以下の資料から関連の記述を確認しました。
1 栃木市大町にある「大杉神社」について
今回は調査に先立ち、『角川日本地名大辞典 9 栃木県』(「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1984)から町名の変遷を確認しました。江戸時代から昭和12年まで、大町は大杉新田と呼ばれていたことが分かりました。
これを踏まえ、以下の資料を調査しました。
・『栃木県神社誌 神乃森 人の道』(栃木県神社庁/編 栃木県神社庁 2006)
p.331「大杉神社」の項があり、栃木市大町にある大杉神社について主祭神、例祭、境内地、宮司名、由緒沿革等について記述があります。
常陸国(現・茨城県)阿波にある今宮大杉神社からの分霊であるそうです。
この他、以下の資料からの同様の記述が確認できました。
・『下野神社沿革誌 4 下都賀郡部』(風山廣雄/編 逆川村 1903)【館内】
p.5「栃木町大字大杉新田鎭座」として「村社大杉神社」の項あり。
・『栃木縣史 第3巻(神社編)』(田代善吉/著 臨川書店 1972)
p.288「第十六章 村社 第四節 村社沿革大要」の項に「大杉神社」あり。
・『角川日本地名大辞典 9 栃木県』(「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1984)
p.191「おおすぎしんでん 大杉新田<栃木市>」「〔近世〕大杉新田」(大杉神社の縁起について記述あり)
なおp.543「だいちょう 大町<栃木市>」の項には、大杉神社の記述はありませんでした。
・『日本歴史地名大系 9 栃木県の地名』(平凡社 1988)
p.661「大杉新田 現栃木市大町・嘉右衛門町・泉町・昭和町」(大杉神社の縁起について記述あり)
2 大杉神社、大杉信仰全般について
調査の過程で、茨城県・今宮大杉神社の縁起に日光山を開いた下野の勝道上人が関わることを確認しました。
また、大杉神社、大杉信仰は、栃木市大町の大杉神社以外に全国でも見られることを確認しました。
ご参考までに関連資料をご紹介します。
■茨城県今宮大杉神社及び大杉信仰全般について
・『茨城県大百科事典』(茨城新聞社/編、発行 1981)
p.169-170「おおすぎしんこう 大杉信仰」の項があります。信仰の分布や発祥地、縁起や習俗について記述があります。同様に「おおすぎじんじゃ 大杉神社」の項があり、縁起や神社の変遷、習俗について記されています。
・『板倉町史 別巻4』(板倉町史編さん室/編 板倉町史編さん委員会 1980)【館内】
p.222-235「4.大杉信仰と大杉囃子 -鎮魂-」の項があります。大杉神社の本社の縁起について、下野国の勝道上人とのかかわりが記されています。また、祭礼で歌われる「あんばばやし(安波囃子)」の歌詞も掲載されています。日本全国の大杉神社で行われる祭礼の内容について具体的事例が紹介されており、演目や曲目、解説等も記載されています。
・『アンバ大杉信仰』(大島建彦/編著 岩田書院 1998)
p.7-9「一 大杉大明神の由来伝承」
p.21-26「四 大杉継東の社祠の分布」(栃木・群馬・埼玉の分布について記述あり)
p.230-242「一 各都道府県における大杉神社の所在一覧」(栃木の一覧あり)
・『アンバ大杉の祭り』(大島建彦/著 岩田書院 2005)
・『日本宗教の正統と異端 教団宗教と民俗宗教』(桜井徳太郎/編 弘文堂 1988)
p.185-204「大杉信仰の展開」(大島建彦/著)所収
■本県における大杉信仰について
・『栃木県大百科事典』(栃木県大百科事典刊行会/編、発行 1980)
p.91「おおすぎしんこう 大杉信仰」(栃木県内での信仰や分布、祭りについて記述あり)
特に悪疫退散で有名だとして「鹿沼市板荷のアンバ様の祭り」が紹介されています。
・『板荷のアンバ様』(下野民俗研究会/編 鹿沼市教育委員会 1975)【館内】
p.51-61「5 アンバ様についての民俗学的考察」の項があり、鹿沼市板荷を中心に栃木県内における大杉神社信仰について記されています。
3 その他
以下の資料は、お調べしましたがお求めの情報は確認できませんでした。
・『利根川百景 水墨画と随想で綴る利根の全流』(吉水十果/著 崙書房 1982)
・『下野国誌 校訂増補』(河野守弘/著,佐藤行哉/校訂 下野新聞社 1989)
・『川の碑』(川の碑編集委員会/編 山海堂 1997)
・『栃木県神社の歴史と実像』(影山博/著 随想舎 2019)
・『金井・本郷の神社探訪』(小松義邦/著 西方南部地区コミュニティ推進協議会文化部 2019)