レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年08月13日
- 登録日時
- 2017/08/13 12:37
- 更新日時
- 2018/01/18 10:13
- 管理番号
- 名古屋市陽-2017-001
- 質問
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解決
大盗賊で知られる石川五右衛門は実在する人物か。また、実在したのであればどんな人物だったのかを知りたい。
- 回答
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『日本人名大事典』p.218にあるように、石川五右衛門の最期については同時代の複数の資料に記述されているため、実在の人物であると思われます。
また、石川五右衛門が大盗賊であったことについては資料に記述がありますが(『大航海時代叢書 第11』p.226‐227)、それ以上の詳しい記述は確認できませんでした。そのため、「豊臣政権に刃向う義賊」という石川五右衛門のイメージは、『日本架空伝承人名事典 増補』p.54‐56で書かれているように、後に江戸時代の浄瑠璃や歌舞伎によって粉飾され、世間に広まっていったようです。
- 回答プロセス
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『日本人名大辞典』を確認したところ、「豊臣時代の大盗。その一代の事は詳かでない。」とありましたが、京都三篠河原で子どもと共に釜にて煎殺された様子が「言経卿記」、「続本朝通鑑」、「歴朝要紀」、「将軍家請」など複数の資料に記されていることから「実在の人物であったことは確かであろう」と書かれていました。
次に『日本架空伝承人名事典』を確認したところ、『言経卿記』『豊臣秀吉請』、アビラ・ヒロンの『日本王国記』によると凶悪な窃盗であり、豊臣政権に反発する義賊と言うのは江戸時代の大衆芸能の影響が大きいこと、1594年に京都三条河原で極刑に処されたが出身地には諸説あることなどが書かれていました。
また、『 石川五右衛門 : ほか 日本史人物夜話』を確認したところ、アビラ・ヒロンの『日本王国記』の注の中に「Ixicavagoyemon」(スペイン語でイシカワゴエモン)とはっきりと記されており、これにより石川五右衛門が、架空の人物ではないということが確かになったと書かれていました。
上述の『大航海時代叢書 第11』に収録されている『日本王国記』を確認したところ、「都に一団の盗賊が集まり、これが目にあまる害(強盗など)を与えた」ため、「(その集団の)15人の頭目は生きたまま、油で煮られ、彼らの妻子・父母、兄弟、身内は五親等まで磔に処せられ」たとの記述がありました。注には、「油に煮られたのは、ほかでもなく石川五右衛門Ixicavagoyemonとその家族9人か10人であった。」と書かれていました。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 9版)
- 参考資料
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日本人名大事典 第1巻 (ア~オ). 平凡社, 1979.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001498850-00 -
大隅和雄 [ほか]編 , 大隅, 和雄, 1932-. 日本架空伝承人名事典 増補. 平凡社, 2000.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002931270-00 , ISBN 4582126286 -
原田伴彦 著 , 原田, 伴彦, 1917-1983. 石川五右衛門 : ほか 日本史人物夜話. 時事通信社, 1973.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001218220-00 -
アビラ・ヒロン 著 , 佐久間 正 [ほか]訳 , アビラ・ヒロン , 佐久間 正. 大航海時代叢書 : 日本王国記 11. 岩波書店, 1965.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060850449-00
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日本人名大事典 第1巻 (ア~オ). 平凡社, 1979.
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000220322