レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/11/22
- 登録日時
- 2018/03/29 00:30
- 更新日時
- 2018/05/08 16:45
- 管理番号
- 茨城-2017-164
- 質問
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解決
五木 寛之・本田 哲郎著『聖書と歎異抄』を読んでいる。「回心」という言葉に「かいしん」と読む場合と「えしん」と読む場合はある。その違いは何か。
- 回答
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あいにく当館では『聖書と歎異抄』を所蔵していないため,現物を確認できませんが,宗教・仏教の辞典類を確認してみました。
「かいしん」はconversionの訳で,一般的な宗教用語として用いられる用語のようです。
「えしん」は仏教で使われる用語で,『総合仏教大辞典 上』には,次の3つがあがっていました。
・邪悪な心を悔いあらためて仏の教えに従うこと(廻心懺悔)
・自己のさとりだけを心がける小乗の心をひるがえして大乗に向かうこと(廻心向大)
・自力の心を改めて他力の信心を得ること(捨自帰他の廻心)
- 回答プロセス
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(1) 『広辞苑 第5版』を確認
p.438「回心」(かいしん)…〔宗〕conversion キリスト教などで,過去の罪の意志や生活を悔い改めて神の正しい信仰へ心を向けること。なお一般に,同様の宗教的体験をいう。
p.293「回心」(えしん)…〔仏〕邪心を改めて仏の正道に帰依すること。
→「えしん」は仏教用語?
(2) 書架で宗教学と仏教の辞典を確認。
・『世界宗教用語大事典 上』
「えしん」…仏教で,新しい信仰へ入ること,信仰が変化すること。宗教一般でいうコンヴァーションにあたるので,回心(かいしん)ともいう。
「かいしん」…宗教的に新しく生まれ変る宗教体験。ある信仰から他の信仰へ変ることや,無信者から信仰者に変ること。仏教では回心(えしん)ともいう。
・『総合仏教大辞典 上』
「えしん」…「回心」とも書く。心をひるがえすこと。
・邪悪な心を悔いあらためて仏の教えに従うこと(廻心懺悔)
・自己のさとりだけを心がける小乗の心をひるがえして大乗に向かうこと(廻心向大)
・自力の心を改めて他力の信心を得ること(捨自帰他の廻心)
- 事前調査事項
- NDC
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- 宗教 (160 9版)
- 仏教 (180 9版)
- 参考資料
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須藤 隆仙 , 須藤 隆仙. 世界宗教用語大事典. 新人物往来社, 2005.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I065195970-00 , ISBN 4404031386 (p.124えしん「回心・廻心」,p.182かいしん「回心」) -
総合仏教大辞典編集委員会 , 総合仏教大辞典編集委員会. 総合仏教大辞典 上 あーし. 法蔵館, 1987.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I045787728-00 , ISBN 4831870609 (p.115-116 えしん「廻心」) - 広辞苑新村 出/編岩波書店
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須藤 隆仙 , 須藤 隆仙. 世界宗教用語大事典. 新人物往来社, 2005.
- キーワード
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- 回心(カイシン エシン)
- 親鸞(シンラン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- クイックレファレンス
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000233555