レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年07月16日
- 登録日時
- 2015/05/28 18:07
- 更新日時
- 2015/06/30 13:11
- 管理番号
- 埼熊-2015-007
- 質問
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解決
フランシスコ=ザビエルの遺体に石灰を塗って保存状態を良くした、ということが書かれた資料を探している。(何かで読んだことがある。)
また、当時、そのように処置する習慣があったかどうか知りたい。
- 回答
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1 フランシスコ=ザビエルの遺体に石灰を塗ったという記述のある資料については、記述のあった以下の資料を紹介した。
『聖フランシスコ・ザビエルの歩いた道』(パウロ・フィステル著 中央出版社 1982)
p111「柩の中には腐敗を早めるために石灰四袋を入れ、後にインドへ遺骨を持っていく時に都合のよいようにしたつもりであった。」
p112「翌年二月中旬に、(中略)柩を開けてみるとフランシスコの遺骸は腐敗の気配も無く、埋葬の日と同じ姿を保っていた。」
『聖フランシスコ・ザビエル全生涯』(河野純徳訳 平凡社 1988)
p338「第六章 5 埋葬」の項に、「墓を掘って柩をおさめようとした時、柩のなかに石灰を入れておけば遺骸が早く腐蝕するので、インドへ遺骨で運べるようになるとの意見が出た。皆がこれに賛成したので、急いで小屋へ戻り石灰を四袋持ってきて遺骸の下に二袋敷き、上に二袋かぶせて柩を閉じ、地下に下ろして仮の埋葬をすませた。」
p339「第六章 6 遺骸をマラッカへ、そしてゴアへ」の項に、「忠実なアントニオは埋葬してから二ヵ月半の遺骸を下に残したままで帰ってよいかどうか戸惑い、船長アラガンに相談した。船長はすぐにポルトガル人を埋葬地に走らせ、墓を開いて遺骸の状態を調べさせた。驚いたことには、遺骸は埋葬のときと全く同じ状態で、少しも腐敗していなかった。」
2 当時、遺体に石灰を塗って保存状態を良くする等の処置を行う習慣があったかについては、記述のある資料は確認できなかった。
関連する記述のあった以下の資料を紹介した。
『魔都江戸の都市計画 徳川将軍家の知られざる野望』(内藤正敏著 洋泉社 1966)
p21-22「独特な埋葬法」の項に、「御肌付と中側の木棺の間には練香を詰め、中側と外側の木棺の間には石灰が詰められ、」とあり。
p22-24「防腐処理された遺体」の項に、1855年に没した津軽承祐の遺体について、「石灰には殺菌作用があり、(中略)また石灰や木炭も吸湿作用があるので、埋葬直後に棺内が湿気をおびたときに、腐敗しにくい状態にする効果があったらしい。」
- 回答プロセス
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1 以前受付けた関連する事例「フランシスコ・ザビエルが帰国途上で亡くなった際、日本に感謝していたという内容の読売新聞の記事をみた。そのことが記載された資料があれば見たい。」(埼熊-2014-114)で調査した資料を確認し、回答の情報を得た。
2 《Google》を〈石灰 & 埋葬〉で検索した結果、個人ブログ《上野第二編(53) 寛永寺63/日光遷座スタート~将軍の埋葬方法》(2014/07/11最終確認)に関連する記述があり、紹介されていた図書を確認し、関連する記述を見つけた。
調査資料で記述のなかったものは次のとおり。
1に関して
『聖フランシスコ・ザビエルの日傘』(平湯晃著 河出書房新社 1993)
『「東洋の使徒」ザビエル 2 アジア世界におけるヨーロッパ・キリスト教文化の展開』(ザビエル渡来450周年記念行事委員会編 Sophia University Press上智大学 2000)
2に関して
『世界大百科事典 2005年改訂版』(平凡社 2005)
『日本大百科全書 14』(小学館 1987)
『ブリタニカ国際大百科事典 改訂版』(フランク・B.ギブニー編 ティービーエス・ブリタニカ 1984)
『歴史学事典 別巻 総索引』(尾形勇編 弘文堂 2009)
『窯業工学ハンドブック』(窯業協会編 技報堂 1966)
『石膏石灰ハンドブック』(石膏石灰学会編 義報堂出版 1986)
『考古資料と歴史学 歴博大学院セミナー』(国立歴史民俗博物館編 吉川弘文館 1999)
『近世日本の言説と「知」』(浪川健治編 清文堂出版 2013)
『骨考古学と蝦夷(えみし)・隼人 市民の考古学 12』(瀧川渉編 同成社 2012)
『長野県の考古学 2 長野県埋蔵文化財センター研究論集 2』(研究論集編集委員会編 長野県埋蔵文化財センター 2002)
『ご遺体の変化と管理 ”死後の処置”に活かす』(伊藤茂著 照林社 2009)
『日本の石灰石』(石灰石鉱業協会 1983)
『石灰群書 校注 史料篇』(湧井壮吉校注・編集 日本石灰協会編集委員会 1980)
『流通と幕藩権力』(吉田伸之編 山川出版社 2004)
『近世日本石灰史料研究 1-7』(川勝守生著 岩田書院 2008)
『近世日本における石灰の生産流通構造』(川勝守生著 山川出版社 2007)
『新潮45 1986年2月』(新潮社 1986)
- 事前調査事項
- NDC
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- 各教派.教会史 (198 9版)
- セラミックス.窯業.珪酸塩化学工業 (573 9版)
- 参考資料
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- 『聖フランシスコ・ザビエルの歩いた道』(パウロ・フィステル著 中央出版社 1982) , ISBN 4-8056-4717-5
- 『聖フランシスコ・ザビエル全生涯』(河野純徳訳 平凡社 1988) , ISBN 4-582-71710-1
- 『魔都江戸の都市計画 徳川将軍家の知られざる野望』(内藤正敏著 洋泉社 1966) , ISBN 4-89691-225-X
- キーワード
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- Francisco Xavier, Saint(フランシスコ ザビエル)
- 石灰
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000175176