レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年09月16日
- 登録日時
- 2017/02/02 14:09
- 更新日時
- 2017/03/16 17:18
- 管理番号
- 埼熊-2016-099
- 質問
-
未解決
1976年ギリシアのアトス山の修道院で発見され、1996年にフランス語訳された「フィリポ言行録」について日本語訳はあるか知りたい。「キリストの棺」(シンバ・ヤコボビッチ[ほか]著 沢田博訳 イースト・プレス 2007)で紹介されている。
- 回答
-
日本語訳書の刊行については、確認することができなかった。
- 回答プロセス
-
1 「フィリポ言行録」について確認する
『新約聖書』(新約聖書翻訳委員会訳 岩波書店 2004)
p414-416「フィリッポスのサマリア伝道」「フィリッポスとエチオピアの高官」と見出しのついた項あり。
『ナグ・ハマディ文書 2 福音書』(荒井献[ほか]訳 岩波書店 1998)
p53-115「フィリポによる福音書」あり。
ナグ・ハマディ文書とは1945年にエジプトで発見された文書。(『岩波キリスト教辞典』(岩波書店 2002))
質問受付時に上記を示すがこれらのことではないとのことだった。
2 質問者事前調査資料「キリストの棺」を確認する
「キリストの棺」(シンバ・ヤコボビッチ[ほか]著 沢田博訳 イースト・プレス 2007)(県内公共図書館所蔵)
p159-160「フィリポ言行録」の項あり。
「新約聖書外典の1つに「フィリポ言行録」がある。外典とは、新約聖書の編纂にあたって当時の教会当局が拒絶し、排除した文書のことである。「フィリポ言行録」も初期キリスト教の文献にはたびたび引用されているが、やがて忘れられ、わずかな断片が残るのみだった。(略)1976年、フランス人のフランソワ・ボボンとベルトラン・ブービエがアトス山のクセノフォントス修道院の書庫に眠る文献の中から、「フィリポ言行録」のほぼ完全な写本を発見したのである。4世紀ごろのテキストにもとづく、14世紀の写本とされている。」
「2000年6月、ボボンらはアトス山版「フィリポ言行録」のフランス語訳を完成し、世に問うた。」
アトス山は「ギリシャ正教の聖地」とあり。
3 著者フランソワ・ボボンについて調査する
《Wikipedia(フランス語版)》(https://fr.wikipedia.org/wiki/Fran%C3%A7ois_Bovon Wikipedia)
「François Bovon」の項よりプロテスタントの牧師、大学教授とのこと。 著作一覧に「2000年6月」刊行の資料はなし。
4 フランス国立図書館のOPACを検索する
《フランス国立図書館(BnF)》(http://www.bnf.fr/fr/outils/a.bienvenue_a_la_bnf_ja.html フランス国立図書館)
《Catalogue général》(http://catalogue.bnf.fr/ BnF)をアドバンスドサーチ(Recherche avancée)〈Dans toute la notice:François Bovon〉で検索したところ、質問に近いと思われる書誌がヒットする。(書誌1)
Titre conventionnel : [Bible. N.T.. Apocryphes. Actes de Philippe (grec-français). 1999]
Titre(s) : Acta Philippi. Textus [Texte imprimé] / cura François Bovon, Bertrand Bouvier, Frédéric Amsler
Publication : Turnhout : Brepols, cop. 1999
ISBN 2-503-41111-8
(http://catalogue.bnf.fr/ark:/12148/cb38905238g BnF)
上記検索結果を判読する。
慣用書名:「Bible. N.T.. Apocryphes. Actes de Philippe」
(「Bible」は聖書、「N.T」=Nouveau Testament(新約聖書の略か)、「Apocryphes」は外典、「Actes de Philippe」フィリポ(ピリポ)の言行)
「grec-français」=ギリシャ語-フランス語
タイトル:「Acta Philippi. Textus」
著者:「François Bovon(フランソワ・ボボン)」「Bertrand Bouvier(ベルトラン・ブービエ)」「Frédéric Amsler」
書誌1「Acta Philippi. Textus」の書誌について言葉の意味を調査する。
『コンコルド和仏辞典』(高塚洋太郎[ほか]共編 白水社 1990)
p604「新約聖書 le Nouveau Testament」
『ロワイヤル仏和中辞典』(田村毅〔ほか〕編 旺文社 2005)
p204「bible」「聖書」、用例では「新約聖書 Nouveau Testament」
p98「apocryphe」「(聖書に関して)外典の」
p24「acte」「行為,行い;行動」、「A~s du」で記録、議事録などを指す。
p1494「Philippe」「ピリポ(12使徒の1人)」
『キリスト教人名辞典』(日本基督教団出版局 1986)
p1199「ピリポ(フィリポ)」「Philippe(仏)」「イエスの12弟子の一人」
《Catalogue général》アドバンスドサーチ(Recherche avancée)を〈Dans toute la notice:François Bovon & Dans toute la notice:Philippe〉で検索したところ、もう1件質問に関連する可能性のある書誌がヒットする。(書誌2)
Titre conventionnel : [Bible. N.T.. Apocryphes. Actes de Philippe (français). 1996]
Titre(s) : Actes de l'apôtre Philippe [Texte imprimé] / introd. et notes par Frédéric Amsler ; trad. par François Bovon, Bertrand Bouvier et Frédéric Amsler
Publication : [Turnhout] : Brepols, cop. 1996
ISBN 2-503-50422-1 (br.)
(http://catalogue.bnf.fr/ark:/12148/cb37501548t BnF)
上記検索結果を判読する。
慣用書名:[Bible. N.T.. Apocryphes. Actes de Philippe (français). 1996]
タイトル: Actes de l'apôtre Philippe [Texte imprimé]
上記書誌2「Actes de l'apôtre Philippe」の書誌について言葉の意味を調査する。
『仏和大辞典』(伊吹武彦[ほか]編 白水社 1981)
p125「apotre」「(キリストにより選ばれた12人の)使徒」
5 上記資料2点について国内図書館の所蔵調査する
《CiNii Books》(http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所)
書誌1 「Acta Philippi. Textus」(http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA40929115)(青山学院大学図書館[ほか]所蔵)
書誌2 「Actes de l'apôtre Philippe」所蔵館なし。
《国会図書館サーチ》(http://iss.ndl.go.jp/ 国会図書館)を検索するが、該当なし。
6 世界の図書館の所蔵検索ウェブサイトで書誌事項を再度確認する。
《WorldCat》(https://www.worldcat.org/ OCLC)
書誌1 「Acta Philippi」(https://www.worldcat.org/title/acta-philippi/oclc/41334568&referer=brief_results)
著者:François Bovon; Bertrand Bouvier; Frédéric Amsler
出版:Turnhout : Brepols, 1999-
シリーズ:Corpus Christianorum., Series Apocryphorum ;, 11-12.
上記シリーズの11が、[v. 1]. Textus / cura François Bovon, Bertrand Bouvier, Frédéric Amsler(原文ギリシャ語-フランス語対訳書)、シリーズの12が、[v. 2]. Commentarius / cura Frédéric Amsler.(注釈書)と分かる。
書誌2 「Actes de l'apôtre Philippe」(https://www.worldcat.org/title/actes-de-lapotre-philippe/oclc/36313308&referer=brief_results)
著者:Frédéric Amsler; François Bovon; Bertrand Bouvier
出版:Belgique : Brepols, ©1996.
シリーズ:Apocryphes, 8.
7 自館目録を〈新約聖書外典〉で検索する
『聖書の世界 別巻3 新約聖書外典』(講談社 1974)
p358-363「新約聖書外典一覧」
p359「ピリポ福音書」「主な写本 C〔ギリシア語〕(原本はS〔シリア語〕)」「成立地 シリア/エジプト」「成立年代(世紀) 二-三」「備考 グノーシス詞華集(NH)」との記述があるのみ。
『荒井献著作集 5』(荒井献著 岩波書店 2001)
「新約聖書外典」の項 p127-128「『ピリポ福音書』正典福音書とは文学的性格を異にする。本書はむしろ、イエスの訓話と思想の詞華集である。それゆえに福音書と呼ばれたのであろうが、ピリポとは何の関係もない。コプト語写本(ナグ・ハマディ文書)があるが、原典はおそらくシリア語かギリシア語で、二世紀の末か三世紀のはじめに成立したものであろう。(後略)」
8 自館目録を〈使徒言行録〉で検索する
『使徒言行録』(W.H.ウィリモン著 中村博武訳 日本基督教団出版局 1990)
p119にフィリポのことが出てくるが、質問の翻訳ではない。
9 著者について調査する
『キリスト教人名辞典』(日本基督教団出版局 1986)
〈フランソワ・ボボン〉〈ベルトラン・ブービエ〉では該当なし。
『Who’s who 2012』(London A & C Black c2011)
〈François Bovon〉〈Bertrand Bouvier〉
《Wikipedia(フランス語版)》(前掲)「François Bovon」の著作一覧でも、フィリポ関係の著作はフランス国立図書館の検索結果で確認できた2点のみである。
10 翻訳書の有無を調査する
「Acta Philippi. Textus」「Actes de l'apôtre Philippe」、著者名「François Bovon」「フランソワ・ボボン」で総索引を引く。
『翻訳図書目録』(日外アソシエーツ株式会社編 日外アソシエーツ 2001-2014)
1996年から2013年までの総索引を確認するが該当なし。
『翻訳書原題邦題事典』(日外アソシエーツ株式会社編 日外アソシエーツ 2014)著者名で索引を引いたが該当なし。
ウェブサイト、データベースの最終アクセス日は2015年9月9日。
- 事前調査事項
-
教文館(キリスト教の本を多く出している出版社)に電話で聞いたところ、日本語訳はないのではないかといわれた。
- NDC
-
- キリスト教 (190 9版)
- 聖書 (193 9版)
- 各教派.教会史 (198 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- フィリポ言行録
- 聖書‐新約‐外典
- 翻訳書目
- Bovon François(ボボン フランソワ)
- Bouvier Bertrand(ブービエ ベルトラン)
- Amsler Frédéric(アムスラー フレデリック)
- Actes de l'apôtre Philippe
- Acta Philippi. Textus
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査 所蔵調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000208611