幕末から太平洋戦争終結までの「皇紀」という語の使用の意義についてですが、このキーワードは「神武天皇」や「神武紀元」、「紀元節」と関わりが深いようです。従って、広く後者のキーワードを手掛かりに調査しましたところ、いくつか参考となる資料がありましたので、以下に紹介します。
①『日本の建国と二月十一日』平田俊春著、甲陽書房、1967
上記図書の「神武紀元の展開と国家意識」(pp.157-180)には、幕末維新に際して神武紀元が尊皇攘夷論の基礎となった旨記述があります。
②松島栄一「近代日本の形成と紀元節制定の問題」『天皇制の歴史 下(歴史科学大系18)』1987. pp.97-107所収
上記の論文では、紀元節制定の意義、紀元節と近代日本国民との結びつきについて論じています。
③「建国記念の日Q&A 2・11考えてみたい・・・」『歴史評論』No.430 (1986)
上記資料のQ4(pp.42-44)には、日清、日露戦争、第二次世界大戦における戦意高揚や国民統合という紀元節の役割について簡単な説明があります。
④『神武天皇と日本の歴史』中山久四郎 編、小松書店、1961
上記図書には、中山久四郎「江戸時代における神武紀元の尊重」や、同著者の「明治初年における皇紀の尊重」などが収録されています。本学には所蔵がありませんが、国会図書館のデジタル送信サービスより閲覧が可能です。中山久四郎は既に著作権が切れておりますので、上記論文であれば全文の複写(スタッフが代行して複写、後日お渡し)が可能です。必要であれば、1Fレファレンスカウンターにてお申込み下さい。
⑤『研究史 神武天皇』星野良作 著 吉川弘文館 1980
上記図書のpp.81-98「紀元節の成立」では、明治の紀元節制定から昭和20年までの紀元節と国民の関係について記述があります。
⑥『神武天皇』門脇禎二 著 三一書房 1957
こちらも、明治から終戦までの紀元節と国民の関係について簡単にまとめられています(pp.35-43参照)。
⑦山本寿夫「幕末国学者と神武創業」『岡山県立短期大学研究紀要』11号 1967. pp.19-33.
上記の論文は明治維新と神武天皇創業の関係について論じたもので、発行元よりインターネットで公開されています。1Fレファレンスカウンターにて印刷可能です。必要であればお申し出ください。
⑧Edwards Walter「平成における神武天皇--神武天皇聖蹟顕彰碑の現状」
『天理大学学報』 58(2) 2007. pp.89-110.
「平成における・・・」とありますが、神武の東征や即位が戦争に利用されていたことについても若干記述があります。主に顕彰碑についての記述が中心です。こちらの論文も発行元よりインターネットで公開されています。1Fレファレンスカウンターにて印刷可能です。必要であればお申し出ください。
⑨『紀元節問題に関する資料集』国立国会図書館 1966
第4章(pp.110-127)に神武天皇や紀元節に関する参考文献リストがあります。
◆以下の資料3点は本学には所蔵していません。大阪府立中央図書館に所蔵があるようです。
⑩『上代日本史の問題点 : 建国紀元の探求』市村其三郎 著 世界書院 1965
請求記号322/321/# 資料番号1511363788
⑪『日本のあけぼの 建国と紀元をめぐって』三笠宮崇仁 編 光文社 1959
請求記号210.3/195N/ 資料番号 1110404256
⑫『日本の建国』日本史研究会 編 東京大学出版会 1957
請求記号210/N25/1 資料番号1612037034
上記⑫は、⑤のなかで言及されている図書です。