レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/03/29
- 登録日時
- 2011/07/16 02:00
- 更新日時
- 2022/08/18 17:27
- 管理番号
- 横浜市中央1367
- 質問
-
解決
江戸時代の各藩の専売制について調べています。
近世ヨーロッパ(イギリス、フランス、スペインなど)では、そのような権力者の専売制度はあったのでしょうか。
- 回答
-
以下のとおり、回答いたします。
1 まず、「専売制」の制度についてご説明させていただきます。
『歴史学事典 第1巻 交換と消費』(尾形勇/〔ほか〕編集 弘文堂 1994年)
によると、
「専売とは国家が法律にもとづき特定の商品の生産と販売、あるいはいずれかを独占下におく制度
である。」(p.493)
とあります。
また同書には我が国の江戸時代の各藩における専売についても言及しており、
「専売商品の独占・収納の方式に、藩が直接買占めに当る直接的購買と、藩は資金を提供、有力商人に
買占めを委託する間接的購買とがあり、後者が多く、独占した専売品の販売方式には、領内の販売を独
占する領内専売と、江戸、大坂等の全国的大市場に送る領外移出専売の2類型があったが、各藩が力を
注いだのは後者の領外専売である。」(p.495)
とあります。
また、『世界大百科事典』(平凡社)では「専売」の項目の他、
「藩専売制」という別項目を立てています。
「絶対君主や藩主が、財政収入を目的として、商人資本による流通独占に権力的に介入し、その利潤の
一部を収奪するという形のもので、政府自体が資本家的経営者として独占販売を行う近代資本主義的な
制度とは本質的に異なっている」
(『平凡社大百科事典 16』 p.177 「専売」の項)としています 。
2 1を踏まえて、調査した結果を回答いたします。
1の『平凡社大百科事典 16』 p.177 「専売」の項によると、
「その初期にあたる18~19世紀のフランス、オーストリアなどのタバコの専売は、このような絶対君主制下
の商業資本的独占の正確が強いといわれている」
とあります。
しかしながら、近世ヨーロッパにおける「江戸時代の各藩の専売制」の「ような権力者による専売制度」を
合理的、網羅的な検索手段は見当たりませんでした。
また、1の『歴史学事典 第1巻 交換と消費』によりますと、
「また、ヨーロッパをはじめ他の諸国家・諸地域の専売制および類似の制度の個別的制度研究・紹介が
望まれる…」(p.495)
とありますのでヨーロッパ地域での同制度の紹介された資料が我が国では少ないと思われます。
3 今回の回答では以下の資料も参考にしております。
(1)『パンと塩 ロシア食生活の社会経済史』 R.E.F.スミス/著 平凡社 1999年
(2)『近世の専売制度』 吉永昭/著 吉川弘文館 1996年 (日本歴史叢書)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 専売.国有財産 (348 8版)
- 経済史.事情.経済体制 (332)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000088538