レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/09/03
- 登録日時
- 2021/10/02 00:30
- 更新日時
- 2021/10/21 11:13
- 管理番号
- 10298434
- 質問
-
未解決
「秘密漫荼羅教付法伝」(通称:広付法伝)の、空海直筆の書の全文が掲載されている資料を探している。
- 回答
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『秘密漫荼羅教付法伝』に関する情報と空海の真蹟という2点から調査しましたが、空海直筆の『秘密漫荼羅教付法伝』が掲載された資料は確認できませんでした。
【 】内は、国立国会図書館請求記号です。
書誌事項末尾に◎を付した資料は国立国会図書館デジタルコレクションの国立国会図書館/図書館送信参加館内公開資料です。
[主な調査済資料およびウェブサイト]
(1)『秘密漫荼羅教付法伝』について
空海筆の『秘密漫荼羅教付法伝』の有無(所蔵状況)について確認しましたが、直筆の存在に関する情報は見当たりませんでした。
日本古典籍総合目録データベース:『秘密漫荼羅教付法伝』( http://dbrec.nijl.ac.jp/KTG_W_1048824 )
* 『秘密漫荼羅教付法伝』の国内主要図書館・文庫等の所蔵状況を確認できます。自筆本の所蔵機関の掲載はありませんでした。
(参考)『風信帖』( http://dbrec.nijl.ac.jp/KTG_W_1014717 )の場合は、「【写】東寺(自筆、寄進状並送状を付す、国宝)」とあります。
川瀬一馬 編著『お茶の水図書館蔵新修成簣堂文庫善本書目』石川文化事業財団お茶の水図書館, 1992.10【UP72-E23】
* pp.145-146「廣付法傳」:石川武美記念図書館(旧お茶の水図書館)所蔵の嘉禄元~2(1225-1226)年の写本について、一部写真の掲載があります。
小野玄妙 編纂『仏書解説大辞典 第9巻 (ハーホ)』大東出版社, 1980.5【HM1-13】
* p.122「祕密漫荼羅敎付法傳」:内容解説に「寛永・弘安の古版本も皆二卷に分てるも、弘法大師御製作の當時果して二卷となせしや疑問なき能はず」とあります。
密教辞典編纂会 編『密教大辞典 第4巻 (チーヘ) 改訂増補版 密教大辞典再刊委員会(種智院大学密教学会内)増訂』法蔵館, 1969【HM2-1】
* p.1961「フホウデン 付法傳」:古写善本の所在、古版本等の記載はありますが、直筆本に関する言及はありません。
そのほか、『秘密漫荼羅教付法伝』に関する資料(特に、その成立についての記述)において、空海の直筆による書についての情報がないか調査しましたが、見当たりませんでした。
弘法大師 [著], 密教文化研究所弘法大師著作研究会 編纂『定本弘法大師全集 第1巻』密教文化研究所, 1991.7【HM142-G14】
* pp.238-255:解説(pp.213-275)中の「秘密漫荼羅教付法傳」
金岡秀友 編『空海辞典 新装版』東京堂出版, 1999.9【HM2-G31】
* pp.241-247「空海年表」:弘仁10(819)年の欄(p.245)に、「この頃、『秘密曼荼羅教付法伝』(中略)を著す」とあります。
苫米地誠一「『依憑天台宗序』と『秘密曼荼羅教付法伝』について」(『宗教研究』60(4) (通号 271) 1987.3 pp.249-251【Z9-184】)
「真言五祖像の修復と嵯峨天皇 : 左大将公苑て空海書状の検討を中心に」(『関西大学東西学術研究所紀要』38 2005.4 pp.p1-23)
* 関西大学学術リポジトリで閲覧可能です( http://hdl.handle.net/10112/12572 )。
高野山アーカイブ ( https://archives.koyasan-u.ac.jp/ )
* キーワード「秘密漫荼羅教付法傳」で検索すると、定本と写本を閲覧できます。
INBUDS インド学仏教学論文データベース ( https://www.inbuds.net/jpn/index.html )
(2)空海の真蹟について
空海の真蹟に関する記述の中に、『秘密漫荼羅教付法伝』についての情報がないか調査しました。
以下の資料には、空海の真蹟と伝えられるもの(ないし現存作品)についての記載がありますが、『秘密漫荼羅教付法伝』への言及はありませんでした。
『日本大百科全書 7 2版』小学館, 1994.1【UR1-G71】
* p.345:「空海」の項目(pp.344-347)中の〔空海の書〕において、「今日まで伝えられる空海の書」として、『聾瞽指帰』、『三十帖冊子』、『灌頂歴名』、『風信帖』、『真言七祖像賛並行状文』が挙げられています。ただし、このほかに多くの遺墨があるとされています。
『世界大百科事典 8 (ク-ケホ) 改訂新版』平凡社, 2007.9【UR1-J11】
* p.14:「くうかい 空海」の項目(pp.13-15)中の[空海の書]において、「確実に彼の筆と認められるのは《風信帖》《灌頂歴名》《真言七祖像賛》《聾瞽指帰ろうこしいき》《金剛般若経開題》《大日経開題》《三十帖冊子》などである」との記載があります。
『書道全集 第11巻 (日本 第2(平安 第1))』平凡社, 1955【728.08-H418s】◎
* pp.16-19「三筆について」(p.14-21)の「三」:空海の真蹟と伝えられるもののうち主なものを挙げています。
『定本書道全集 第9巻 (三筆・三蹟とその時代)』河出書房, 1954【728.08-Ka749s】◎
* pp.177-179「三筆の書道」:現存する筆蹟のうち確実と思われる主たるものが挙げられています。
藤原茂 編『弘法大師真蹟集 : 弘法大師真蹟集解説釈文付 解説』文昌堂書店, 昭和8【425-87】◎
* pp.6-8「弘法大師の書蹟」:主なものが列挙されています。
角井 博「続三筆小考--文献にみる空海の能書活動並びにその遺墨」(『Museum』(通号 194) 1967.6 pp.7-18【Z11-186】◎)
木本南邨 著『弘法大師空海・人と書』朱鷺書房, 2003.10【KC637-H13】
* pp.131-182「第五章 空海の書」
田山方南 [述]『弘法大師の書 (文化講座シリーズ ; 第4回 第5巻)』大東急記念文庫, 1961.5【KC637-H45】
『日本美術全集 第8巻』(別タイトル『平安・鎌倉の書 : 三筆/三跡』)学習研究社, 1980.5【YP11-103】
* pp.215-219「年表」:年表中に「現存作品」の欄があります。
飯島太千雄 編『空海大字林』(「解説」)講談社, 1983.3【KC612-49】
ウェブサイトの最終アクセスは2021年8月31日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・活字になっているものとしては、例えば『弘法大師全集』などが見つかった。
・「秘密漫荼羅教付法伝」について:『書道芸術 第12巻』pp.218-219
・空海の付法伝のうち、「真言付法伝」は『弘法大師墨蹟聚集』に全文があったが、このシリーズには「秘密漫荼羅教付法伝」はなかった。
・『弘法大師真蹟集成』、『弘法大師真蹟全集』というシリーズも出版されていたが、その中にも「秘密漫荼羅教付法伝」はなかった。
・『日本美術作品レファレンス事典 書跡篇1』に出ていた『法隆寺の至宝 昭和資財帳7』も見てみたが、空海の筆ではなかった。
- NDC
-
- 各宗 (188 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵機関調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000305435