資料9所収)が記載されている。
洪水で妻を失った夫が、いつも言われたことの逆をやる妻なので、川上に流されたのではと思って、上流を探す話。
都立DBを<カエルフコウ>、<トビフコウ>で検索すると、質問の話が収められている昔話集がわかる。
児童書では、資料3~6等の昔話集に収録がある。
資料3:p.221-224 「アマガエルになったむすこ」
資料4:p.164-165 「雨蛙不孝」
資料5:p.63-66 「雨蛙の親子」
資料6:p.55-56 「雨ガエルのなげき」
また、資料1により、トルコの昔話「ホジャのいたずら」(資料10所収)も類話だとわかる。いつも父親の言うことの逆ばかりしている息子のホジャに、父親がわざと反対のことを言うと、ホジャは今度は言うことを聞こうとして、失敗してしまう話である。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】昔話タイプ・インデックス / 稲田浩二/著 / 同朋舎出版 , 1988.9 ( 日本昔話通観 第28巻 ) <K/388.1/2/28>
- 【資料2】日本昔話通観 研究篇 2 日本昔話と古典 / 同朋舎 , 1998.3 <K/388.1/2/31 >
- 【資料3】読みがたり鹿児島のむかし話 / 鹿児島のむかし話研究会/編 / 日本標準 , 2005.10 <388.1/5212/2005>
- 【資料4】舌切りすずめ / 小澤 俊夫/監修 / 小峰書店 , 2011.4 ( 語りつぎたい日本の昔話 7 ) <388.1/5239/7>
- 【資料5】動物のむかし話 / 萩坂昇/著 / 鳩の森書房 , 1974 ( 鳩の森文庫 ) <388/252/1>
- 【資料6】大ムカデたいじ : 韓国の昔ばなし / 崔仁鶴/採話 / 小峰書店 , 1983 ( 世界の昔ばなし 6 ) <388.2/ 256/ 83>
- 【資料7】グリム童話を読む事典 / 高木 昌史/著 / 三交社 , 2002.2 <R/940.2/5031/2002>
- 【資料8】解説編 / 小沢俊夫/著 / ぎょうせい , 1979 ( 世界の民話 第25 ) <K/388.0/105/25 >
- 【資料9】パンジャブ / 小沢俊夫/編 / ぎょうせい , 1978 ( 世界の民話 第19 ) <K/388.0/105/19 >
- 【資料10】ナスレッディン・ホジャ物語 : トルコの知恵ばなし / 護雅夫/訳 / 平凡社 , 1971 ( 東洋文庫 ) <K/388.2/133/71>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000111601