日本語ではコンバージョンセラピーの訳語が固定していない為、類語や関連する語句を含め調査する。
■アメリカにおけるコンバージョンセラピーについて
●図書資料
①(雑誌)「Newsweek(ニューズウィーク) 日本版」 CCCメディアハウス 2015年4月21日号 20150421
→p.20 「性的指向を矯正する「有害」治療法の終焉?」
「…「転向療法」に反対する方針を、オバマ米大統領が先週明らかにした。…転向療法は、…その治療内容は非科学的で有害とされる。…」、2014年末に転向療法を苦にして自殺したトランジェンダーのアルコーンさんや、80年代~00年代初めに盛り上がったが効果なく下火となった事などが記載されている。
●朝日新聞記事データベース「聞蔵Ⅱ」 当館で閲覧可能
②「≪朝日新聞デジタル≫(特派員リポート) 「同性愛直す」セラピスト 自分も客も偽り続けた28年」(発行日2020年12月23日 デジ専 3904文字)
「…米国最大規模の「同性愛矯正団体」を創設したマクレー・ゲームさんが昨年、「私は間違っていた。許してほしい」と告白し、注目を集めた。…」
マクレー・ゲームさんがコンバージョンセラピーを受けるようになった経緯や団体の設立、後悔とカミングアウトなどについて述べられている。また、米精神医学会は科学的に根拠がないとして、コンバージョンセラピーに繰り返し反対を表明していること、近年は法律で禁止する活動があることが述べられている。
「…米メディアによると、全米の20州と首都ワシントンでは未成年のセラピーは認められていない。…」
●国連
③国連WEBサイト
インターネット検索画面に“Report on conversion therapy”と入力
Report on Conversion therapy – OHCHR
(
https://www.ohchr.org › Issues › Pages) を選択(例:グーグル検索で一番上に表示される)
国連の人権理事会のconversion therapyに関するレポートが表示される。(③)
(Your Human Rights > SexualOrientationGender > Report on Conversion therapy)
(
https://www.ohchr.org/EN/Issues/SexualOrientationGender/Pages/ReportOnConversiontherapy.aspx)
Published : May 2020
Author : Independent Expert on protection against violence and discrimination based on sexual orientation and gender identity
Presented : To the HRC at its 44th session, June 2020
Link : A/HRC/44/53※
下にスクロールすると加盟諸国や市民団体、学者などの報告書を各リンク先で閲覧可能。
→※リンク( A/HRC/44/53 )先→Practices of so-called “conversion therapy”
Summary(概要)に、このレポートの基となった決議があることの記述有。(32/2、41/18)
当WEBサイトの日本語版はないが、自動翻訳等で意味はつかめると思われる。
④『国際連合の基礎知識 [2018]』
国際連合広報局/著 八森 充/訳 関西学院大学総合政策学部 2018.10
分類:329.33 ISBN:4-86283-266-5 タイトルコード:1000001760897
→③で使用される単語の意味などがわかる。
OHCHR:国連人権高等弁務官事務所 Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights
●参考資料
⑤『<同性愛嫌悪(ホモフォビア)>を知る事典』 (禁帯出)
ルイ=ジョルジュ・タン/編 金城 克哉/監修 明石書店 2013.7 分類:367.97 ISBN:4-7503-3863-7
→p.371「治療」の項目あり
「…アメリカ合衆国では、「脱ゲイ運動」のグループが、祈りと精神治療の奇妙な混合である修復治療を勧めている。…遺伝学研究は…「遡及」治療の可能性を仄めかしている。…同性愛を「最終的に」矯正する一種の優生学の可能性を夢見ている者もある。…」
⑥『精神医学歴史事典』 (禁帯出)
エドワード・ショーター/[編] 江口 重幸/監訳 みすず書房 2016.7 分類:493.7 ISBN:4-622-07868-5
→p.238- 「同性愛、性同一性障害と精神医学」の項目あり。
p.243 転換療法(conversion therapy)に言及あり
p.244 「米国精神医学会は同性愛者の「修復reparative」あるいは「転換conversion」療法を公式に不認可とした(1998年)」
■映画「ある少年の告白」に関する記事
⑦「SCREEN(スクリーン)」 近代映画社 2019年5月号 20190321
p.86 「同性愛の“矯正”施設に送られた少年の衝撃の実話」
映画の内容の他に「現在でも36の州ではまだ矯正治療が行われている」として、conversion therapyに少々触れられている。
⑧「キネマ旬報」 キネマ旬報社 2019年5月上・下旬合併号 No.1809 20190501
p.136「ある少年の告白」
映画に対する内容のみ
⑨「週刊 金曜日」 金曜日 2019年4月12日号(1228号) 20190412
p.56「同性愛者が告発する“矯正治療”の実態」
ほぼ映画に対する内容
⑩「週刊 朝日」朝日新聞出版 2019年5月3・10日合併号 20190510
p.46 「全米が胸震わせた実話の映画化」
映画に対する内容
⑪「Newsweek(ニューズウィーク) 日本版」CCCメディアハウス
2019年4月23日号 20190423
p.61 「同性愛「矯正」の恐怖を真正面から見据えて 映画 J・エジャートン監督の『ある少年の告白』 意義あるテーマを描いた秀作か、「主張の商品化」か」
ほぼ映画に対する内容
■関連書(コンバージョンセラピーについての詳しい記述には行き当らなかった。)
⑫『現地レポート世界LGBT事情 変わりつつある人権と文化の地政学』
フレデリック・マルテル/[著] 林 はる芽/訳 岩波書店 2016.11 分類:367.97 ISBN:4-00-061154-1
「第3章 バラク・オバマとゲイの勝利」など
⑬『性的マイノリティの基礎知識』
ヴァネッサ・ベアード/著 町口 哲生/訳 作品社 2005.9 分類:367.97 ISBN:4-86182-012-X
p.123 「同性愛に対する一三の治療例」として列記されているが、冒頭に「一九世紀末以来、医師たちは…「治療」を開発しようとしてきたが、大きな成功を収めることはなかった」とある。
■記載なし資料
⑭『米国 2020/21年版 ARCレポート 経済・貿易・産業報告書』(禁帯出)
ARC国別情勢研究会/編集 ARC国別情勢研究会 2020.6 分類:332.53 ISBN:4-909585-55-4
関係機関(ホワイトハウスや、近隣では福岡市にある領事館など)の住所や電話番号の記載あり。
⑮『現代アメリカデータ総覧 2012』(禁帯出)
アメリカ合衆国商務省センサス局/編 鳥居 泰彦/監訳 柊風舎 2015.5 分類:355.3 ISBN:4-86498-026-5
⑯『「最前線の映画」を読む (インターナショナル新書) 021』 町山 智浩/著 集英社インターナショナル 2018.2 778.04 ISBN:4-7976-8021-8
(質問者から提供のパンフレットで本文記事(?)を提供していた氏の著作。質問の「アメリカ合衆国における『矯正治療』の現状」の執筆者かどうかは不明)
以上