レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/11/3
- 登録日時
- 2020/03/25 00:30
- 更新日時
- 2023/12/24 00:30
- 管理番号
- M20020216308439
- 質問
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籾殻を土器にかぶせて焼く方法を映像で見たことがあるのだが、具体的な焼成方法が知りたい。
- 回答
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当館所蔵の本で調査したところ、「土器全面に籾殻をかぶせて焼く方法」に関しては、
①に海外の事例と写真はあったものの、具体的な焼成方法の記述は確認できなかった。
「土器の内面だけを籾殻に伏せて覆う方法」については②に詳細な焼成実験の記述があった。
③にも海外の事例が紹介されているが、具体的な焼成方法の記述はなかった。
①「第2章 唐津焼の成形法 第二部 唐津焼の技法と名称」p154-155に以下の記載と、籾殻窯の写真あり。
「タイ国チェンライ市より四二キロほど南下したチェンライ県パーン郡ムアン・ターン地区のマイ村には変わった籾殻窯がある。〔写真38-2〕
(中略)藁は窯床だけに使い、器物の上に籾殻を全面にかぶせ、夕刻五時頃着火すると、翌朝七時頃には窯出しができる。
焼成温度は藁窯より高く硬く焼締まっている。籾殻以外に、藁、笹も使う。」
②p137-149の桜岡正信「黒色土器づくり」に、「土器をモミガラに伏せて吸炭させる」(内面のみをモミガラで覆い黒色処理する)焼成実験の
事例が図入りで詳細に掲載されている。p138に以下の記述あり。
「黒色土器を詳細に検討した小笠原好彦は、黒色処理の原理について「土器の表面に炭素を吸着させたものとみてまちがいない」とし、
「焼成してまだ熱い段階に、土器をモミガラなどの植物性物質によって完全におおって」吸炭させる方法について述べるとともに、
「黒鉛、黒漆など無機・有機などの黒色物質を直接器面に塗る」方法を紹介している。(小笠原 1972a:55)」
③ ②の参考文献を確認したところ、p36~57小笠原好彦「丹塗土師器と黒色土師器」のp56に以下の記述あり。
「まだ熱い土器を有機質と接触させることによって、すすけさせる実例について述べる。ニオルのサラコレ族は、
半球形の皿を、まだ熱いうちに、乾いた糞でつつむことによって表面に炭素を吸着させて光沢をあたえる。これには長時間をかけている。
北東リベリアでは同じような効果を目的として、熱い土器にモミガラをふりかける。
モミガラは土器の表面で炭化して還元焔として土器の内外を黒くする。アシャニティ族も全く同様の方法をとる。」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 歴史補助学 (202 9版)
- 参考資料
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①中里 逢庵『唐津焼の研究』 中里太郎右衛門陶房,2004,260p. 参照はp.154-155.
②佐々木 幹雄,齋藤 正憲『世界の土器づくり』 同成社, 2005,197p. 参照はp.137-149.
③考古学研究会『考古学研究 第18巻第2号』,1971, 参照はp.56.
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①中里 逢庵『唐津焼の研究』 中里太郎右衛門陶房,2004,260p. 参照はp.154-155.
- キーワード
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- 土器
- 籾殻
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2020020216371308439
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢, 高校生, 中学生
- 登録番号
- 1000276614