①『現代学校教育大事典 5』の「不登校」の項には、[用語変遷の歴史]が書かれている。文部省時代における学校基本調査の長期欠席をする子どもの分類の中に「学校嫌い」が立てられるようになり、心理臨床家や精神科医の研究から「登校拒否」の考え方が持ち込まれた。その後、近年になってから、「登校拒否が特定の子どもだけの問題ではなく、すべての子どもに起こりうる現象としてとらえようという学校現場の動きに中から改めて「不登校」という言葉が積極的に使用されるようになったと考えられる。」とある。具体的な時期は書かれていない。
②『登校拒否・不登校問題資料集』の「第Ⅲ部 登校拒否・不登校に関する著書・論文の紹介」、「第2節長欠・登校拒否・不登校?登校/欠席現象を捉えるまなざしの変化」には、1長欠の時代(1950年~60年代)、2登校拒否の時代(1970年~80年代)、3不登校の時代(1990年代以降~)とまとめられている。3には、「長期欠席を指し示す用語も、(中略)「登校拒否」から、学校を休んでいるという状態像を示す「不登校」に変化しました。ちなみに、文部(科学)省の統計では、1998年度から理由別長期欠席の内訳のひとつである「学校ぎらい」が「不登校」に変わりました。」とある。文部省が1952年から2012年までに実施した調査から長期欠席率と理由別の数の推移がグラフにまとめられている。『生徒進路指導第18集』など、文部(科学)省から出された長期欠席に関わる報告書や提言などが多く掲載されている。
③『不登校のポリティクス』の「第6章「登校拒否」から「不登校」へ―ポスト福祉国家における社会統制の変化―」では、長期の欠席に関する公の呼び名や捉え方の変化についてまとめられている。その中の「第2節 長期欠席についての公的な把握と実態」は、文部省・文部科学省が示している「学校基本調査」と「生徒指導資料」の記述に注目しており、学校基本調査によると「呼び名は、1966年から1997年までが「学校ぎらい」、1998年以降は「不登校」が用いられている。」とある。学校基本調査や生徒指導資料で用いられていた用語の変遷や中学生の長期欠席者の推移が表やグラフにまとめられている。
④岡山県の平成11年度学校基本調査の結果をまとめた『学校基本調査結果報告書』の小学校と中学校の統計表第7表理由別長期欠席者数の注記に「前年度の調査まで「学校ぎらい」という区分のが使われていたが、11年度の調査から「不登校」に名称が変更されている。」とある。