レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/02/19
- 登録日時
- 2019/03/25 00:30
- 更新日時
- 2019/03/25 00:30
- 管理番号
- 6001037321
- 質問
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解決
中国に伝わる仙人がどのような食生活をしていたかについて知りたいです。
- 回答
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以下の資料に記載がありました。
・『抱朴子 中国古典新書』([葛洪/原著] 明徳出版社 1984)
p.164 「三四 断穀」の項目があり、「仙道においては絶穀(辟穀・断穀)を行なう。その理由は、不老長生を得るために、腸を清らかにし、身体を軽快にする必要からであると思われる。西洋の長生法においても、清腸ということが重要な条件とされている。中国人は穀物を主食とする。穀類を絶って、深呼吸により大気を取り入れ、身体が軽快となれば、仙人の術とされる昇天も可能となる。つまり体質を変えてしまうわけである。」
次の資料には人物毎の食事についての記載があります。
・『中国妖怪人物事典』(実吉達郎/著 講談社 1996.7)
p.41-42 【王旻】(おうぶん) 出典:渋川玄耳「支那仙人伝」の項目があり、
p.42叔母の大仙女の食事について「この大仙女が誰に対してもダイコンを食うことをすすめたというのは、ただ一つ彼女の”人間的”な面を伝えのこしている。ダイコンはその根も葉もつねに食べなさい、そうしていれば功力が多いと彼女は強調していた。彼女の若さも、いつまでも異性に対して精力絶倫であったのもそのおかげかもしれない。」
p.291 【修羊公】(しゅうようこう)出典:列仙伝
「ヒツジ、それも石のヒツジと化したという仙人。(略)修羊公はあまり出歩いたりせず、ほとんど食事もせず、アマドコロという植物をときどき摂るだけだった。これは黄精とよばれ薬草として扱われるが、その茎や根は澱粉に富んでいる。」
p.540 【白石先生】はくせきせんせい 出典:神仙伝
「殷の時代にはすでに二千歳だったという神仙。白石山に住んで白い石を常食としているので白石先生。」
p.665-666
【李意期】(りいき) 出典:列仙伝・三国志演義
「酒も少ししか飲まず、乾し肉やクリ、ナツメの類を食べて生きていた。」
なお、仙人は食事ではなく仙薬をもっていることが不死の源であるようです。参考までに仙薬についての資料をご紹介します。
・『図説 中国 食の文化誌』(王仁湘/著 原書房 2007.3)
p.219-223 「仙薬と仙酒」の項目があり「周知のように、不死を求めて得るためには、飲食に頼らなければならないが、長生不死を追及するのに凡人の常食する五穀や雑穀を食べていれば、明らかに問題にならず、常人は一死をまぬかれることができないであろう。そこで、遠方に長生の仙人がおり、その神仙が不死の仙薬をもっているという伝説が生まれた。(p.219-220)
・『仙人の研究』(知切光歳/著 大陸書房 1976)
p.163-214 「仙薬・神薬・霊薬」
p.215-286 「日本の仙草」
[事例作成日:2019年2月19日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 道教 (166 10版)
- 伝説.民話[昔話] (388 10版)
- 参考資料
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- 古代日本の道教受容と仙人 松田/智弘∥著 岩田書院 1999.1 (348)
- 抱朴子 [葛/洪∥原著] 明徳出版社 1984 (164)
- 中国妖怪人物事典 実吉/達郎∥著 講談社 1996.7 (41-42, 291, 540, 686-690)
- 図説 中国 食の文化誌 王/仁湘∥著 原書房 2007.3 (219-223)
- 仙人の研究 知切/光歳∥著 大陸書房 1976 (163-214, 215-286)
- キーワード
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- 仙人(センニン)
- 食生活(ショクセイカツ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000253667