レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/11/15
- 登録日時
- 2018/01/15 00:30
- 更新日時
- 2018/01/15 00:30
- 管理番号
- 6001028458
- 質問
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解決
佐賀藩が参勤交代に要した費用や年間予算に占める割合について知りたい。
- 回答
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佐賀藩が参勤交代に要した費用や年間予算に関する資料には、以下のようなものがあります。
<図書>
・『日本の歴史 15 大名と百姓』(中央公論社 1977)
p.156-158にかけて、明暦元年(一六五五年)の佐賀藩の予算についての記述があります。うち、p.156には予算についての表も掲載されています。
それによりますと、参勤に要する費用は銀472貫・米1,200石で年間予算に占める割合は20%、江戸邸経常費は銀731貫430匁・米453石で28%、天満での経費は米3,345石で4%、国元での経費が88貫916匁・31,237石4斗4升で48%、下関での経費は468石で、年間予算の合計は、銀1,292貫346匁・米36,703石4斗4升となっています。
また、「明暦元年(一六五五)の鍋島氏の予算についてみてみよう。この予算書が注目されるのは、参勤の年についての予算だからである。一年間に米にして七万八四四八石三斗の支出である。このうち参勤に要する費用は全支出の約二〇%である。江戸で参勤にかかわりなく必要とする費用は、全支出の約二八%、大坂天満の蔵屋敷で必要な経費は約四%、国元経費のうち、長崎警固番に命ぜられて長崎で使う費用は全体の約二%、残りは国元での費用で四六%を占める。」(p.156)とあり、「参勤に要する費用のうち、おもなものは進物代と供の者の借家賃そのほかで二六九貫匁、供の者の路銀駄賃で九四貫匁、供の者の飯米代と飼馬三五疋の飼料で七五貫匁となっている。」(p.157)とあります。
その他、以下の資料にも、佐賀藩の予算についての記述があります。
・『幕藩制社会の財政構造(日本史学研究双書)』(長野暹/著 大原新生社 1980)p.202-205
p.203に、明暦元年の予算の、より詳細な内容が分かる表が掲載されています。
また、「銀支出は参勤関係費がほとんどを占め、国元台所料はわずか一四貫にすぎない。銀支出総額一二九七貫三四六匁に対して、参勤道中・進物・江戸詰などの参勤関係の費用は一二〇三貫八三〇匁であり、約九三%を占めて、その比重は大きい。一方、米支出では家中切米層への支出が主である。切米層には米二万三六六三石四斗六升で、米支出総量三万八二〇五石四斗六升の六二%を占める。」(p.202)とあります。
p.205には、財政年度は明らかではないものの、明暦三年をあまりくだらないと思われる年の予算の年間見積の表が掲載されています。
また、「財政年度は明暦三年をあまりくだらない年のものとみられるが、江戸詰費と道中費が銀五四六貫になっている。これ以外には藩主家族費二六〇貫、江戸役方費一七五貫が主な支出である。参勤関係費総額は一四四六貫余で、銀支出総額一八五九貫余の七八%に及び、きわめて多額である。」(p.204-205)とあります。
・『参勤交代(日本歴史叢書新装版)』(丸山雍成/著 吉川弘文館 2007.7)p.215
「九州の佐賀藩の明暦元年(一六五七)の総支出額は、米三万八二〇三石・銀一二九七貫三四六目で、うち銀支出は江戸経費は六八六貫四三〇目(五三%)、道中経費五一七貫目(四〇%)、長崎警備経費五貫目(〇.二%)、国許経費他が八八貫九一六目(六.八%)の内訳となる。なお、江戸経費のなかでは、藩主家族の在府生経費が半分を占め、残りは江戸雑務納戸・台所料・定詰藩士飯料・屋敷修理費からなる。いずれにせよ、銀支出の九〇%以上は江戸経費と道中経費で占められ、米支出の七割近くが藩士への禄米、残りが国許台所料と諸費用である」とあります。
<インターネット>
・長野暹「宝暦〜安政期における佐賀藩財政の分析(一)」『佐賀大学経済論集』8(1・2)(佐賀大学経済学会 1975.12)p.65-106(2017/11/15現在)
http://portal.dl.saga-u.ac.jp/bitstream/123456789/11659/1/nagano_197512.pdf
p.82-86にかけて、宝暦十年の支出の内訳を表にしたものが掲載されています。
[事例作成日:2017年11月15日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 九州地方 (219 8版)
- 参考資料
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- 日本の歴史 15 中央公論社 1977 (156-158)
- 幕藩制社会の財政構造 長野/暹∥著 大原新生社 1980 (202-205)
- 参勤交代 丸山/雍成∥著 吉川弘文館 2007.7 (215)
- http://portal.dl.saga-u.ac.jp/bitstream/123456789/11659/1/nagano_197512.pdf (長野暹「宝暦〜安政期における佐賀藩財政の分析(一)」『佐賀大学経済論集』8(1・2)(佐賀大学経済学会 1975.12))
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000228341