レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/09/08
- 登録日時
- 2018/02/15 00:30
- 更新日時
- 2018/02/15 19:21
- 管理番号
- 茨城-2017-107
- 質問
-
解決
日本三公園が紹介されている文献の確認のため,明治・大正期の教科書を確認したい。
手元にある資料では,明治37年から使用された国定教科書「尋常小学校読本」と,大正9年の「尋常高等小学校読本巻1」が挙がっている。
- 回答
-
明治37年の「尋常小学校読本」については,『日本教科書大系 近代編 第6巻』に掲載があります。
三公園としての記述のある教科書については,明治43年刊の『高等小学読本 巻1』に掲載があるようです。
香川県立図書館のレファレンス事例より
・高等小学読本 〔第2期〕 巻1 文部省/著 大空社 1991.5
(複刻国定高等小学読本) ※大阪書籍明治43年刊の複製
※p.19-24「第六課 公園」の中のp.23に「我ガ国ニテ風致ノ美ヲ以テ世ニ聞エタルハ、水戸ノ偕楽園、金沢ノ兼六園、岡山ノ後楽園ニシテ、之ヲ日本ノ三公園ト称ス。」との記述があるそうです。
大空社の「複刻国定高等小学読本」は,茨城大学附属図書館に所蔵があります。
国定高等小学読本. 復刻版
責任表示: 文部省著
出版情報: 東京 : 大空社, 1991.5
形態: 40冊 ; 22cm ←39冊+解説1冊なので,この内の1冊にあると思われます。
書誌ID: BN06968375
ISBN: 9784872361698 [4872361695] (解説)
子書誌:あり
所在: 本館-書庫-和書
請求記号: 375.98/Mom
資料番号: 119106667(解説)
119106665(高等小學讀本. 復刻版)
119106663(高等小學讀本. 復刻版)
119106664(高等小學讀本. 復刻版)
119106666(高等小學讀本 : 農村用. 復刻版)
また,三公園について書かれている資料が他にも2点ほどありましたので,参考までご紹介します。
・『近世日本の学問・教育と水戸藩 2』(水戸市教育委員会事務局文化課世界遺産推進室/編集,水戸市,2011)
p.180 三名園の経緯について記述あり。
p.193 三公園の経緯として,大正2(1913)年の国定教科書『高等小学読本 巻一』を引用しています。大正2年の『高等小学読本 巻一』は,茨城県立歴史館に所蔵があるようです(p.187)。なお,p.202の注9には「明治期の国定教科書の中ですでに用いられている」との記述があります。
・『水戸/偕楽園・弘道館公園』(小松 靖男/編集・著者,造園植物研究所,2016)
p.15「日本三公園の経緯等について」の項目があり,こちらでも大正2年の「高等小学校読本」が引用されています。
- 回答プロセス
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(1) 明治大正期の教科書についての確認なので,『日本教科書大系』を確認。
M37 尋常小学校読本 → 掲載あり(p.486)
T09 尋常高等小学校読本巻1 → 掲載なし
(2) 書庫(閉架)にて戦前の教科書(復刻版)を確認 → なし
(3) レファ協にて類似事例を検索
・香川県立図書館の事例
→大空社の復刻版は,当館に所蔵なし。近くでは,茨城大学図書館に所蔵あり。
・岡山県立図書館の事例
→後楽園については「三公園の一つ」という言及があるが,他の公園についての言及はなし。
(4) 偕楽園・三公園について関連する図書を確認
△『近世日本の学問・教育と水戸藩 2』
p.189「日本三名園のようなものが俗説として広まったのは明治中期ごろからではないかといわれている。岡山後楽園への明治18年に明治天皇の御幸が新聞で大きく報じられたことをきっかけに、「岡山後楽園」、「常陸常磐公園」、「加賀兼六公園」が「日本三公園」として知られるようになり、その後転じて「日本三名園」になったという。」
p.193「大正2(1913)年に文部省が刊行した国定教科書『高等小学読本 巻一』〔目録Ⅰ-21〕の「第六課 公園」…偕楽園、兼六園、後楽園が「日本三公園」と呼ばれるようになったのは、国定教科書の前記の記述がもとになっているといわれる。(9)」
p.202(9)「偕楽園公園センター 2009「偕楽園」 「日本三公園」という語句が国定教科書の記述の中ではじめて用いられた年代は確認できていないが、明治期の国定教科書の中ですでに用いられているという。」
△『水戸/偕楽園・弘道館公園』
p.15「日本三公園の経緯等について」にも記述あり。
※その他確認した資料
×『日本三名園物語記録集』(資料番号:001052998711)
×『弘道館・偕楽園』(資料番号:001051797403)
×『近世日本の学問・教育と水戸藩』(資料番号:001053918528)
×『近世日本の学問・教育と水戸藩 3』(資料番号:001054065477)
- 事前調査事項
- NDC
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- 造園 (629 9版)
- 教育課程.学習指導.教科別教育 (375 9版)
- 参考資料
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海後宗臣/等編. 国語 3. 講談社, 1964. (日本教科書大系 ; 近代編 第6巻)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I010474542-00 -
水戸市教育委員会事務局文化課世界遺産推進室 編 , 水戸市教育委員会. 近世日本の学問・教育と水戸藩 : 世界遺産暫定一覧表記載資産候補「近世の教育資産」に係る平成22年度調査・研究報告書 2. 水戸市, 2011.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023266447-00 , ISBN 9784990080228 -
小松 靖男/編集・著者 , 小松 靖男 , 小松 靖男. 水戸/偕楽園・弘道館公園 : 歴史・植生・景観・管理. 造園植物研究所, 2016-06. (造園植物研究叢書 : 1)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I071360152-00 - レファレンス協同データベース事例(香川県立図書館):明治時代の小学校の教科書に、日本三名園(偕楽園、兼六園、後楽園)とあわせて高松の栗林公園が称賛されている単元があるらしい。それを見たい。 (https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000093575)
- レファレンス協同データベース事例(岡山県立図書館):岡山後楽園が日本三名園の一つと言われるようになったのはいつからか。 (https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000032152)
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海後宗臣/等編. 国語 3. 講談社, 1964. (日本教科書大系 ; 近代編 第6巻)
- キーワード
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- 偕楽園(カイラクエン)
- 教科書(キョウカショ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 郷土,地名
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000230719