レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/02/04
- 登録日時
- 2022/03/02 00:30
- 更新日時
- 2022/04/27 10:40
- 管理番号
- 11365636
- 質問
-
未解決
聖書中の場面を「最後の晩餐」と最初に訳した人とその言葉が載った資料名を知りたい。
調査済の内容より、明治26年以前に「最後の晩餐」という訳語が確認できる資料、もしくは「最後の晩餐」という訳語について解説されている資料があれば教えてほしい。
- 回答
-
以下の明治26年以前刊行資料に「最後の(ノ)晩餐」との記載がありましたので、ご参考までに紹介します。次世代デジタルライブラリー( https://lab.ndl.go.jp/dl/ )等、全文検索可能なデータベース(※)にて検索した一例です。
詳細は依頼者ご自身でお確かめください。
(※)リサーチ・ナビ>人文リンク集>全文・目次データベース: https://rnavi.ndl.go.jp/humanities/entry/post-43.php
バーンス 著, 三浦徹 訳『標付馬太伝 : バーンス氏新約全書註釈 第1-5号』東京出版, 明18-19【28-97】
→目次p.3(該当箇所のURL: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/825661/3 )
プライデレル 著, 金森通倫 訳『自由神学』金森通倫, 明25.7【43-81】
→p.595(該当箇所のURL: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/824542/303 )
松本徳太郎 編『明治宝鑑』松本徳太郎, 明25.9【20-103】
→p.1342「ガスパル・ポーシン」の項(該当箇所のURL: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/773581/700 )
また、調査のための参考として、明治26年より前のものを含む聖書関連資料の情報が分かる資料(目録)とともに、記載されている資料の一例を紹介します。
なお、聖書の訳や解説等を含む資料の目録を対象としています。また、各目録に記載されている資料には重複があります。
<資料>
【 】内は国立国会図書館請求記号、※は国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開)
〇目録の例①
・岡村光章「国立国会図書館所蔵聖書目録」(『参考書誌研究』第34号 1988.7 pp.29-76,表2枚【Z21-291】)※( https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3051262 )
〇①に記載(p.52-53)の資料の例
・ヘボン 訳, 片子沢千代松 校註解題『新約聖書 上 (基督教文庫 ; 第4)』ナツメ社, 1952【193.5-s2-H】
→p.133に「すぎこしの食事」等とあります。
・『新約全書 : 引照』米国聖書會社, 1887【193.5-s5】※( https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/992572 )
→p.78に「すぎこしの食」、p.79、138に「逾越の食」、p.138、232に「逾越を食す」等とあります。
〇目録の例②
・九華文庫目録
明治学院大学図書館ウェブサイトの「九華文庫の解説と目録」からExcelファイルで閲覧可能です。
( https://www.meijigakuin.ac.jp/library/collection/private/kyukabunko.htm )
〇②に記載((1)聖書の部 目録番号17、(2)聖書注解書の部 目録番号3)の資料の例
・『新約聖書哥林多前書』[米国聖書會社]翻譯委員社中 1878【W17-21】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館送信)
→29コマ目(頁付け無し)右に「しゆの晩餐」とあります。
・ミハイル 編, 白極潔 訳『馬太福音書註解 下編』正教会, 明15,16【33-157】※( https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/825674 )(目録②に記載があるのは「上編」のみ。)
→p.354に「逾越筵」、p.357に「逾越節筵」、pp.361-362に「晩餐」等とあります。
〇目録の例③
・国際基督教大学アジア文化研究委員会 編『日本キリスト教文献目録 第2』国際基督教大学, 1965【190.31-Ko548n】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館送信)
〇③に記載(p.98)の資料の例
・竹内広業 訳『馬可伝註釈』十字屋, 明22.2【特18-198】※( https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/825651 )
→p.220、224に「逾越の食」、p.220に「逾越を食す」、p.221に「晩餐」、p.226に「節筵」「今宵の晩餐はイエスが弟子等と飲食を共に為玉ひし最終なり」等とあります。
・田村直臣 著『馬可伝・路可伝註釈 (新約註釈全書)』警醒社[ほか], 明24.7【特18-841】※( https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/825657/1 )
→pp.114-117、415、418-419に「晩餐」、p.114に「逾越の食」、p.115、415に「逾越を食す」等の語があります。
〇目録の例④
・『明治期キリスト教文献目録 翻訳文学その他特別資料』青山学院資料センター, 1992.3【HP1-E8】
〇④に記載(p.93)の資料の例
・チヤールス・フォスタル 著[他]『福音の譚』米国聖教書類会社, 1888【特18-443】※( https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/825641 )
→p.223に「過越の食事」、p.225に「主の晩餐の始」、p.226に「逾越節の席」等とあります。
・チヤールス・フォスタル 著, 小川豊吉 訳『童蒙福音初歩』小川豊吉, 明23.7【特21-912】※( https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/825090 )
→p.180に「過越の節を守る為に莚の仕度をする」、p.181に「共に此莚を食するのは今晩が一番終りである」等とあります。
〇その他の目録等の例
・日本聖書協会聖書図書館 編『日本聖書協会聖書図書館日本語聖書蔵書目録 1990年末現在』日本聖書協会, 1994.4【HP1-E10】
・「Ⅳ和訳聖書の歴史」(秋山憲兄 著『本のはなし:明治期のキリスト教書』新教出版社, 2006.6 pp.267-278)【HP71-H30】
・『隅谷文庫目録』東京女子大学比較文化研究所, 1992.3【HP1-E7】
・鶴見大学図書館 編『明治乃聖書 (特定テーマ別蔵書目録集成 ; 1)』鶴見大学図書館, 1991.11【HP1-E6】
・キリスト教中央図書館 編『原胤昭文庫目録 キリスト教中央図書館蔵』日本キリスト教文化協会, 2017.3【HP1-L6】
・日本神学校 編『基督教文献仮目録 : 天保9-明治30(1838-1897)』長崎次郎, 1932【190.31-N688k】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館送信)
・『明治期基督教関係図書目録』青山学院大学間島記念図書館, 1954【190.31-A647m】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館送信)
・上田貞治郎 編『上田文庫所蔵基督教書類索引』上田貞治郎, 1928【190.31-U239u】※( https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1918232 )
・上田貞治郎 編『基督教古典図書目録』上田文庫聖書館, 1940【190.31-U239k】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館送信)
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- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
以下のとおり、「最後の晩餐」という訳語が確認できた1番古い資料は、明治26年出版の『福音図解』(著者:池田平三郎/編)
・『キリスト教用語辞典』昭和29年出版 著者:小林珍雄/編
→「最後の晩餐」を用語として解説している。(266頁)
・『食べる西洋美術史』平成19年出版 著者:宮下規久朗
→「日本の「最後の晩餐」」という項で、明治35年の第2回関西美術会に出品された「施糧」(田村宗立の<接待図>という絵と同定されている)という絵の構成が、最後の晩餐の図像抜きで描かれたとは考えられないと指摘。
そのため、「最後の晩餐」のイメージが日本に紹介されたのは、レオナルドダヴィンチが紹介された『臥遊席珍』という雑誌が創刊された明治13年から明治35年までの間と推測している。(40~44頁)
しかし、絵の紹介の際に「最後の晩餐」という言葉が使われていたかどうかは確認できず。
・『近代日本キリスト教文学全集14 聖書集』昭和57年出版 著者:笹淵友一/編
→幕末期以降に和訳された聖書の原文を部分的に掲載している。
最後の晩餐の章は掲載されていなかったため、確認できず。
【国立国会図書館デジタルコレクションで検索】
・『共観福音講解:新約聖書』明治38年出版 著者:ラルネデ/述 大宮季貞/記
→「最後の晩餐の準備の事」という記述あり。
・『福音図解』明治26年出版 著者:池田平三郎/編
→「最後の晩餐」という項目があり、図も掲載されている。
・『旧新約両訳聖書』明治12-13年出版 著者:小島準治/訳
→最後の晩餐について、「過越食」と訳しているが、「晩餐」という言葉も使っている。
・『馬太伝註釈』明治21年出版 著者:ラールネデ/述 速水琢厳/記
→「最後の晩餐」という言葉は見られないが、「晩餐」という言葉は使っている。
・『約翰伝註釈』明治21年出版 著者:ラールネデ/述 速水琢厳/記
→最後の晩餐について、「晩飯(ゆうげ)の席」と訳している。
・『路加伝註釈』明治20年出版 著者:ラールネデ/著 伊勢時雄/訳
→最後の晩餐について、「逾越の晩餐」と訳している。
⇒明治初期の聖書関連資料には、最後の晩餐について、「過越食」や「過越の晩餐」など、様々な表現が見受けられたが、「最後の晩餐」という訳語が確認できた1番古い資料は、明治26年出版の『福音図解』著者:池田平三郎/編であった。
- NDC
-
- キリスト教 (190 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000312823