県域全体を網羅する資料は確認できませんでしたが、地域ごとに資料の発行が確認できましたので、ご紹介します。
なお、特定の地域について調べる場合には、各自治体史を調べると関連の記述が確認できる場合があります。今回は、調査の過程で情報を得られた地域(栃木市)について市史も調査しましたが、その他の市町村史の内容確認は行っておりません。
1 県内各地域の念仏・和讃に関する資料
・『念仏和讃御詠歌集(芳賀町史報告書 第4集)』(芳賀町史編さん委員会民俗部会/編、発行 1999)
※巻末には主要参考文献のリストがありますが、栃木県に関する資料は確認できませんでした。
・『栃木市史 民俗編』(栃木市史編さん委員会/編 栃木市 1979)
p.776-809「念仏」の項に29の念仏・和讃を掲載しています。
・『信仰と念仏 くろばね「両郷地区」』(西海平/著、発行 2003)
黒羽町両郷地区(現大田原市)に伝わる信仰や念仏、講をまとめた資料です
・山下容子/著「塩谷町大宮上区に伝わるお念仏」
『栃木県立塩谷高等学校研究紀要 第3号』(栃木県立塩谷高等学校/〔編〕、発行 1985)所収p.40-57
18種の念仏を掲載しています。
・森田茂/著「鹿沼市内における十九夜和讃」
鹿沼史林 第45号』(鹿沼史談会/編,発行 2005)所収 p.100-109
p.103-109に「和讃集」として4種の和讃を掲載しています。
・中島正/著「加園上見立の十九夜念仏」
『鹿沼史林 第55号』(鹿沼史談会/編,発行 2015)所収 p.17-23
p.19-21に「十九夜念仏和讃」を掲載しています。
・『録事尊縁起和讚 上巻』(録事尊別当所 1895)
・『録事尊縁起和讚 下巻』(録事尊別当所 1895)
上都賀郡粕尾郷(現鹿沼市)で発行された資料で、同地域にある常楽寺(録事尊)の縁起を和讃にまとめた資料です。
上下巻合わせて第1段~135段の和讃が記載されています。
上巻については、久野俊彦/著「翻訳緑事尊縁起和讃」(『下野民俗 第32号』(下野民俗研究会/編、発行 1991)p.58-68に解説があります。
・『下野民俗 第32号』(下野民俗研究会/編、発行 1991)
久野俊彦/著「翻刻 録事尊縁起和讃」p.58-68に『録事尊縁起和讚 上巻』の解説があります。
・『開山勝道上人和讚』(慈観/著 慶元堂 1865)
・『栃木県史 史料編 近世3』(栃木県史編さん委員会/編 栃木県 1975)
p.845-846「明治元年三月 延生子安地蔵和讃」(市貝町石下 片岡伝重郎家文書)が記載されています。
p.80に史料の解説があります。
・『栃木県民俗事典』(尾島利雄/著,下野民俗研究会/編 下野新聞社 1990)
p.286-287「ネンブツ(念仏)」に県内の念仏の種類(例:雨乞い念仏、辻念仏)について紹介しています。
各念仏の全文(内容)は掲載しておりません。
2 和讃に関する研究書、全集等
栃木県内に特化した資料ではありませんが、以下の資料があります。
・『仏教和讃御詠歌全集 上・中・下』(武石彰夫/編 国書刊行会 1985)
上巻の巻頭に「和讃御詠歌概説」が収録されており、「和讃研究の手引」として参考文献が紹介されています。(p.44-46)
・『日本歌謡集成 4』(新間進一/編 東京堂 1943)
p.511-515 「第七 補遺 」の項で「念仏和讃」を紹介しています。
・『続 日本歌謡集成 巻1 中古編』( 新間進一/編 東京堂 1964)
p.141-175 「第十一 新編和讃集」和讃の紹介があります。
・『仏教歌謡研究』(鈴木佐内/著 近代文芸社 1994)
p.257-331 「第三章 和讃」の項に和讃の解説、近代和讃の考察があります。