【前提条件】
ビールテイストの発泡酒市場が形成された時期について
【参考資料】
①「酒市場レポ-ト 国産発泡酒,キリン参入で激動の幕開け」
月刊日食情報 (6956), 60-63, 1998-04
※国立国会図書館デジタル送信サービスで閲覧可
②日経テレコン
1.「味はビールでも税区分は「発泡酒」、マイクロブルーワーズ協、制限少なく普及狙う。」
1994/07/13 日本経済新聞 朝刊 17ページ
※マイクロブルーワーズ協とは「日本マイクロブルーワーズ協会」のこと。地ビールを醸造する小規模な醸造所の業界団体。
2.「サントリー、ビール味の低価格発泡酒――輸入品に対抗。」
1994/10/05 日本経済新聞 朝刊 17ページ
※商品名は「HOP’S(ホップス)」
3.「サッポロも発泡酒、麦芽25%未満で低価格。」
1995/04/05 日経産業新聞 20ページ
※商品名は「ドラフティー」
4.「キリン、発泡酒発売を発表。」
1998/01/13 日経流通新聞 3ページ
※商品名は「麒麟淡麗〈生〉」
③全国地ビール醸造者協議会ウェブサイトより、「地ビールとは」
http://www.beer.gr.jp/local_beer/ 【最終アクセス2018/7/16】
「平成6年4月の酒税法改正で、ビールの年間最低製造量が2000キロリットルから60キロリットルに引き下げられました。これにより、全国各地に少量生産のビールメーカーが続々誕生しました。」
これにより、ビールテイストの発泡酒の市場が形成された時期は、地ビール解禁から、大手メーカーが市場に参入した1994~1998(H6~10)年頃と考えられます。
【判例検索】
①LEX/DBインターネット 税務判例総合検索(国税不服審判所裁決含む)
検索条件:裁判日の期日“H6.1.1~H28.4.1”AND 法条“酒税法”
⇒ビール・発泡酒の税率に関する判例はヒットせず。
※判例総合検索でも結果は同じ。
②D1-Law 判例体系
①と同じ検索条件で検索
⇒ビール・発泡酒の税率に関する判例はヒットせず。
③裁判所ウェブサイト 裁判例情報 全判例統合検索
法条文が指定できないため以下の条件で検索
検索条件:裁判日の期日“H6.1.1~H28.4.1”AND 全文“酒税法”
⇒ビール・発泡酒の税率に関する判例はヒットせず。
※ビール・発泡酒に関する公開されている主な判例は以下の通りです。
①審決取消請求事件/商標「本生」事件判決 平成18年(行ケ)第10374号
知財高裁 平成19年3月28日
⇒アサヒビール「本生」の商標登録をめぐる裁判。
②審決取消請求事件/麦芽発酵飲料事件判決 平成22年(行ケ)第10350号
知財高裁 平成23年10月4日
⇒麦芽発酵飲料の特許に関する裁判。原告・サッポロビール株式会社、被告・サントリーホールディングス株式会社。
③審決取消請求事件 平成24年(行ケ)第10237号
知財高裁 平成25年8月1日
⇒「麦芽発酵飲料」の特許無効審判請求不成立審決の取消訴訟。原告・サッポロビール株式会社、被告・サントリーホールディングス株式会社。
【サッポロビール株式会社の「極ゼロ」の税率をめぐる動き】
※日経テレコン記事検索でヒットしたデータを時系列に並べています。この他の各紙でも同様の報道がされていますので、そちらも合わせてご確認下さい。
検索条件 キーワード:サッポロビール 酒税 AND 期間:2014/01/01~
①「サッポロ、第三のビール販売中止、発酵段階に問題?、酒税116億円追加納付へ。」
2014/06/21 日本経済新聞 朝刊 2ページ
※サッポロホールディングスが6/20に、第三のビールとして販売していた「極ゼロ」の過去の出荷分について、116億円の酒税を追加納付すると発表した。
②「「極ゼロ」争い長期化も、国税、酒税返還せず、サッポロ「第三のビールと確証」。」
2015/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ
※ビール系飲料「極ゼロ」をめぐりサッポロビールが自主納付した酒税115億円の返還を求めていた問題で、国税当局は28日までにサッポロに対し返還しないと通知した。
③「「極ゼロ」国税に異議、サッポロ、115億円返還要求、「ビール系」対立長期化。」
2015/06/23 日本経済新聞 朝刊 2ページ
※1月に求めた酒税の返還が拒否された件(記事②)を受けて、サッポロ側が再度返還を要求。
④「サッポロの異議棄却、国税当局、「極ゼロ」酒税返還巡り。」
2015/09/24 日本経済新聞 夕刊 3ページ
※サッポロが再度返還を求めた件(記事③)が棄却された。
⑤「サッポロ、「極ゼロ」酒税巡り第三者判断仰ぐ。」
2015/10/17 日本経済新聞 朝刊 12ページ
※サッポロが、「極ゼロ」に関して自主納付した酒税115億円の返還を認められなかったことを不服として、国税不服審判所に審査請求をした件。
「極ゼロ」の酒税を巡る記事は以上です。他紙にも報道が無いため、2015年10月の審査請求については、まだ内容が公開されていないと考えられます。
【国税不服審判所ウェブサイト>公表裁決事例集等の紹介】
http://www.kfs.go.jp/service/index.html 【最終アクセス2016/4/11】
2016.4.11現在「公表裁決事例」で公開されているのは平成27年9月分までの事例。
裁判要旨検索システムにて、
特定税目:消費税法等(酒税含)×キーワード:返還(他にビールや発泡酒でも検索)
の条件で検索するも、ビールやビールテイストの発泡酒についての酒税の裁判事例は見当たらず。
【調査結果】
現時点(2016.4.11)で公表されている限りでは、今回お尋ね頂きましたビールや発泡酒の税率を巡る「公開された判例」は確認できませんでした。ただし今後国税不服審判所より、サッポロビールの不服申立に関する裁判例が公開される可能性はあります。そのため、今回ご紹介しました判例検索や新聞データベース、サッポロホールディングス株式会社のニュースリリースなどで、継続して調査を実施されることをお薦めいたします。