レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年08月30日
- 登録日時
- 2022/11/22 18:16
- 更新日時
- 2022/11/24 16:11
- 管理番号
- 0000111008
- 質問
-
未解決
『仙台戊辰史』(藤原相之助 著,マツノ書店,2005)p260に、慶応4年(1868年)1月、仙台藩が木戸孝允(きど たかよし)の斡旋で錦旗を入手した旨の記述があるが、このことを木戸の日記等で確認したい。
- 回答
-
木戸孝允の慶応4年1月の動向がわかる日記類は見当たらなかった。
下記資料1によると、木戸の日記としては、『木戸孝允日記』のほか、資料2に日記断簡が収録されているとある。資料2を確認したが、すべて慶応以前のもの。
木戸の代表的な伝記である『松菊木戸公伝』の巻2木戸孝允公年譜(其二)(資料3)p18によると、慶応4年1月の木戸の動向は以下のとおりで、仙台藩士に関する記述はない。
7日 藩命を受けて岡山へ派遣される
8日 伊藤博文と会談
19日 神戸事件を憂慮し、解決斡旋のため、大阪着
21日 入京
25日 総裁局顧問に就任
26日 岩倉具視、大久保利通と大阪遷都の建言について協議
28日 木戸らの建言により、萩藩主、豊前、石見の占領地の返還を奏上
巻2本文p886-904も確認したが、仙台藩士に関する記述は見当たらなかった。
『松菊木戸公伝』は国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、インターネットを介して利用できる。(2022年11月21日最終確認、以下同じ)
国立国会図書館デジタルコレクション:松菊木戸公伝 上 293コマ目
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1187471/293
同 510コマ目
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1187471/510
また、以下の木戸の伝記で、当該時期の記述を確認したが、仙台藩との交渉に関する記述は見当たらなかった。
『木戸孝允』(松尾正人 著,吉川弘文館,2007.2)p16-19
『木戸孝允と幕末・維新』(齊藤紅葉 著,京都大学学術出版会,2018.3)p171-174
なお、仙台藩の錦旗に関する記述は、『防長回天史』巻6上附録の「東北人謬見考」(資料4)p15-17にも見える。それによると、『仙台戊辰史』の当該部分について、木戸の関与等に疑義がないわけではないが、仙台藩が自ら錦旗を乞うたのは「確ナリ」としている。
『防長回天史』は国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、インターネットを介して利用できる。
国立国会図書館デジタルコレクション:防長回天史 第6篇上(第10) 303コマ目
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2169814/303
また、『史談会速記録』合本13第73輯(資料5)p43に、当事者であった仙台藩士、一條十郎による談話として、当該挿話が収録されている。
- 回答プロセス
-
『仙台戊辰史』該当ページを確認
『近現代日本人物史料情報辞典』木戸孝允の項を確認、木戸の日記断簡が『遺文集』にあることが分かる。『遺文集』を確認。
木戸の伝記を確認。最近の伝記でも、慶応4年1月頃の動向は木戸の書簡等で確認しており、日記類はないらしいことが分かる。
『防長回天史』『復古記』の慶応4年1月部分を確認。(『防長回天史』は索引で木戸の項を引き、該当時期の記述のみ確認)
GoogleBook検索にて「仙台藩」「錦旗」等で検索、『防長回天史』にも該当記述がある模様。次世代デジタルライブラリーで検索、巻10附録であることが分かる。
『宮城県史』等、宮城県側の資料を確認、木戸のあっせんがあったとする資料があるが、『仙台戊辰史』とほぼ同様。
当事者である但木土佐、一條十郎について調べる。リサーチ・ナビのテーマ別データベースにて、『仙台藩の戊辰戦争 先人たちの戦いと維新の人物録』(木村紀夫 著 南北社 2015)に記載があることが分かる。一條の項に、参考文献として『史談会速記録』が挙げられている。史談会速記録の索引を確認、一條の項はないが、錦旗の項に、仙台藩の錦旗あり。
- 事前調査事項
-
『木戸孝允日記』は慶応4年4月1日から始まっているため記述されていないであろうことは確認済み。
- NDC
-
- 日本史 (210 9版)
- 日本 (281 9版)
- 参考資料
-
-
1.伊藤隆, 季武嘉也 編 , 伊藤, 隆, 1932- 日本政治史 , 季武, 嘉也, 1954-. 近現代日本人物史料情報辞典. 吉川弘文館, 2004.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007420621-00 , ISBN 4642013415 (p148-149) -
2.木戸 孝允/[著] , 木戸‖孝允. 木戸孝允遺文集. 東京大学出版会, 2003. (続日本史籍協会叢書 ; 第5期)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005865178-00 , ISBN 4130002368 (p183) -
3.木戸公伝記編纂所 編 , 木戸公伝記編纂所. 松菊木戸公伝 上. マツノ書店, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I023484652-00 (p18,886-904) -
4.末松 謙澄 著 , 末松‖謙澄. 防長回天史 10 復刻版. マツノ書店, 2009.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036294779-00 (附録p15) -
5.史談会/編集 , 史談会. 史談会速記録 合本 13. 原書房, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I023018704-00 (p43-44)
-
1.伊藤隆, 季武嘉也 編 , 伊藤, 隆, 1932- 日本政治史 , 季武, 嘉也, 1954-. 近現代日本人物史料情報辞典. 吉川弘文館, 2004.
- キーワード
-
- 日本--歴史--江戸末期
- 日本--歴史--明治時代
- 木戸, 孝允, 1833-1877
- 錦の御旗
- 戊辰の役 (1868-1869)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000324513